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魔法少女コネクター〜魔法騎士な俺と魔法少女な幼馴染達との絆で繋がるハーレム英雄譚〜  作者: 藤本零二
第一章〜魔法少女と魔法騎士〜

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第6話「対【クラリス団】」


 三月の終わり、30日にマミとマリの姉妹の誕生日パーティが開かれ、これで晴れて【マジピュリー部隊】十人全員が同じ年齢になったと思ったのも束の間、四月三日には俺の誕生日が来て一足早く大人に近付くという前日の日、事件は起きた。



『福岡市中央区天神(てんじん)地区に〈魔界軍〉所属の【幹部】ジャラク伯爵が出現っ!!【魔法戦姫(まほうせんき)マジピュリー部隊】、出動願いますっ!!』


『福岡市博多区博多駅地区に〈魔界軍〉所属の【幹部】ガテゾーナが出現っ!!【魔法戦姫(まほうせんき)マジピュリー部隊】、出動願いますっ!!』


『福岡市東区馬出(まいだし)地区に〈魔界軍〉所属の【幹部】マリン・バーロンが出現っ!!【魔法戦姫(まほうせんき)マジピュリー部隊】、出動願いますっ!!』


『福岡市早良(さわら)百道浜(ももちはま)地区に〈魔界軍〉所属の【幹部】ボスガーナ子爵が出現っ!!【魔法戦姫(まほうせんき)マジピュリー部隊】、出動願いますっ!!』


『福岡市南区大橋地区に〈魔界軍〉所属の【幹部】ゲドリアーナが出現っ!!【魔法戦姫(まほうせんき)マジピュリー部隊】、出動願いますっ!!』



 なんと、【クラリス団】に属する【幹部】五人が同時に福岡市に現れたのだ!



「くっ!?通常の【幹部】クラスでも三組で対応しなければならないのに、それが【クラリス団】の【幹部】、しかも五人同時にやって来るなんて…っ!?」



 現在の【マジピュリー部隊】の決まりでは、〈魔界軍〉幹部クラスを相手にする場合、最低でも三チーム六人で対応するようになっている。

 勿論これは十分な余裕を持たせた上での対応で、相手次第では魔法少女(マジピュリー)一人でも対応出来なくはない。


 だから【幹部】五人が現れても、こちらには五チームあるので、一人あたり一チームで対応することは不可能ではない。


 しかし、今回の相手は【クラリス団】の【幹部】達だ。

 彼らの力は一般の【大幹部】クラスに匹敵するとも言われ、【大幹部】クラスが相手の場合は五チーム全員で対応にあたらなければ危険と言われている。



「でも、やるしかないっちゃろ!」


「ああ、このまま傍観しとっても福岡市が新しい〈魔界〉になるだけっちゃん!」



 すでに変身して待機をしているピンクとレッドが、決意を込めた表情で瑠璃(るり)さんにそう言った。



「…そうよね、……分かりました。ですが、決して無茶はしないで下さい。危険だと判断したらすぐに撤退するように。都市の防衛も大事ですが、まずは皆さん自身の身を守ることを優先して下さい」


「「「「「はいっ!!」」」」」



 瑠璃(るり)さんも決心すると、俺達に指令を出した。



「では、福岡市中央区天神(てんじん)地区へは【チームホワイト】、博多区博多駅地区には【チームブラック】、東区馬出(まいだし)地区には【チームブルー】、早良(さわら)百道浜(ももちはま)地区には【チームピンク】、南区大橋地区には【チームレッド】が向かって下さい!」


