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聖典のアルカナム  作者: ヌキヤ讃岐屋
学園闘技大会編
47/49

序章2

「ヴォォォォォォォオオオオオ!!!」


人ならざる声で叫び声を上げるラミアス

それは獰猛な獣の咆哮にそういなかった

肩あたりから角のような突起が2つ

肌は青黒く変色し血管のように赤い管が身体中に張り巡らされている

隆起した筋肉は弾けんばかり濃縮され人間離れした怪力をもたらした、大きさも3セクタ(3メートル)弱とバケモノに成り果てている


「ガルルルル!」


近づく俺達に気づき唸り声をあげ睨みつけてくる

よく見るとその手には棍棒形態の脈打つ生物的武器が握られている


「あの武器はいきているのか······」


「···何があった?」


ロジンの質問に慌てたように連絡しに来た女性が答える

彼女は秘書かな?


「は、はいっ!?なんでも医務室で意識を取り戻せないでいたラミアス君が突然暴れだし少しずつあの身体になっていったとのこと!鎮静剤や睡眠薬は効果なく剣で切りつけても傷一つつかなかったそうです!」


なるほど恐らくあの薬魔狂剤(エボルブ)の影響だな

あのドロドロした液体は何なんだ本当に


「恐らく彼が決勝で使った薬だろうな。確かあれはなにか動物の血だと調査結果が出ていたな?青い血とくればまぁ魔獣の血だろうがあの姿はどちらかと言えば鬼人(オーガ)だろう···しかしオーガなどほとんどお目にかかれない危険な化け物だ、血を取るなど討伐したもしくは捕獲したら既に知らされているはず。最近そういった情報はない···つまりどこかの誰かは綺麗に隠匿したというわけだ」


「オーガって普通訓練とか人が手懐け安い強い系モンスターの定番ですよね?」


「だれだよぉそんなほら教えた恐れ知らずは?いいかぁ?オーガは知性があり怒ると手がつけられなくなる化け物だ。言葉を話し常に3から10程度の個体で動く、力は人の5、6倍で一匹いりゃ人が20は死ぬ。束になってきた日にゃデケェ街が全滅なんてざらだ。昔俺ら英雄と呼ばれた8人で10匹のオーガを殺った時があるがそん時は三日三晩戦い通しだったぜ?」


マジか!?

結構オークとかオーガとか強いけどモブ感を払拭出来ないイメージだったんだけどなぁ···


「ここは余がやろう?」


気がつくと後ろにグレンが立っている

その手には彼の得物と思しき剣が携えられている


「あれは余の得意とするタイプの出会いだ。魔物狩りは我が家の楽しみだ。最近は化け物狩りが出来なくて退屈していてな···よかろう?」


俺はこいつの言葉を聞いて1つ疑問に思った

それは

「まて、お前アイツを殺そうとしてないか?」


グレンの目に浮かんでいるのは今にも飛び出さんとしている殺意の悦び、そして楽しみが目の前にあることを喜ぶ殺人鬼のそれだ


「あれは既に化け物だ、躊躇う必要などあるまい?それとも何か?人を殺して貴様が奴を殺すに足るまで放置すればそれでよいのか?ならば好きにするがいい凄惨たる死体の上に貴様は立つというのだ、それを狩るのもまた一興よな?」


ギラついた笑みに張り付く冷酷な思想

手を出すこともラミアスを助ける術も俺にはない

奴が人を殺すのは時間の問題、人殺しを悪とは考えないがいい気持ちもしないものだ···


「貴様は何をする覚悟も矜持もない。ならば上に立つ者に意見する資格すらない。そこで見ていろ貴様の無力は誰かの死に繋がるということを。まぁ今回は例外なケースではあるがな」


グレンは化け物となったラミアスの前に立つ

ラミアスは目を赤く光らせ咆哮する

グレンは嬉嬉としてその咆哮を浴び猛々しく自らも吠える

幾ばくかの時が経ちグレンは剣を突き立て名乗りを上げた


「余は第12代皇子グレン·グラディウスである!グラディウスの誇りにかけ貴様の最後を俺が看取ろう!安心して死ぬがいい!現れろ軍神の剣グラディウスッ!!」


先ほどの直剣を収め新たに小さい得物を取り出す

刃渡り50セクメタ(50センチメートル)程の小さな剣

両刃は一切不備のない美しい刀身

小さくも存在感を放つその剣に俺はいや、俺達は見とれた


「一刀にて仕留めようさぁ!意を決してかかってこい!」

剣を構え敵を待つその構えはタックルをするそれと似ている

剣を片手に両の腕を広く構えずっしりとしかし付け入る隙がない完璧な構えだった


オーガと化したラミアスは生物のように脈打つ直剣を振りかぶり突進する

蹴った床は窪み床板を破壊していた

突進も異常な速さと重さを内包した一撃

破壊の化身が動き出した様だった


「フッ!所詮は獣、知恵を回した結果が力とは···元がゴミなのか血が混じってもゴミなのかまぁ変わらんか?お前は手を誤った」


その動きは誰が理解できようか?

右脚を軸に外回りから回ったのは間違いない

だが外回りからラミアスの頭部を切り落とすまで、その間があまりにも早すぎた···

俺ですら何をしたのか見て取れなかった···


「まぁこんなものか?そこいらな獣よりは楽しめた。では失礼する、始末は任せたぞ?」


そう言ってグレンはこの場をあとにする

死してなおラミアスは原型を戻さなかった

そして通り過ぎるグレンの首筋

一瞬青黒く隆起する血管を見たような気がした


余談だが血が抜け切ると断ち切られた頭部はラミアスのものに戻った

体の血は青黒く体内の諸器官は原型を留めており脳と心臓が破裂していた

その部位には魔力、特に呪的刻印の跡が僅かに残っていたと調査で分かることになる

それはこの日から一月の時が経ってからの事だった

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