第11話「マジピュリーレッド・ナインテール」
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「オレの名は〈マジピュリーレッド・ナインテール〉っ!!ゲドリアーナっ!!てめぇに引導を渡す者だっ!!覚悟しやがれっ!!」
セーラー服のような魔法少女装束はそのままに、両手や両足からは真紅の炎を思わせるようなアームカバーとタイツが装着され、頭から狐のような耳と、尻からは狐のような九本の尻尾が生えた姿に変化したマジピュリーレッド、〈マジピュリーレッド・ナインテール〉の姿に、他の魔法少女達は驚いていた。
「な…!?レッドの姿が、変わった!?」
「いや、それだけじゃないよ!マサトの姿も、なんかこー小っちゃい石みたいなのに変わっちゃったよ!?」
「な…、なんが起こっとーと……?」
「お…、お兄ちゃん…?」
「レッド…、それにマサト…っ!」
一方、姿を変えた本人も驚きを隠せないでいた。
「うおぉ!?なんだこりゃ!?勢いでなんか口走っちまったけど、どーなってんだこりゃ!?」
『これが〈竜の涙〉〈コネクター〉による『合体』能力だ!
レッドは俺と『合体』したことでこの姿に『絆変化』したんだ!』
レッドの胸の谷間にある宝石、〈竜の涙〉からマサトの声がした。
「うぉ!?マサトか!?マサト、お前もどーなっとーと!?」
『細かい説明は後だ!今のレッドは『絆変化』によるパワーアップに加えて、俺に覚醒した超能力『真力覚醒』の効果で以前のレッドよりもかなりパワーアップしてるハズだ!この力でゲドリアーナを倒すんだ!!』
「た、確かにすげぇパワーを感じるっちゃけど…、」
自身から感じるこれまでにない力に戸惑うレッド。
「ま、今は考えてもしゃーねぇか!後でちゃんと説明しろよ!」
だが、すぐに気持ちを切り替えたレッドは先程から呆然とこちらを見ているゲドリアーナへと意識を集中させる。
「っしゃあ!行くぞゲドリアーナっ!!てめぇは絶対に、」
『……ばらしいッ!!』
「あん……?」
『すッッッばらしいぃいいいいいいいいッッッ!!!!』
と、突然興奮して雄叫びをあげるゲドリアーナ。
「なんだなんだぁっ!?突然どうした!?」
『ケモ耳に尻尾ッ!!まさにオレっちの理想的なおっぱい奴隷ちゃんの姿ッ!!マジピュリーレッドッ!!やはりお前はオレっちのためオレっちの専用おっぱい奴隷になるべく産まれてきた存在ッ!!』
自らの肉体をもキメラ改造するゲドリアーナは、奴隷とする人間にも拘りを持っている。
巨乳は絶対条件とし、それに加えてケモ耳や尻尾を持つ獣人種であれば尚良し。
そんな信念のもと、ゲドリアーナは奴隷として捕らえたユウキを、獣人種である狼獣人とのキメラ人間へと改造した。
当然、これから捕らえようとしていた魔法少女達にもまた他の獣人種の細胞を持ったキメラ人間へと改造する予定だった。
『だがその手間が省けたッ!!今すぐお前をオレっちのモノにして可愛がってやるぞぉおおおおッ!!うひょひょひょひょひょッ!!』
興奮から目を血走らせたゲドリアーナが、地面を蹴って弾道ミサイルのごとくレッドへと向かって突進してくる。
「誰がてめぇのモノになんかなるかよっ!!」
生理的な嫌悪感とゲドリアーナの一方的な物言いにカチンときたレッドは、炎の魔力を右手に纏わせて魔法を放つ。
「『ファイアパンチ』っ!!」
『ぶぎゃらッ!?』
レッド本人としてはいつも通りの感覚で繰り出した初級魔法の『ファイアパンチ』だったが、拳を繰り出した瞬間に青い炎へと変わった右拳は、ゲドリアーナの顔面を凹ませながら数百メートル後方まで吹き飛ばしてしまった。
「うぇっ!?なんだこの威力!?」
『それが今のレッドの力!マジピュリーレッド・ナインテールの力だ!!』
「マジか…!これなら、」
さらに追撃しようと構えたレッド達だったが、彼女の周囲を取り囲むようにまだ無力化されていない数人のキメラ魔人達が立ちはだかる。
『クケケッ!よくもゲドリアーナ様をッ!!』
『グギャギャギャッ!!許さんぞッ!!』
『クケケケーッ!!』
「雑魚共に用はねぇんだよっ!!」
しかし、パワーアップしたレッドにとって彼らは最早敵ですらなかった。
その場でドンッ!!と足で地面を踏み込み、炎の魔力を周囲へと拡散させると、青い炎が放射状に放たれ、レッドの周囲を取り囲んだキメラ魔人達を吹き飛ばした。
『『『『『グギャギャギャーッ!?』』』』』
「す…、すごい…!」
「レッド、めちゃくちゃ強くなってる…!!」
レッドの圧倒的な力に、仲間の魔法少女達はただただ呆然としていた。
そうこうしている内に、勢いよく地面を蹴って自ら吹き飛ばしたゲドリアーナの元へとかっ飛んでいくレッド。
