異世界転移
天高く陽が昇る頃少年は塔から周囲を見渡す
遠く広い空間に30数人の学生がある男と戦っている
少年はいぶしげな目を向けるが少し考えてからそれもよしともう1人、本命の青年を見つめる
「君は本当に話題に事欠かないんだね?まさかあのイレギュラーが介入してくるとは思わなかったよ。僕の目も少し悪いのかもしれないね···」
ある時8人の人間が塔の最上層まできていた
全100階の塔の80階を超えた人間は初めてだった
しかし8人の人間は魔物の最後の足掻きにやられ塔を攻略する権利を剥奪された
「あの時はがっかりしたよ···あんな例外中の例外がそうそう生まれてくるはずも無く、それが8人も集まるなんて奇跡としか言えないからね。けれど彼らじゃなかった···そして今君には同じようにイレギュラーが集まりつつある、もう少しだよアラン···早く来てくれよ!僕を楽しませて世界も救ってくれ!」
少年は声高らかに叫ぶ
小さな両の腕大きく広げ塔の淵に立つ
「時間は迫っている!あと8つ針が進めば世界は崩壊を始める!君は間に合うのかな?それとも···」
クククと薄ら寒い笑い声が聞こえる
『ソナタの世界など崩れ去る運命···もう回避などさせない···陽のもとに住むのは我が息子達ぞ···』
その言葉は形なく辺りに谺響する
少年は笑顔を消し塔の中へと入っていく
嫌な笑い声は低くやさ止まる気配もない
声は少年が塔に消えるまで
消えた後も不気味に続いていた···
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俺達が訓練を続けていると1人の青年が学園内に侵入し俺達の元まで来た
突然の来訪者に俺達は訓練を一時中断し注目する
「俺は異世界より勇者として命を賜って転移した勇者カズシだ!ここに英雄殿がいると聞いて尋ねた!決闘を申し込む!」
異世界転移の日本人?
マジかよこんなイレギュラーな出来事って起こるんだ笑うわ(笑)
「ここに来ているのは分かっている!アガート殿は何処か!」
流石にひと目でわかるだろ?
ってツッコミたくなるな···明らかに1人だけ学生じゃない老人がいるじゃん!
「名を名乗り決闘を申し込まれたところ悪いが今は仕事中であるが故日をあらためて貰えぬか?」
丁寧な対応をするトゥアハ
確かに昔と違って決闘を強制するような風潮は薄い
逃げれば恥だが逃げているわけでもない
これは帰るのが妥当だと思うけれど···
「貴殿がアガート·ラーム殿か!ならば問答無用!」
一気に飛び出し斬り掛かる
「我が自慢の足と神より授かりし聖剣エクスカリバーの錆にしてくれる!」
「なに?」
リーナが怪訝な顔をする
当然だろうな自分と同じ名の聖剣を携えると言っているんだ
不思議がって当然
「貴殿自慢の脚?エクスカリバー?ハッ!笑わせるな、エクスカリバーとはそんなに軽い剣のことでは無いわ!」
そう言ってあのエクスカリバー(転生バージョン)を吹き飛ばすトゥアハ
剣がなくなりやれることが無い勇者カズシは風のような速さでその場から離脱する
「貴様の得意なのは走りだったか?なかなかだが···」
トゥアハが消える
次の瞬間加速しながら逃げるカズシの目の前にでて来て壁となる
カズシは勢いよくトゥアハの胸に頭を突撃させ気絶する
それを見下ろし呆れたように見下ろす
「貴様は確かに足が速いようだがその程度、そこら辺に五万といるぞ···」
---数分後---
「はっ!?」
「お?目覚めたか?」
カズシはキョロキョロと辺りをまさぐる
「俺の、俺のエクスカリバーは?どこです!?」
俺はそっと近くにやつの剣を置いてやる
すると飛びついて剣を抱き抱え安心したように体を落ち着ける
「はぁ···せっかく聖剣を貰ってもこの様じゃ勇者何て名乗れないよな···」
「お前は異世界転移したんだったよな?日本から来たのか?」
俺は日本語で話しかける
「えっ?日本を知ってるんですか!?なんで!?何でなんです!?と言うか日本語分かるんですか!」
「俺は異世界転生ってやつをしちまってな···」
それから俺とカズシとお互いのことを語り合った
結果分かったことはこいつを召喚したのは神じゃなくて人
魔導国に召喚され勇者として経験を積ませるために旅をさせられているそうだ
一緒に召喚された仲間が3人いるらしい
「そして召喚されてから最強の武器か防具を俺達は渡されました」
「その剣は実物だな···」
「実物??」
俺が叢雲を取り出す
するとカズシは驚いて目を見開く
「これはPW心を具現化するこの世界の武器だ。普通本物の鉄を使った刀剣ではPWに勝つことなんて出来ない。恐らくお前を呼んだもののPWを発現出来なかったんだろう···」
恐らくこの世界の精神体と元の世界の精神体は違ったものなのだろう
魔力増幅系統はPWで行われているのに召喚系統は発現されていない
逆にPWは魔力であるならネクロマンスすら発動できる···
「僕達はどうなるんでしょか?」
「不法侵入の分とトゥアハさんへの謝罪···とりあえずこの二つで済むように俺も掛け合ってみるよ」
不安そうだが知らないこと世界で知ってる言葉を使って話せる
自分と同じような境遇の人間とあえて少し落ち着いたように見える
「一つ聞きたいんだけど、斉木学園ってしってるか?」
「はい、確か生徒が1人暴行で死亡したって5年ほど前にニュースで話題になって、それから学校に警備員を付けたりする学校が増えたんですよ」
そうか俺は死んで国に貢献したのか
俺の死で他の誰かの死が減るなら俺の一生にも意味はあったのか···
「ありがとう、さぁじゃあ早いとこ学園長のとこ行こうか」
「は、はい···」
それから学園長室に行くと
「たいへんご迷惑をお掛けしました···」
「失礼します学園長カズシを連れてきました」
俺が入ると1人の女性が学園長と対話していた
「あぁすまない、魔導国の人を呼んで迎えに来てもらった。お咎めは無しでいい、賠償金は支払われたからな。あぁ紹介しよう、魔導国のアリス·メフィストフェレス殿だ。」
その顔を見た瞬間俺は凍った様に動けなくなった···




