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食べ物の恨みは怖い③

作ったお菓子をクラウドに食べてもらい、ミオはクラウドが座っている横の椅子に座りながらご機嫌に足をブラブラさせ、嬉しそうに笑っていた。


「そんなに嬉しいのか?」


「あい! クラウドしゃまに、たべてほちかったの!」


クラウドが一口食べて美味しいと言ってくれたのを聞いてから、ミオはご機嫌だった。


(クラウド様の為に作ったんだもの。クラウド様に美味しいって言ってもらえて、嬉しくないわけがないわ! あの勇者とか呼ばれていた男が無駄にした時は、どうしてくれようかと思っていたけれど……)



そんな事を考えていると、いきなり扉が勢いよく開いた。

部屋に入ってきたのは、勇者と呼ばれていた男だった。


「……何故人間がここにいるんだ? 魔王、お前が拐って洗脳でもしたのか!?」


「クラウドしゃまは、しょんなことしないもん!!」


「では、何故君はここにいる!! ここは、魔界だぞ!? 拐われた以外に何があるんだ!!」


「ちがうもん……しゅてられたミオをクラウドしゃまはたしゅけてくれたんだもん! うにぁぁぁぁぁぁん!!」


勇者と呼ばれていた男に怖い顔で見つめられ、ミオは怖かったのもあり泣き出してしまった。

いきなり泣き出してしまったミオを見て、男は狼狽え始めた。

小さい子どもを泣かしたという事と、親に捨てられたという辛いことを言わしてしまった罪悪感があるのだろう。

だが、ミオが悲しくて泣いているのはそんな事では無かった。優しくて大好きなクラウドが、悪く言われるのが悲しかったのだ……。


「すまなかった。泣き止んでくれ」


「う、うにぁぁぁぁぁぁぁぁん!! こっちこにゃいで!」


「ミオ、おいで」


狼狽えながらミオに近づこうとしていた男を、ミオは拒否した。

泣いているミオを、クラウドは抱き上げると背中をポンポンと優しく叩いて慰めてくれる。


「ミオ、大丈夫かい?」


「ひっく。ク、クラウドしゃま~」


心配そうに覗き込んでくるクラウドの表情を見て、ミオはクラウドの首に手を回し抱きつく。

クラウドは、ミオを抱き上げながら指先を勇者の男に向けると上に振り上げた。


「……なっ!!」


それと同時に、勇者の男の驚愕した声がしたと共にそこに居た筈の男が居なくなっていた。


「ミオを泣かした男は居なくなったぞ? ミオ、泣き止んでおくれ。」


ミオの目尻に溜まっていた涙を、クラウドは拭う。

目の前に居た男がいきなり消えたことに、ミオは驚愕した表情で目をパチパチしていた。


「あれ~? いましゃっきのひとは?」


「心配しなくても、ちゃんと帰したぞ?」


「まほー?」


「そうだ。転移魔法で、人間界に帰した」


「ふぉぉぉぉぉ!!」


ミオは、興奮しているのかさっき泣いていたのが嘘の様にキラキラとした瞳でクラウドを見ている。


(元の世界では魔法が無かったから、やっぱり気になる! 前に見せてもらったのも凄かったもんな~。まだ幼いから魔法は駄目だって言われたけれど、気になるものは気になる!!)


「……ミオ、駄目だからな?」


「あい!」


「……。」


魔法を教えるのは駄目だと言われたが、興味津々のミオの瞳に耐えられなくなったクラウドは視線をそらす。


「魔王様、耐えてください。負けてしまったら、ミオが危ないんですからね?」


「……分かっている。分かっているが、ミオが可愛すぎるのだ。」


「ミオが可愛いのは分かりますが、駄目です」


ポソリと、呟いたクラウドの言葉を聞いたシルベットは横に首を振って拒否している。


「あにょね。ミオ、がまんしゅるよ? でもね、まほーちゅかってるクラウドしゃまがかっこいいの!」


舌っ足らずながらも、一生懸命身振り手振りミオは説明する。


「「……っ!!」」


「……シルベット」


「……魔王様、分かりますが耐えてください。」


「これを、耐えろと言うのか! 私には……私には無理だ!!」


「ミオの為です!」



何かを耐えている様なクラウドは、ミオから視線を外した。側に居たシルベットも、何かを耐えているような表情をしている。


「……?」


ミオは、分からず首を傾げる。


「ちるべっとしゃん、クラウドしゃま。だいじょーぶ?」


「あぁ、大丈夫だぞ。ミオ、我慢出来て偉いぞ? 」


クラウドは、そう言いながら膝に座っているミオの頭を撫でる。


「ほんと!? ミオね、おねえたんになったらまほーがんばりゅの!」


「そうか。じゃぁ、その魔法を私が教えてあげよう。」


「……!!」


クラウドが魔法を教えてくれると聞き、ミオは驚いた様に目を真ん丸にした。だが、その後すぐに両手を口元に持っていくと、嬉しそうに笑っている。


「えへへへっ。うれちーなー。クラウドしゃま、やくしょくね?」


「あぁ、約束だ」


(早く成長したいな~。何歳ぐらいになったら教えてくれるんだろう? この体の子がどれぐらいの歳なのか分からないし……。でも、クラウド様から教えて貰えるなんて、楽しみでしょうがない!!)


さっきまで泣いていた事が嘘の様に、上機嫌のミオを見て安堵する者が多かった。

ミオ自身も、勇者と呼ばれていた男の事を忘れる程クラウドとの約束が嬉しかった。



そして、転移魔法で飛ばされた男……ルイスは、ご丁寧にクラウドによって住んでいる家まで転移させられていたのだった。



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