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魔法少女コネクター〜魔法騎士な俺と魔法少女な幼馴染達との絆で繋がるハーレム英雄譚〜  作者: 藤本零二
第一章〜魔法少女と魔法騎士〜

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第7話「魔法少女の敗北」


 魔法少女達と【クラリス団】の戦いが福岡市の各地で行われていた。


 福岡市中央区天神(てんじん)地区では【チームホワイト】のマジピュリーホワイトとマサトがジャラク伯爵と、博多区博多駅地区では【チームブラック】のマジピュリーブラックとサキがガテゾーナと、東区馬出(まいだし)地区では【チームブルー】のマジピュリーブルーとレンカがマリン・バーロンと、早良(さわら)百道浜(ももちはま)地区では【チームピンク】のマジピュリーピンクとユイがボスガーナ子爵と、そして南区大橋地区では【チームレッド】のマジピュリーレッドとユウキがゲドリアーナと戦っている。



 しかし、どの戦場でも【クラリス団】が優勢で、魔法少女達は徐々に追い詰められつつあった…





 早良(さわら)百道浜(ももちはま)地区、福岡タワーを背にして右手にレイピアのような剣を持ったボスガーナ子爵が、目の前の地面に倒れ伏すマジピュリーピンクとユイを見下ろしながらこう言った。



『ふむ…、さすがは魔法少女ですね。この私がまさか二撃も直撃を食らうことになるとは…』



 ボスガーナの緑色の騎士服には、焦げた跡が二箇所程見受けられ、それがピンクとユイが彼に与える事が出来たダメージの全てだった。



「くぅ…っ、まさか…、これ程までに実力差があるなんて…っ!」



 一方のピンクとユイは、それぞれ着ている魔法少女(マジピュリー)装束(スーツ)対魔装束(マギアスーツ)の至る所に鋭利な刃物で斬られたような跡と血の(にじ)んだ跡が見受けられた。



『何、恥じることは無い。お前達もまた私の攻撃を受けて未だ生き長らえているのだから。お前達であれば…、』



 そう言いながらボスガーナがレイピアのような剣を構えてこう続ける。



『我が剣技を受ける実験台となる奴隷(サンドバッグ)として十分に使えるであろう』



 ボスガーナは邪悪な笑みを浮かべながら、構えた剣をピンクに向かって振り下ろした。



「ピンクだけはやらせないっ!!」



 と、そこへユイがピンクを庇うためにボスガーナとピンクの間に割り込んだ。

 そして、ボスガーナの振り下ろした剣はユイの右腕を斬り落とした。



「ユイっ!?」


「うぐ…ぅっ!?ピンクだけでも…っ、逃がす…っ!!」



 その直後、ピンクの目の前にカプセルのような見た目の魔導具が落ちてきたかと思うと、その魔導具が光り輝くと同時に魔法陣が起動し、光が見えなくなると、ピンクの姿がその場から消えていなくなっていた。



『ふむ…、ピンクには逃げられたか…。だが、丈夫な奴隷(サンドバッグ)はとりあえず一つあれば十分だ』



 ボスガーナはユイの血で赤く染まった剣を振るい、血を落としてから腰に下げた鞘に戻すと、地面に倒れ気を失っているユイを左肩に担いで、一時のアジトとした福岡タワーへと向かって歩いていくのだった。





 魔法少女(マジピュリー)守護騎士(ガーディアン)である魔法騎士(マジックナイト)達には、万が一の時のために魔法少女(マジピュリー)だけでも逃がすための特殊な魔導具を持たされていた。

 それがユイの使用したカプセル型の魔導具で、それを使用すると魔法少女(マジピュリー)を〈ダブルナイン〉本部へと強制送還させるための『転移』魔法陣が起動するようになっている。



 そのような処置を行う理由は、魔法少女(マジピュリー)という存在が貴重だから、というより魔法少女(マジピュリー)魔法少女(マジピュリー)たらしめている特殊な魔石、〈マジストーン〉が大変貴重だからである。



 そもそも、魔法少女(マジピュリー)と、魔法騎士(マジックナイト)達のような従来の魔法師とで何が違うのか?