「「「「「了解っ!!」」」」」



 こうして俺達はそれぞれの地区に向かうこととなった。





 福岡市南区大橋地区へと向かったマジピュリーレッドと、その守護騎士(ガーディアン)である魔法騎士(マジックナイト)ユウキ。

 現場では多くの建物が崩落し、

あちこちから炎や煙が立ち昇っており、大勢の魔法師達が消火活動や人々の救助活動などを行っているのが空から見えた。



「彼らの手助けをしてやりてぇところだが…、」


「オレらの目標はゲドリアーナの捕縛だからな、彼らには彼らだけで頑張ってもらわんと…!」



 二人はもどかしい思いを抱えながら、その目標である敵、ゲドリアーナを探す。



「で、ゲドリアーナは何処だ?」


「戦闘が行われとるような感じもないしな…?」



 二人が疑問に思っていると、二人の耳に緑川瑠璃(るり)からの通信が入った。



『現在、敵は戦闘を止めて西鉄の大橋駅にて待機しているそうです。現地の魔法師達では歯が立たないということもあって、数名の監視人を立てつつ、市民の救助活動の方に人員を回しているそうです』


「なるほどな」


「こっちとしてはそうしてもらった方がいいな。無駄な犠牲を出すより、被害者を少しでも多く救助してもらった方がいい」



 瑠璃(るり)からの通信を受けて、西鉄大橋駅にやって来た二人は、駅ロータリーにて暇そうに横たわっている青い(うろこ)のような皮膚で覆われた鬼のような見た目の魔人を発見した。



『おッ!ようやく魔法少女マジピュリーのお出ましだなッ!!おおッ!?しかも待ち望んでいた【チームレッド】の二人だとぉッ!?』



 二人の姿を見つけたゲドリアーナは喜び勇んで飛び起きた。



『うひょひょひょひょひょッ!!オレっちにツキが回ってきたッ!!二人をケモ耳奴隷に改造してオレっちのコレクションに加えてやるぜぇッ!!』


「なんか気持ち悪ぃこと言ってやがるが…!」


「そうはいくかよッ!!『ファイアブラスト』っ!!」



 レッドは先手必勝とばかりに右手に炎の魔力を(まと)わせてゲドリアーナめがけて突っ込んでいく。



「でやぁあああああああああっ!!」



 そしてゲドリアーナに向けて拳を振り降ろす。



『うひょッ!』



 だがレッドの拳が当たる直前、ゲドリアーナは地面を蹴って空高く飛び上がり、レッドの拳を回避した。

 空を切ったレッドの拳は地面を大きくえぐり、爆発と共に土やコンクリートの破片が周囲に飛び散る。



『おおッ!とんでもない威力ッ!』



 ゲドリアーナは感心しつつ、飛び散る土やコンクリートの破片から顔をガードするために両手を顔の前でクロスさせる。

 その一瞬、ゲドリアーナの視界が(ふさ)がれたスキをついてユウキが魔法を放つ。



「『ファイアアロー』っ!!」



 空中に現れた五本の炎の矢がゲドリアーナに向かって飛んでいく。

 ただでさえ空中にいて回避行動は難しく、その上視界を(ふさ)いだ状態での魔法攻撃。

 普通なら直撃コースのハズのそれらの魔法はゲドリアーナをすり抜けて地面に突き刺さった。



「な…っ!?」


『うひょひょッ!そっちは残像ですぞ?』



 ユウキの背後に一瞬で移動していたゲドリアーナのその背中には小さな一対の翼が生えていた。



「お前…っ、飛べるのかよっ!?」


『いひひッ!その通ーりッ!そしてまずは一人ッ!』



 ゲドリアーナが右手の爪が物理的に伸びると、その爪をユウキに向けて突き刺そうとする。



「させるかよっ!!『ファイアバースト』っ!!」



 ゲドリアーナの爪がユウキに当たる直前、地面にいたレッドがゲドリアーナに向けて炎の魔法を放つ。



『おっと!?』



 その直撃を避けるためにゲドリアーナは後方へと飛んでユウキから距離をとる。

 ユウキもまた後方へと飛ぶことでゲドリアーナから距離をとったところへ、レッドが隣にやって来る。



「ユウキ、無事か!?」


「あ、あぁ…、少しかすっただけだ…!」



 ユウキの着ている対魔装束(マギアスーツ)の胸の赤いアーマープレートにほんの小さな穴が空いていた。



「アイツの爪、かすっただけでこれかよ…っ!?」



 魔法師の着用している対魔装束(マギアスーツ)魔法少女(マジピュリー)魔法少女(マジピュリー)装束スーツは、見た目に反してかなりの強度を誇っており、魔法攻撃は勿論、ある程度の物理攻撃でも滅多な事で傷が付くようなものではない。

