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聖典のアルカナム  作者: ヌキヤ讃岐屋
第一章 学園(前編)
3/49

対面

 目覚めると俺はある光景を見ていた

 それは世界の誕生だと頭に叩き込まれたみたいに理解した

 そしてそこには一人の無邪気な少年が空高くある塔に立ち世界を見下ろしている

 

 少年は何と言っているのかわからないだけど一つ分かったことがある

 簡単なことだ、ここは俺のいた世界じゃない


 少年は喋り終わると手を大地と水平にかざしまた何かを唱え

 すると人が二人現れた、そして塔を中心におそらく東西南北四方向に二人ずつ人を生み出した

 現れた二人組は各方向に向かって走り出し塔から見えなくなる

 そして少年は満足そうに笑みを浮かべて塔の中へと消えてい


 そのシーンが終わると頭にすさまじい頭痛が起きると同時に目の前の景色が一変する

 

 そこはかなり大きな家の一室だ

 二人の小さな少年がいた今度は分かる言葉でしゃべっている

 二人は貴族の家の子で弟は家族や周囲に認められず兄はそんな弟と仲良しで二人で必死にその境遇に抗っているようだった

 突然床から蔦が生えてきて兄のほうに巻き付き拘束する

 力では外せないようで、でも必死にもがいている

 すると弟のほうが兄に魔法陣のようなものを書き始めた

 兄は言う「やめろォ!頼むお願いだから諦めないでくれ...俺を...置いて一人で行くなよ...。」

 泣きながら別れようとする弟を止めているんだ

 だけどそれもむなしく魔法陣が美しい輝きを放つ、周りが見えないほどの光を放ち俺も目の前が真っ白になる

 次に見たとき弟の体はなく着ていたローブだけが残っていた

 残された兄は床に倒れピクリとに動く気配はない


 「やぁ、ここまでお疲れ様」

 そういって現れたのはさっきの塔の上にいた少年だった

 無邪気で心底純真そうな笑顔の少年は俺の目を見て


 「僕は神様でねぇ、さっき見てもらったのは僕がこの世界を始めたときの記憶でね、少しはどんな世界かわかってもらえたかな?」


 「さっぱりわからない、第一なんでこんな映像を見せたんだ?」

 俺は知らず知らずに喋れるようになっていた


 「なんでかぁ、しいて言うなら君にはこの世界に来てもらったからかな?唐突だけど君にはあのお兄さんとしてこの世界に生きてもらうよ。あとさっきのは映像ではあるけど現実だからね?」

 

 俺は頭がこんがらがりそうになるがまだついていける

 きっとこれはあの世で、そういうゲーム的なのがあの世の正体だったとか?

 普通に軽く現実逃避が入ってしまった


 「君、現実逃避するのはやくないない?ふつう僕に向かって『お前は誰だ‼』とか言うでしょ?まぁそれについてはさっき言ったのがすべてだけど。まぁどうせ始まればやりきるしかないし細かい説明省くからね」


 とっても投げやりで今の状況を説明してくれないし、こいつの話は余計に理解することを妨げる

 「まず、俺は間違いなく死んだんだろう?」


 「わからないよ?昏睡状態の夢の中で僕が表れて話してるだけかもしれないじゃないか?」

 満面の笑みで人をおちょくってくる自称神

 「あ、心の声聞こえてるからdisると悲しんじゃうよ?」

 

 「はぁ、分かったよ。で、なんで信用してほしいはずのお前がそんなこと言うんだ?」


 「話せば長いんだけど、君はそういうと聞きたがらないだろうから端的に言うね。神様って暇なんだよねぇ...。」


 「は?それだけ?」

 皆さんこの見解は間違っているのでしょうか、いいえきっとみんなもこう言うでしょう


 「それだけとかないわぁ、この上なく死活問題なんですけど。誰かに向けてかコメントし始めるしさ。いいじゃん、さっきの感じ、君も死にかけてたみたいだし。あのお兄さんは魔術の負荷に耐えられず精神逝っちゃったし、リサイクルだよ。」


 こいつはとんでもねぇこと言いやがった

 人形を弄ぶような軽い気持ちで人を呼び出し、あまつさえ死んだ人間に移すとか


 「あの二人のほうがもっと理を外れてるよ?多重人格はあくまで俗物的なまがい物でしかないのに、なのにあいつら本物になろうとしたんだよ?神でもなれない完全に二つの意識を同時に展開する化け物に。ただただ化け物になるところだよあんなの。」


 「いちいち心の言葉にコメント止めてもらいたい。それで俺はあの人になってどうすればいい?」


 すると不思議そうな目で見てくる

 「ただ生きればいいさ、まぁよくわかんないのに勝手に呼び出しちゃったから詫びと思って二回目の生を謳歌してくれていいよ。あ、そろそろ入れないと器が持たないからもう入れちゃうね?まぁまた会う機会はあるよ。」


 そういってなにかをつぶやきだした

 同時に映像の中の彼の体が光りだす


 「言い忘れてたけど、あの中に入ったらあの二人の記憶と君の記憶は混ざるから君ではなくて多分あの二人になる。でも君が消えきることもないから...まぁがんばって!!」


 最後に満面の笑みを浮かべて俺は体の浮遊感とともにまた意識が深く沈んでゆく

 沈み切るまであの自称神の笑顔は俺をとらえていた

 まるですぐに再開できるかの如く

 そして俺の意識は完全に沈黙した。

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