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14.食べ物の恨みは怖い②

クラウドが来たことで、ミオは安心したのか目からは涙がポロポロと流れ落ちてきた。


「魔王、子供が怖がっているじゃないか! その子を離せ!!」


(私が泣いているのは、クラウド様が怖いんじゃなくて。貴方がクラウド様にあげる筈だったプリンを台無しにしたからよ!!)


クラウドに向かって、喚いている勇者と呼ばれていた男にミオは反論したかったが、一緒に食べる筈だったプリンが台無しになってしまった悲しさでそれどころでは無かった。


「……ミオ。どうして泣いているんだ?」


「ふぅ……あのね? ひっく……クラウドしゃまにっ……あげりゅ……おかちがぁぁぁぁ……うわぁぁぁん!!」


クラウドはミオが何故泣いているか分からなかったが、ミオが指を指した所を見てもなお泣いている理由が分からなかった。

そこへ、シルベットがクラウドに近づいて来た。


「ミオが泣いているのは、あそこの勇者がミオが作ったお菓子を台無しにしてしまったからです。いきなりミオを抱き上げた途端、お菓子が入っていた籠が落ちあの状態に……。ミオが、クラウド様と一緒に食べると楽しみにしていたお菓子だったみたいなので尚更です。」


「……そうなのか?」


「うぅ……」


ミオがこくりと頷くのを見たクラウドは、ミオの頭を優しく撫でる。


「ミオ、少しシルベットの方に行っているんだ」


「……やっ!」


クラウドから離れたくなくて、ミオは首を横に振る。


「シルベットの方に行かないと、あいつを殺れないだろう?」


(今、クラウド様から物騒な言葉が聞こえたような……。)


ミオがクラウドの顔を見上げると、クラウドは勇者と呼ばれていた男を睨み付けていた。

勇者と呼ばれていた男は、クラウドの殺気に手が震えているが剣を構える。


「……その子を助けてみせる!!」


(助けなくていいし、邪魔しないでもらいたい……。その前に、プリンを台無しにしたことを謝らせないと!)


「……クラウドしゃま。」


ミオは、クラウドの胸元の服を引っ張る。


「何だ?」


「おりょして?」


不思議そうな顔をしながら、クラウドは抱き抱えていたミオを下におろす。

ミオは、剣を構えている男に近づいていく。男は、笑顔で膝をつきミオを迎え入れようとしていた。


「……ミオ?」


後からクラウドの心配そうな声が聞こえる。

ミオは、振り返るとクラウドを安心させるように微笑む。


「もう大丈夫だ。君の両親の所に返してあげるからね。こんな所に居て、怖かっただろう?」


(……両親の所に返す? ここが怖い? この人は、どこまで苛つかせたら気が済むんだろうか……。この子を捨てたのは両親だし、クラウド様だってシルベットさんだって皆好い人ばかりだから怖いと思った事なんてないのに……。)


「さぁ、おいで」


男が両手を広げて待っている。

ミオは、一歩。また一歩と近づき、少しずつ歩く速度を上げ。走って男に近づいていく。

へらへらと笑っている男の顔を見て、ミオはぎゅっと両手を握り締めた。


ミオと男まで、あと一歩という時だった……。


ミオを迎え入れようとしゃがんでいた男の顔面に、ミオが跳び膝げりをしたのだ。

男は、反動で後に倒れ込む。

ミオはというと、満足したのかクラウド達の元に帰っていってた。


「……ミオ。何をしているんだ」


「ぶふっ!! あの勇者に跳び膝げり……くくっ」


ミオがクラウド達の元に行くと、クラウドは呆れた様に笑っており。シルベットは、ミオが余程勇者に跳び膝げりをしたのが面白かったのか笑いを堪えるのに必死だった。


ミオ自身は、自分とジーンが作ったお菓子を無駄にした男に跳び膝げりを出来た事に満足していた。


(本当、何て事してくれたんだ! クラウド様の為に、ジーンさんと一生懸命作ったのに。それに、クラウド様を悪く言う人は許さん!!)


頬を膨らませながら怒っているミオに、クラウドは優しく声を掛ける。


「ミオ、おいで?」


「クラウドしゃまぁぁぁぁ!!」



ミオは、クラウドに駆け寄ると勢いよく抱きつく。


「あのね? クラウドしゃまに、あげりゅおかちがね……」


「私の為に作ってくれたのか?」


「あい……」


クラウドに食べて欲しかったお菓子が無くなったということを思いだし、ミオはしゅんと項垂れてしまった。


「たべてほちかったの……」


「おーい! ミオー!!」


大きな声で呼ばれた方を見ると、ジーンが此方に向かってきていた。近づいてくるのを見ていると、ジーンが手に何かを持っていた。


「さっき、ミオが作ったお菓子が駄目になってしまったと聞いて、これを持ってきたんだ。ほれ、あと一個余分に残っているからこれを食べると良い。」


ジーンがミオに差し出したのは、男に駄目にされてしまい悲しんでいたお菓子……プリンだった。


「ジーンしゃん、こりぇは?」


「俺が食べようとしていたものなんだが、これをクラウド様に食べて貰うと良い。」


「ジーンしゃんはいいの?」


「俺は料理人だ。いつでもお菓子ぐらい作れるさ。作り方だって覚えたしな」


そう言って、ジーンはミオに渡してくれた。


(ジーンさん……この恩は忘れないよ!! これからも、ジーンさんにも沢山美味しいお菓子をプレゼントしないと!)


「クラウドしゃま。こりぇ、だべてくりぇる?」


「あぁ、当たり前だ」


「へへっ」


ミオがクラウドにお菓子を差し出すと、クラウドは優しく微笑みながら受け取ってくれた。

そんなクラウドを見て、ミオは嬉しそうに微笑んでいた。

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