 そんな対魔装束(マギアスーツ)に爪の先端がほんの少し触れただけで穴が空いてしまうなんて、想定外もいいところだった。



「こいつは…、マジでやべぇな…っ!」


「ああ…、恐らくアタイら二人だけじゃ足止め程度にしかならねぇ…

 この間に人々の避難を完了してもらって、連中の捕縛は日を改めるしか…、うぐ…っ!?」


「なっ!?おい、どうしたユウキ!?」



 突然、胸を抑えて苦しみ始めたユウキを心配するレッド。

 そんな二人を嘲笑(あざわら)うようにゲドリアーナの下卑(げび)た笑い声が聞こえてくる。



『うひひひひひッ!どうやら、オレっちの毒が効いてきたようだな!?』


「何っ!?毒だって!?」



 レッド達の正面で余裕の笑みを浮かべながら浮遊するゲドリアーナが、自慢気に自らの右手の爪を舐めながらこう説明する。



『そうッ!オレっちのこの爪には生物の動きを封じるための麻痺毒が仕込まれているんだッ!ほんの(わず)かにかすっただけだから効果は薄いが、それでも身体が痺れて動かし辛くなってきただろうッ!?』


「くそ…っ、たれ…っ!!」


「く…っ、ここはユウキ、お前だけでも逃げ、」


『おっと、大切なケモ耳おっぱい奴隷ちゃん達を逃がすわけないでしょーがッ!『雷撃』ッ!!』



 次の瞬間、レッドとユウキを激しい雷が襲った。



「「うぐぁあああああああああっ!?!?」」


『うひひひッ!コイツは獣人種の中の〈狼獣人(ウルフェン)〉って種が使う〈雷の獣術〉の一つだッ!!オレっちは色んな獣人種や魔獣なんかの細胞を埋め込んで自らをキメラ改造してるからな、ソイツらの能力も使うことが出来るってわけさッ!!』

 


 ゲドリアーナの雷攻撃を受けて地面へと落下する二人。

 その二人を見下ろしながら再び右手の爪を伸ばすゲドリアーナ。



『ひひひッ!ではでは、逃げられないよう麻痺毒を注射させてもらうぜい?なーに、死ぬことは無いから安心してくれいッ!』


「くぅ…っ、そうはさせるかっ!!『ファイアボゥル』!!」



 レッドは雷で痺れる身体にムチを打ち、ゲドリアーナに向けて魔法を放った。

 至近距離から放たれた魔法を、ゲドリアーナは避けることが出来ずまともにくらってしまう。



『うひょッ!?』


「今の内にっ!!」



 レッドは雷と麻痺毒の影響で未だ動けずにいるユウキを抱えて『飛行』魔法を使い、ゲドリアーナから距離を取り、すぐに戦闘態勢になる。

 だが、つい先程までそこにいたゲドリアーナの姿がいつの間にか見えなくなっていた。

 


「な…っ!?きえ…、」


『ひょひょひょ!今の『ファイアボゥル』はなかなか良かったぜぇ?結構効いたぞぉッ!』


「っ!?」



 背後からのゲドリアーナの声にレッドが振り向くと同時、ゲドリアーナの炎を(まと)った右足がレッドの側頭部に炸裂した。



『『炎撃脚(えんげききゃく)』ッ!!』


「がは…っ!?」



 〈狼獣人(ウルフェン)〉と同じ獣人種である〈兎獣人(ロップイヤー)〉の能力である炎の獣術『炎撃脚(えんげききゃく)』をまともに頭部にくらったレッドは、ほんの一瞬意識を失った。

 その一瞬のスキを逃さないゲドリアーナではない。



『うひょひょひょッ!では、今度こそお前達をオレっちのケモ耳奴隷(モノ)にするッ!!』


 

 ゲドリアーナの右手の爪がレッドに襲いかかる…!





