序章
アリスと戦い俺は学園長室に戻っていた
「アスラン、何を話した?あの娘の能力はなんだ?」
「戦友に隠し事とは頂けないぜ?まぁ俺は別にかまぁねぇがな」
俺は息をつき考える
彼女の能力を明かせば彼女は圧倒的に不利になる
彼女の能力は戦っていても気づくのは困難だろう
つまり知られるということはあの能力の優位を一つ欠くと言う事
俺は言うべきこと、言っていいこと、ダメなことを分けて話す
「俺と彼女は幼なじみです···俺がモルドレッド家に生まれ幼い頃、彼女は聖王国に招待されていた貴族の令嬢なんです。そしてエスコートをしていたのが俺の家だった。彼女と俺は互いにそれなりの実力を持っていました。俺は彼女に剣を、彼女は俺に魔術を教えてくれました。そして俺達は特異体質者···俺達は何系統もの技術を互いのレベルまで習得出来ました。あの段階で彼女は聖王国の剣技大会で優勝するレベル···剣王の称号を、俺は古老級の魔術士の称号を与えられました。」
燻気な顔をする学園長
そして重い口を開くようにため息をついて問をぶつける
「一つの聞くが君は貴族の出なんだな?」
「はい···」
俺が答えると学園長は確実に気を重くしため息を更につく
態度から察するに聞いてないぞ?って所か
「私は君を平民と思ってこの学園に入れた、そして君の実力を平民が持っていたということを全校生徒に伝え向上心に働きかけた。それが···まさか聖王国の名門、円卓一員たるモルドレッド家の子息とは···この学園の誰よりも出自がいいではないか?はぁ···」
あぁ、なるほどそういうことか
結果的に嘘を教えていた、しかも実力は家の力ではないと俺を使って証明しようとしたのだ···ちょっと悪いことをしたな
「それに関してはすいません···しかし俺は家とは縁を切っています
。名も残っていない国に俺の家はありません」
「そんなことは問題ではないのだ···まぁ今はいい極力その事実を知られるな?それさえ守ればとりあえずはいい···それで続きを話せ」
俺は頷き再び話しを進める
「そして俺達は2人で夢を持ちました。2人で国を作りたい、貴族や平民なんて差がなく、国民は平等に権利を持ち飢えや殺戮から人々を守れる国を作りたいと。俺達は共に国に買われた奴隷や路地で飢えて凍えている子供を見て耐えられなかった。だから俺達は約束しあいました。そして月日は流れて俺は家を捨て自力で闘技大会を制し彼女を魔導国とのしがらみから救い夢を果たそうとここにいる」
「はっ!平等や平和?そんなもんは偽りだ!世界のどこにだってありはしない!」
大声で笑いながらトゥアハは語る
「人がいれば揉め事が起こる。揉め事が起これば意見は割る。割れた意見に他の人間はどちらが正しいか決めさせられる。当然広がった対立は激化し最後にはどちらかの勝者が正義となり英雄となる。平等を語り人を集めて平和に作り上げたとしよう···待っているのは戦って勝ち残った英雄が残るだけだ。英雄は正義、正義とは勝者これは不変の真実だ」
トゥアハは自分のことのように自分に言い聞かせるように語る
その顔には後悔と苦悩を浮かべていた
「俺達は英雄と謳われたが真実は違う、仲間を犠牲に逃げ帰り勝手にはやし立てられただけだ。俺達は当時の王族にプロパガンダとして使われただけだ。その結果がこのざまだ、一時はいい思いをしたが内政が終わればお払い箱だ」
「それで?君と彼女の関係は分かった、何を話したのかも···いや話そうとして話せなかったことも分かった。おおかた彼女が昔の彼女ではなくなっていて彼女が夢をもう持っていなかった···そんな所だろう?」
「···どうして分かったんですか?」
「簡単だ君が出てきてから顔色が優れない、更に口ごもり何かを隠している。そして今の話を語った事で今述べた予想くらいは立てられる。が、私が聞きたいのは君が大事に隠している部分だ···能力の事だ早く話せ」
鋭いな、あの少しの話と俺の態度から推察してあそこまで当てるなんて
きっといま俺が黙っている間だって彼は何か俺から情報を取っている
俺には駆け引きが足りていない
けれどこの情報は渡せない
どうする···
「能力なら俺の見立てで話してやる···恐らくそいつは話さないだろう。さっきの話じゃあかなりの手練のようだしそして何より恋した相手を売るなんて男にゃ出来ねぇよ···なぁ?」
トゥアハの言葉に俺は思わず赤面する
あれ?なんで俺は赤面するんだ?
あくまで記憶の欠片を話したに過ぎない···俺と彼女は初めてあったんだ、昔あったのは本物のアランだ俺じゃない
そう言えば彼女の前で俺は熱く記憶の中の思いを語った
なんでだ?なんで記憶しかないのに俺は···
「あの灰は恐らく次元構築が可能な特殊な灰だ。アスランの出てきた時、経過時間を聞いてこいつは驚いていた。つまりあの結界の中は外と時間の流れが違う。」
あってる···
やっぱり経験と観察力が違いすぎる。ロジンもトゥアハも俺からどんどん情報を得ている
悔しいけど俺はわかりやすいんだろうな···
「二つ目にあの灰は外からの干渉を一切受けなかった。つまり何かしら制約が付いているしあの空間内なら恐らくあの小娘に圧倒的有利な環境のはず。もちろん消費する魔力は膨大なんてもんじゃないだろうが」
確認のためか俺に視線を向ける2人
俺は必死に顔の表情を固め肯定も否定もしない
ただ表情を固めただけならわかりやすい
だから俺は目を瞑り首を据え腕を組んで反応を表に出さない
「まぁ、ちょっとは顔に出さないように努力しているけどまだまだだな···」
「確かに···」
ガチャッ!!
と大きな音を立てて扉が開く
そして1人の女性が勢いよく中に入ってきた
「し、失礼します!?ラミアス·レルゲンが暴れだし生徒を襲っています!!更にその姿は異様で肩から角の様な突起が出ており大変凶暴になっています!急ぎ指示をお願いします!!」
この一言に3人は立ち上がり学園長室を後にする
波乱の序章が切って落とされる···