 これまでの魔法師システムにおいて魔法を使用するために使っていた魔石には、四属性の魔力元素が全て含まれているが、魔法師が使用出来る魔力元素は一属性のみのため、魔石内に蓄えられた魔力元素の内の三属性は使用されることはない。

 つまり、不要な魔力元素に無駄に容量を割いているため、従来の魔法師システムはマナの使用効率が悪い非効率なシステムと言えた。


 このマナの使用効率をより良くし、純度と魔力出力の高い魔石を開発しようとして研究され、完成したのが魔法少女(マジピュリー)達の扱うマジストーンというわけだ。

 このマジストーンは従来の魔石とは違い、四属性の魔力元素を含むマナから特定の魔力元素一つのみを抽出して作られている。


 そのため、従来の魔法師よりも効率の良い魔法師システムとして、従来の魔法師以上の成果を上げることが出来るのだが、その問題点として、マジストーンはその製造コストや原料などの問題から大量生産が難しく、最初に発明されてから20年経った今でも数個しか作られていない。

 その上、マジストーンを扱えるのは、()()()()()()()()を施された魔法師のみと限られているため、現時点において現役の魔法少女(マジピュリー)は五人だけしかおらず、代わりを選定するにも時間とコストがかかるのだ。



 そういった事情から、非常に非情な判断ではあるが、魔法騎士(マジックナイト)の代わりはどうとでもなるが、魔法少女(マジピュリー)の代わりはいないので、緊急事態においては魔法少女(マジピュリー)を最優先で守らなければならない。

 そして、その役目を負うのが守護騎士(ガーディアン)魔法騎士(マジックナイト)ということになる。


 


 

 魔法少女(マジピュリー)を逃がすという判断をしたのはユイだけではなかった。



「レッドだけはやらせねぇっ!!『ファイアバーニング』っ!!」


「なっ!?待って、ユウっ、」



 ゲドリアーナの攻撃からレッドを守るために前に飛び出したユウキは、強力な自爆魔法を目眩(めくら)ましにして強制送還用の魔導具を起動し、レッドを〈ダブルナイン〉に転移させた。



 同じように、マリンの術に捕らわれていたレンカはマリンの一瞬のスキを付いて魔導具を起動し、ブルーだけを〈ダブルナイン〉に転移させた。



 そしてガテゾーナと戦っていたサキも、このままでは二人ともやられると判断し、魔導具を起動してブラックを〈ダブルナイン〉に強制転移させた。


 

 こうして魔法少女(マジピュリー)達は、彼女達を守る守護騎士(ガーディアン)達の勇気と覚悟のおかげでかろうじて助かることが出来た。

 しかし、その場に残った守護騎士(ガーディアン)達は、それぞれ戦っていた【クラリス団】の【幹部】達の捕虜として囚われることとなったのだった……





 そんな中、中央区天神地区の那珂川(なかがわ)上空にて最後まで戦いを続けていた【チームホワイト】、マジピュリーホワイトとマサトの二人に〈ダブルナイン〉から通信が入った。



『二人とも!今すぐ撤退して下さい!作戦は中止です!【チームレッド】、【チームブルー】、【チームピンク】、【チームブラック】共に作戦失敗しました!これ以上の人的損失を出さないためにも二人は今すぐその場を撤退して下さい!』


「撤退と言われても…、」


『おっと、逃がしはせぬぞ?

 マジピュリーホワイト、お主は我が102番目の妻となる女なのだからな…ッ!!』



 ひょうたんのように長く伸びた禿頭(とくとう)に、銀色の口ひげ、そして黄金に輝くマントを(まと)った【クラリス団】の【幹部】、ジャラク伯爵が左手に持った長い錫杖(しゃくじょう)を正面にかざして魔術を放つ。