 福岡市東区馬出(まいだし)地区にある馬出(まいだし)緑地。

 江戸時代以前は海上だったその場所は、昭和の時代には路面電車が走っていたが、路面電車の廃止後、市がその土地を買い取り、公園として整備された遊歩道となっている。


 そんな緑道で、マジピュリーブルーとその守護騎士(ガーディアン)である魔法騎士(マジックナイト)レンカは、【幹部】である【妖魔術師】マリン・バーロンと戦っていた。



 木の幹を背に立つマリンに対し、ブルーが魔法を放つ。



「『アクアアロー』っ!!」


『おほほほほッ!ざんねーん!またハズレよぉ〜!『アクアウィップ』ッ!!』


「きゃあっ!?」



 しかしブルーの放った魔法はマリンをすり抜けたかと思うとマリンの姿が消えたかと思うと、別の木の裏からマリンの放った魔術による水の鞭が伸びてきて、ブルーの背中を激しく叩いた。



「く…っ!?本物のマリンは何処!?」



 ブルーとレンカの周りには無数のマリンの姿があり、二人を嘲笑(あざわら)う。



『おほほほほッ!どうかしら〜?私の〈妖魔術〉による分身攻撃はぁ?』


『あなた方に本物の私がどれか、見抜けるかしら〜?』



 〈妖魔術〉とは、マリン率いる妖魔術師団が使える特殊な魔術のことで、大気中のマナを自らの魔力と同調して相手に幻影を見せたり、水以外の魔術を行使することが出来る術のことだ。

 その術によってマリンは大気中のマナで自身の分身を生み出し、二人を翻弄(ほんろう)していた。



 馬出(まいだし)地区にやって来た二人は、九州大学病院にて待ち構えていたマリンを追ってこの緑地までやって来たが、それこそがマリンの罠だった。



「こうなったら、レンカっ!」


「うん!」



 ブルーとレンカは背中を合わせると、ブルーは両手を前に出し、レンカは両手に持ったマシンガン型のマルチマギデバイスを前に向けて、二人同時に魔法を放つ。



「「『アクアボゥル』っ!!」」



 二人は連続で周囲一帯に向けて『アクアボゥル』を放つことで、本物とか分身とか関係無く攻撃する作戦に出たが、一部のマリン達は木の裏などに隠れてその攻撃から身を守った。



