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16.まだまだ甘えたいお年頃

月日は流れ、ミオは最初の頃に比べて舌ったらずな喋り方もましになり、少しだけだが身長も伸びた。

身長は本当に少しだけ……。


自分が何歳で、何故あの場所に居たのかはまだ分からない。だが、分からなくても良いとも思っていた。

だって、今クラウド達と一緒に居れる事がミオは嬉しいのだから。


最初の時と比べたら、城で働いている人達とも仲良くなれたような気がしている。

クラウドが城に居なくて寂しそうにしているミオを見て、少しでも元気付けようとミオの相手をしてくれたのだ。

魔界のおもちゃや食べ物をくれたり、かくれんぼを一緒にして遊んでくれた。

そんな優しい人達の事が、ミオは大好きになった。


ミオが起きて部屋から出ると、廊下に居る使用人達は作業を止めて笑顔で挨拶してくれる。

城の中でも、特に仲良くしてくれているのが庭師をしているテオだ。

ミオは、今日も食事をすると遊びに庭へと向かう。

そこには、魔界にあるとは思えないほど様々な色の花が咲き誇っている。クラウドと出会った薄暗いあの森の中では、様々な色の花なんてなかった。


城に来た頃、散歩をしていたミオは庭を見つけた。前世で見たことない花が多く、ミオは興味津々にしゃがみこんでお花を見ていた。

そこに、庭の手入れをしていたテオが現れたのだ。


テオは魔族に特徴的な赤い瞳をしているが、目尻が下がっており少し垂れ目になっており優しそうな印象だった。髪の毛は、茶髪で少しパーマがかっている。


ミオを見つけたテオは、驚いた様な表情を一瞬したが、しゃがみこんで花を見ていたミオに近づいて同じように隣にしゃがみこんだ。

テオとミオは、しゃがみながら沢山の事を話していた。


テオ曰く、人間界にある植物とは違い魔界の植物は見た目は良いが毒を持つものが多いらしい。

あと、危険だから一人だけで温室には入ってはいけないとも言われた。

こんな色とりどりな綺麗なお花に毒があるとは信じがたいが、テオが真剣な顔をして言うのだから本当なのだろう。

初めてテオに会ったとき、テオは人懐っこい笑顔でミオの話を聞いてくれた。

ミオがそんなテオに懐くのは早かった。


朝起きて支度を済ませたミオは、暇さえあればテオがいる庭へと行っていた。

いつも庭の手入れを終えると、テオはミオと遊んでくれる。

テオの仕事が終わるまでの間、ミオは邪魔にならない様に隅っこでいつも、しゃがんで地面にお絵かきしている。

花を見るときは、必ず誰かが側にいる時に見るようにテオと約束した為、テオを待っている間は大抵地面にお絵かきをしながら待っている。


(今日は何を描こうかな?? 前はこっちに来て食べた物を描いていたし……今日はクラウド様にしよっと!!)


地面に落ちていた木の棒を使いながら、クラウド様を描く。

少しでもクラウドに見えるようにミオは何回も描き直ししている間に、時間はあっという間に過ぎていた。


「さて、ミオ様今日は何をしますか??」


「……お仕事終わったのですか??」


首に掛けているタオルで汗を拭きながら、テオがミオの側に近づいてくるのを見ながら、ミオは首を傾げながら問いかける。


「はい。」


「えっとー……じゃぁ、お花の事についてまた教えてほしいです!!」


「本当にミオ様は、勉強熱心ですね」


テオと普通に遊んだりもするが、時々魔界の花の事について教えてもらっている。

少しでも知識があった方がいいと思ったからだった。

最初テオは、驚いた様な表情をしていたが真剣に話を聞いているミオを見て、色々な事を教えてくれた。


「この絵は、魔王様ですか??」


「はい!! クラウド様を描いてみました!」


「上手ですね。魔王様がこれを拝見されるととても喜ばれると思いますよ??」


「……恥ずかしいのでだめなの。」


テオは、クスリと笑うと懐から丸い球体の様な物を取り出すと何かを呟き、また懐へと戻した。


「……?? それはなーに??」


「秘密です。さて、温室に行ってお花の勉強でもしましょうか」


ミオに向かって、テオは優しい笑みを向けると背を向けて温室の方向へと歩きだす。

何をしていたのか、ミオは気になるがテオは教えてくれる気配がないので、しょうがなくテオを追いかける。

テオは少し進んだところで、ミオを待っていてくれていた。


「テオさん、まってー!」


「待ちますよ。そんなに走ると転んでしまいますよ??」


「だいじょーぶ!! ミオね、走るの得意だもん!」


「……なるほど」


そういうと、止まって待っていてくれていたテオが走りだす。


(えぇぇぇぇ!? 子供の足だと追い付けないよ!? 今も凄く必死で走ってるのに!)


「テオさんのいじわるー!!」


「まぁ、魔族ですからねー」


少し走っただけで息が上がる。

しんどくなり止まって休んでいると、先の方に居て距離が開いていたであろうテオがいつの間にかミオの側に来ていた。


「ふふっ、意地悪しすぎてしまいましたね。」



「テオさん……の……いじわ……る」



「追いかけてくるミオ様が可愛くて、つい意地悪してしまいました。」


テオはそう言うと、疲れているミオを抱き上げたテオはその場からミオと消えた。


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