『『シャドゥウィップ』ッ!!』



 錫杖(しゃくじょう)の先端から伸びた黒い影が鞭のようにしなりながらホワイトへと向かって伸びていく。



「させるかよっ!『サンダースラッシュ』っ!!」



 剣型のマルチマギデバイスに雷を(まと)わせたマサトがホワイトとジャラク伯爵の間に入り、『シャドゥウィップ』を斬り裂く。

 そしてマサトが『シャドゥウィップ』を斬り裂くのとほぼ同時にホワイトが魔法を発動する。



「『サンダーソニック』っ!」



 全身に雷を(まと)ったホワイトが、ジャラク伯爵の背後に高速移動して攻撃魔法を放とうとするが、



『我が102番目の妻よ、我にその攻撃は効かぬといい加減学びよ、『シャドゥウィップ』!』



 ジャラク伯爵は背後を振り返らずに錫杖(しゃくじょう)を後ろに向けると、即座に魔術を放ち、攻撃しようとしていたホワイトを捕らえた。



「あぐぅう…っ!?」


「ホワイトっ!!」


『どれだけ高速で動こうとも、全身に魔力を(まと)って動いている以上、その動きは我には丸見えだ』



 魔人の中には魔力を感知する能力を持つ者がいる。

 これは、彼らにとっても敵となる魔力を持った野生の魔獣などと対峙する際に重宝される能力だ。

 それ故に、魔力を持たない魔法師を相手にはあまり役に立たない能力なのだが、高速移動魔法である『サンダーソニック』は全身に魔力を(まと)う必要があるために、その魔力を感知されて移動場所が丸分かりとなり、本来敵の視線を誤魔化すための魔法が逆効果となってしまっていた。



『さぁ、我が102番目の妻よ、そろそろ我らが居へと戻ろうではないか』



 ジャラク伯爵はその場にいるマサトの存在に構うことなく、捕らえたホワイトへと熱い視線を向ける。



「う…、ぐ…っ、だ…、誰がアンタなんかと…っ!」



 『シャドゥウィップ』に捕らわれたホワイトは、なんとかその戒めから逃れようと抵抗するが、彼女の魔法少女(マジピュリー)装束(スーツ)は至る所が破れていてボロボロになっており、肉体的にも体力的にも限界が近いことを示していた。



「くそっ!さっきから俺のことを無視しやがってっ!!『サンダージャベリン』っ!!」



 完全に蚊帳(かや)の外扱いのマサトだったが、その姿はホワイト以上に満身創痍だった。

 対魔装束(マギアスーツ)はボロボロで、全身のいたるところから出血しており、まともに動けているのが不思議な程の大怪我を負っていた。


 そんなマサトが、自身の剣型のマルチマギデバイスに雷の魔力を(まと)わせ、槍のようにしてジャラク伯爵へと向かって突き出す。



『ふむ…、先程から我らの逢瀬(おうせ)を邪魔する無粋な蝿め…、目障りである、そろそろ墜ちよ、『シャドゥバースト』』



 ジャラク伯爵はマサトの方を見もせずに右手だけを向けて、強力な魔術を放つ。

 強力な広範囲魔術を近距離でくらえばひとたまりもないが、マサトはギリギリまでその攻撃を引き付けると、



「『サンダーソニック』っ!」



 直撃する直前に『サンダーソニック』を発動し、高速移動で『シャドゥバースト』を回避し、ジャラク伯爵の左手側、つまりホワイトを捕らえる『シャドゥウィップ』の伸びているジャラク伯爵の錫杖(しゃくじょう)めがけて剣型のマルチマギデバイスを振り下ろそうとして、



『『シャドゥアロー』』


「がは…っ!?!?」



 ジャラク伯爵が新たに放った魔術の矢に全身を串刺しにされてしまう。



「マサト君っ!?!?」


『ふん、これでようやく静かに…、ん?』



 だが、マサトの狙いは別にあった。

 『シャドゥアロー』に串刺しにされる直前にホワイトへと向けて投げていたカプセルのような見た目の魔導具、それがホワイトを捕らえている『シャドゥウィップ』に当たって起動し、ホワイトを〈ダブルナイン〉本部へと強制送還させる魔法陣が発動した。



『何…ッ!?』


「これで…、俺の任務は完了だ…、テメェなんかに、ホワイトは渡さねぇよ……!」



 ホワイトを無事に逃がすことが出来たことに安堵したマサトは、そのまま意識を失い、足下を流れる那珂川(なかがわ)へと真っ逆さまに落ちていった。



 その様子をジャラク伯爵は忌々しげに見ながらこう言った。



『おのれ…ッ!よくも我が102番目の妻を…ッ!!……まぁ、よい。

 いずれまた彼女とは相見(あいまみ)えることになるであろう。その時こそ、我が妻として改めて盛大に歓迎してやるとしよう…!』



 ジャラク伯爵は、川に落ちたマサトの死体を確認することも無く、その場を後にするのだった。




 こうして、【クラリス団】と【魔法戦()マジピュリー部隊】との最初の戦いは、魔法少女(マジピュリー)側の完全敗北という形で幕を閉じるのだった………

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