『おほほほほッ!』


『こんな木の多い場所で闇雲に魔法を放っても当たりませんわよ〜?』


「くそぉ…っ!?」


「わざわざ緑地に逃げ込んだのはそのため…っ!?」



 マリンは自身の妖魔術の力を存分に活かすために、わざと狭い緑地に逃げ込み、ブルー達をじわじわと追い詰めていく作戦を実行していたのだ。


 おまけに厄介なのはそれだけではない。



『次はこっちから行くわよぉ〜♪『アクアアロー』ッ!!』


『『アクアボゥル』ッ!!』



 ブルー達の魔法をやり過ごした()()()マリンが同時に魔術を放つ。



「『アクアシールド』っ!!」



 対してレンカが咄嗟に半球状の水のシールドを張って自分達を守る。



『そうくると思ってたわ〜♪』



 すると、シールドの内側、ブルー達の足下の地面からマリンが姿を現し、二人に向けて強力な魔術を放った。



『『アクアブラスト』ッ!!』


「「きゃあああああああっ!?!?」」



 マリンの魔術をまともにくらった二人は、自分達を守るために張った水のシールドに思いっきり背中を叩きつけられる。



『おほほほほほッ!!分身だからといって魔術が使えないとは一言も言ってないわよぉ〜♪』



 三人のマリンが横に並び、傷付いたブルーとレンカを見下ろしながら(あや)しく笑う。



「う…っ、ぐぅ…っ!?」


「はぁ…、はぁ…、つ…、強過ぎる…っ!」



 地面に横たわる二人の装束(スーツ)は至る所が傷付いていて、とても際どい姿となっていた。



『おほほほほッ!二人ともなかなか素敵な格好になったわね〜♪』


『出来ればその綺麗な肌には傷を付けたくないから、このまま降参してくれないかしら〜?』


『降参して、着ている服をぜ〜んぶ脱いで、私の愛玩人形(コレクション)として永遠に私のモノとなってくれないかしらぁ〜?』


「誰がお前なんかのっ!!」


「コレクションになんかなってやるもんかっ!!『アクアシャワー』っ!!」



 二人は立ち上がると、まずブルーが自分達の上空へ向けて水の魔法を放つ。

 そうして雨のように降り注いでくる水流に、レンカが右手を伸ばして、レンカだけが使える特殊な能力を発動する。



「『状態変化』っ!!」



 すると、振り注いでいた水流が水蒸気となり、周囲一帯が霧で覆われる。



『あらあらぁ〜?』


『霧で何にも見えなくなったわ〜?』



 レンカだけが使える特殊な能力、それは『状態変化』という〈霊能力〉の一種だ。

 〈霊能力〉とは、人間の体内に宿る〈霊力〉と呼ばれる特殊な力を使って発動する能力で、一部の人間だけがそれを使うことが出来る。

 霊力自体は全ての人間が持っているのだが、霊能力は一部の人間にしか扱うことが出来ず、その扱える力も人によって異なり、レンカの『状態変化』は物質の状態を固体から液体、液体から気体という風に変化させることが出来る能力だ。

 その力によって、ブルーの放った水の魔法を水蒸気に変化させたのだ。

 