青い炎と雷を全身に纏わせながら進むその姿は、まるで地上を駆ける流れ星のようだった。
「え!?レッド、『サンダーソニック』も使ってる!?」
その姿を見てさらに驚くホワイト。
『サンダーソニック』は全身に雷の魔力を纏わせて高速移動を可能とする雷の魔法なのだが、当然炎の魔法師であるマジピュリーレッドに使える魔法ではない。
「ひょっとして、あれも『絆変化』した効果…?」
「お兄ちゃんと『合体』したことで、雷の魔法も使えるようになったってこと?」
ピンクとブラックの推測はほとんど当たっている。
厳密には『合体』によるものではなく、『真力覚醒』による効果でレッドは本来使えないハズの雷の魔法を一次的に扱えるようになっていたのだ。
『グギギ…ッ!?ふざけるなッ!!お前はオレっちのおっぱい奴隷なんだッ!!ただオレっちのチ◯ポをそのおっぱいで挟んで奉仕するだけの存在であればいいんだよぉおおおおおおおッ!!』
殴り飛ばされたゲドリアーナは叫びながらゆっくりと立ち上がった。
『オレっちの前でひざま、』
「うるさい、黙れ、くたばれっ!!」
ゲドリアーナが何かを言おうとする前に、立ち上がったばかりのゲドリアーナのその懐へと潜り込んだレッドは右肘を曲げた状態で、青い炎を纏わせた右拳を下から上へと突き上げた。
「『ファイアパンチ・バーニング』っ!!」
『クカ…ッ!?』
左半分が凹んだゲドリアーナの顔は、レッドのアッパーカットによってさらに顎まで砕け散ってしまった。
ゲドリアーナは顔面を血だらけにしながら空高くへと殴り飛ばされ、綺麗な放物線を描きながら背中から地面へと叩きつけられた。
『ぐぎゃッ!?』
「てめぇに辱められた乙女の屈辱と痛みっ!思い知りやがれっ!!」
*
圧倒的力でゲドリアーナを一方的に叩きのめしたマジピュリーレッド・ナインテール。
だが、【クラリス団】の【幹部】に名を連ねるゲドリアーナはまだまだこの程度では終わらない。
顔面全体を複雑骨折したゲドリアーナは、自身の魔力を集中させて顔面の傷を再生させていく。
これはキメラ改造で自身に取り込んだ超再生能力を持つ魔獣の能力によるものだ。
『ふざけるなふざけるなふざけるなぁああああああッ!!オレはオレだけのおっぱいハーレム帝国を作るんだよぉおおおおおおおッ!!』
顔面の傷を再生させながら立ち上がったゲドリアーナは、怒りから自身の中の魔力を一気に解放した。
すると、身体が一回り程大きくなり、肩や背中からハリネズミのごとく鋭い針が生え、腕や足の筋肉が膨れ上がり、爪と牙が30センチメートル程にまで伸び、より禍々しい姿へと変化した。
『今更後悔しても遅いぞ、マジピュリーレッドッ!!キサマは、キサマだけはその腕と足をもぎ取り、おっぱいオブジェとしてオレの屋敷の飾りとなってもらうからなッ!!』
姿を変えたゲドリアーナは地面を蹴ってレッドへと襲いかかる。
鋭い爪がレッドの全身を切り刻まんとするが、レッドは最低限の動作だけでその攻撃を避けてみせる。
「何度だって言わせてもらうが、オレはてめぇのモノになる気はねぇよ!」
『グルァアアアッ!!』
続けて鋭い牙でレッドを噛み砕かんとするが、レッドは青い炎を纏わせた両手でゲドリアーナの上顎と下顎を掴んだ。
『グガッ!?』
「いいか、よーく聞けよ?」
ゲドリアーナの上顎と下顎を掴んだままその巨体を持ち上げたレッドは、思いっきり腕を振り下ろしてゲドリアーナを地面へとクレーターが出来る程の勢いで叩き付ける。
「オレの心も身体も、ぜーんぶ黒霧優人のモンだっ!!」
『グギィイイイイイイイッ!?!?』
その時、レッドのヘソ辺りに刻まれた〈合体紋〉と呼ばれる特殊な紋章が一際強く光を放って輝き始めた。
〈合体紋〉は〈コネクター〉を持つ人物と深い絆、つまりは互いへの愛で結ばれた証。
二人の絆が深ければ深い程、その力はより強くなる。
空中へと飛び上がったレッドは、尻の付け根から生えた九本の尻尾に炎の魔力を集束させていく。
「この力は手加減出来ねぇ。だから、もし殺してしまっても恨みっこなしだぜ?アンタらは今までにそれだけのことをしてきたんだからな?」
『ひ…ッ!?ひぃ…ッ!?お…、お助け…ッ!!』
地面にめり込んだゲドリアーナは恐怖から命乞いを口にするが、もう遅かった。
「『ナインフレアエクスプロージョン』っ!!」
『ひ……ッ!?』
青い炎が九本の尻尾の先から放たれ、地面にいたゲドリアーナへと襲いかかる。
地面に着弾した炎は、直後に大爆発を起こし、黒い煙を立ち上らせた。
「オレ達の勝ちだっ!!」
爆発を背に、レッドは右手を高く上げて勝ち鬨をあげるのだった。




