導き2
「一太刀と言ったが私は魔法を1度だけ放つ。貴様らが見たいであろう私の切り札の一つだ。」
そう言って彼女は胸から駒を取り出す
PWの駒だ形は···?
その駒は見たことのない駒でどこか俺との駒と似通った形をしているのように見える
俺は剣を構え彼女の一撃を待つ
すると彼女の剣に深く黒い魔力が集中する
《虚栄の塵》
彼女の魔力が俺と彼女の2人を包み込む
同時に俺の視界は白い光と黒い光の二つに埋もれるように塞がる
気がつけばどこか知らない街の広場に俺は立つ
街並みは崩れさり当たりは塵に埋もれて人気はない
塵は降り積もりに積もり更に空から舞い降り続けている
「私の世界へようこそ···嘘と塵に塗れた世界へ···」
そう言って剣を収めて俺に向かい話を進める
「これから語るのは真実であり嘘でもある。この世界で話す言葉は真実と嘘が1:1でなければならない。故に私はここで嘘をつかない」
もし彼女の話が本当なら今の言葉にも真実と嘘がある···
ここでは何が嘘で何が真実であるか分からない
分からないから彼女はその制約で力を得ている
「私はあなたを知らないわアラン。ずっと探していなかった、会えて本当に嬉しい···」
「ッ!?俺のことを覚えているのか?」
俺は彼女の言葉を待とうと言葉を切ると体に触る塵が鋭刃に変わり俺の肩口を斬る
俺の鮮血が舞い辺りが赤く染まる
「さっきも言ったでしょう?この世界は嘘と真実を1:1にして置かなければならない···この世界で生き残るには黙っているしかない···意味は分かるわね?」
彼女に傷はない、嘘と真実が1:1
つまり彼女の言った言葉には嘘と真実が
そして前者は証明され後者は新たに言われた言葉
つまり後者は嘘そして、『意味は分かるわね?』とはこれが嘘なら喋らなければ塵は牙を剥くということか?
「俺は君との約束を守るために次の闘技大会で勝つ。僕達の約束を僕は覚えていない、だから待っていてくれ必ず成し遂げるから···」
「私たちの約束···か。けれど私は国を裏切れない···私は国のために生きて国のために死ぬ存在···私はそれをいいと思っていないわ···」
「何でッ!?」
俺は堪らず叫ぶ、同時に鮮血が再び舞い散る
けれど俺は止まらない
「君はあの国を変えるって言ってたじゃないか!?理不尽な死と家柄や能力の優劣で人を排他する国を変えるって!そして2人で···2人で少しづつ変えていこうって···行ったのに···」
「······」
彼女はそんなこと知らないといわんばかりの無情の顔を浮かべる
その瞳に俺の言葉は届いていない···
気づけば目に涙を浮かべていた
記憶の彼女は明るく強い意志を持ち生きようという意志があった
今の彼女はあの頃の面影を持っていない···
「さぁそろそろ終わりにしましょうか?この世界は魔力を与えなければ消え去る···もう語ることはないわ。それじゃあ次に会うときは世界中の強者達の頂きよ?あなたとの誓も、今の私の思いもその先にしか存在しないのだから···さようならアラン···」
塵が舞い散る
空は碧を纏い塵は光に変わる
塵の嵐は彼女を包む
そして塵が晴れた闘技場からカズシとアリスの姿は既に無かった
「アスランたった一分くらいで出てきたと思ったらなんでお前ひとりなんだ?あの勇者もいなくなってるし」
一分?
一分だと??
『戻ってきたか···』
『まったくまさか僕達まで切り離されるなんてね』
どういう事だ?
『どうもこうもねぇよあの嵐の中には俺達も含め誰も入れなかった』
『しかも魔力量は化け物と言うには優しい、あれは化け物だって敵わないよ···』
『あの塵はヤバイな』
『それにその言い方だとまるで何十分も中にいたみたいな』
俺達は恐らく20分はいたはずだ···
『空間遮断···』
『破砕の塵···』
俺はあの言葉を思い出す
『君たちじゃあ敵わないよ』
俺は手に汗を握りあの幼なじみへの幾つもの思いや考えを頭がいっぱいになるまで巡らせた