「よし、今の内に…っ!」


「うん…!口惜(くや)しいけど、ボク達二人だけじゃアイツは倒せそうにない…!」



 水蒸気の霧で視界を(ふさ)いでいるスキに撤退しようとするブルーとレンカだったが、



『あらぁ〜?』


『逃さないわよぉ〜?』


『『『『アクアウィップ』ッ!』』』


「「きゃああああっ!?」」



 ブルーとレンカの周囲から襲いくる無数の水の鞭によって、二人は亀甲縛りにされた上で木の幹に縛り付けられてしまった。



『うふふふふ〜♪つ〜かまえたぁ〜♥』



 霧が晴れると、頬を紅潮させ、太ももをこすり合わせ、腰を振りながら二人に近付いて来る三人のマリンの姿があった。



『うふふふ〜♪いいわぁ〜、その姿♥』


『やっぱり、可愛くておっぱいの大きい女の子には亀甲縛りが一番よねぇ〜♥とっても素敵♥』


『はぁ♥はぁ♥もう今すぐ食べちゃいたいわぁ〜♥』


「く、くそぉ!離せぇえっ!!」



 何とか拘束から逃れようとするブルーだが、身動きすればするほど、水の鞭が全身にきつく食い込む。



「うぐぅ…っ!?はぁ…、はぁ…」


『おほほほほッ!無駄よ、無駄無駄ぁ〜♪私の水の鞭は生半可な力では切れない代物よ〜?』


「確かにこれを解くのは難しそうやけど…っ!『状態変化』っ!!」



 再びレンカが『状態変化』を使うと、二人を解いていた水の鞭が水蒸気となり、たちどころに蒸発して消えていった。



『あらあら〜!アナタのその力は厄介ねぇ〜?』


『だけどぉ〜…、そう何度も使える能力ではないんでしょ〜?』


『『『『アクアウィップ』ッ!!』』』



 再び水の鞭がブルーとレンカを拘束し、木に縛り付ける。



「く…っ!?じょ、『状態変化』…っ!!」



 対してレンカもまた『状態変化』を発動して水の鞭を蒸発させるも、再度放たれる『アクアウィップ』によって、二人は逃げることが出来なかった。


 霊能力は自身に宿る霊力を用いて扱う能力であり、その霊力量には限りがある。

 そのため、マリンの言う通り一度に何度も何度も使えるような能力では無かった。



「はぁ…、はぁ…、はぁ…!」


「レンカ、大丈夫!?」


『うふふふふ〜♪もう諦めなさ〜い?』


『アナタの霊力はもう残りわずか、対して私の魔力にはまだまだ全然余裕があるのぉ〜』


『もうアナタ達に逃げ道は無いの。だ、か、ら〜、』


『『『大人しく私の愛玩人形(コレクション)になっちゃいなさ〜い♥』』』



 勝利を確信したマリンが妖艶(ようえん)な笑みを浮かべながら、二人に近付いていく…!





 博多区博多駅地区において【幹部】ガテゾーナと戦闘を繰り広げるマジピュリーブラックとその守護騎士(ガーディアン)である魔法騎士(マジックナイト)サキ。



『ハハハハハッ!!やるな、お二人さんッ!なかなかいい動きをするじゃねぇかッ!!』



 全身を魔導機械化した改造魔人(サイボーグ)であるガテゾーナは、小型の戦闘機に自身ののっぺらぼうのような頭部のみを直結させた異様な姿で博多駅の駅ビル上空を飛び回り、目の前を飛ぶサキに向かって小型ミサイルを放ちながら高らかに笑う。



「そいつはおおきにっ!!」



 それらをサキは自身も『飛行』魔法で飛びながら、右手に持った槍型の〈マギアデバイス〉(魔法発動補助デバイス)で撃ち落としていく。

 その背後でブラックは、同様に『飛行』魔法で飛びながら自身の銃型のマギアデバイスを構えてガテゾーナに狙いを定める。



「サキちゃんっ!!」


「はいなっ!!」



 ブラックの合図でサキが上空へと急浮上すると、射線の開いたブラックがマギアデバイスの引き金を引く。



「『サンダーショット』っ!!」



 初級魔法である『サンダーショット』だが、マギアデバイスを通じて放たれることで、その威力や規模などが上昇する。

 ブラックの持つ銃型のマギアデバイスで放たれると、威力に加えて速度が格段に増すという効果がある。


 そのマギアデバイスで放たれた『サンダーショット』は、一直線にガテゾーナの胴体となっている小型戦闘機を貫き、内部の回路を破壊し、ボンッ!と煙をあげながらきりもみ状態となった。



『おおうッ!?こいつぁやべぇッ!?』



 黒い煙をあげ、クルクルと回転しながら線路上へと落ちていくガテゾーナに向かって、上空からサキが槍型のマギアデバイスに雷を(まと)わせながら突っ込んでいく。



「はぁああああああっ!!『サンダージャベリン』っ!!」


『ぐぉああああああああッ!?!?』



 雷の槍で胴体となった小型戦闘機を貫かれながら、線路上に止まっていた在来線の電車の上に墜落し、激しく爆発炎上するガテゾーナ。



「どや、今度こそやったか!?」


「サキちゃん、そのセリフはやってないフラグっちゃん!!」


『クハハハハハッ!!最高じゃねぇかお前らッ!!強い女は俺様の大好物だッ!!』



 ブラックのセリフの通り、爆発の炎の中から、まるで竜のごとくガテゾーナの頭部が接続された八両編成の電車が上空に飛び上がってきたのだ。



「なぁっ!?」


「でっ…、電車とくっついた!?」


『ハハハハッ!!俺様は〈魔界軍〉【クラリス団】の魔導機械兵団団長だ。魔術よりも機械いじりの方が得意なんでね』



 そう言って、電車と融合したガテゾーナがブラック達に再び襲いかかる。



『さぁ、もっともっと楽しもうじゃねぇかッ!そして思いっ切り楽しんだ後に、お前達を俺様の玩具(オモチャ)に改造して永遠に可愛がってやるぜッ!!』



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