休養日
深く粗い息遣いが聞こえる
自分のものではない別の誰かの体になったみたいな感覚
動かない体は吐きそうなくらい疲れきっていた
この場に立つ影は二つ
一つは威風堂々と剣を地に突き立て立つ少女
もう一つはボロボロで地に伏せる俺
少女は悠然と俺に告げる
「ふっ···そんなもの···か?余を地に伏せるには···至らないらしいな。だがアラン、貴様は手を抜いた···な?ハァハァ···」
「な、なぜそんな···こと···を?」
「簡単な···ことよ、あんな強大な力がセーブされていなければ余は既に死んでおる···何故手を抜いた?
「手を抜いてなんていない、俺は手を抜いてなんていないぞ?事実俺はこんなボロ雑巾のように地面に突っ伏している」
「恐らく、お前は詠唱を完成させていない···神器が辞めさせたのかあるいはお前が言わなかったのか余にはわからぬ。されど此度の試合そなたは余に手を抜き、我が宝剣を叩きおった」
その瞬間地に突き刺さっていたエクスカリバーが砕けて元の駒に戻った
「アラン、そなたの勝ちじゃ···世界初のな」
その一言と共にリーナはこちらに振り返った
この時の彼女は王としてではなく1人の女の子、1人の剣士として俺の勝利を宣言した
その瞳の端に僅かな涙を堪えて···
------
翌日に特例として大会の試合を一時中断し休養日が与えられた
理由は俺の連戦による疲労とダメージが予想を遥かに上回るものだったからだ
「アスラン様大丈夫ですか?何か要りようでしたらスグに私にお申し付け下さい!」
そんなこんなで今は自室のベッドで安静にしている訳だが···
「ちょっとルフェイさん!私が先に来たのになんで貴方がアスランのタオル変えてるんですか!?」
「それは私がアスラン様のお付きだからです!私はアスランの身を守り、手伝い、支えるためにいるんです!あなたにとやかく言われる筋合いはありません!」
「な、何ですってぇ!?」
とまぁ、お見舞いに来てくれた2人が現在喧嘩の真っ最中で
「アスラン!それ本当なの!?彼女、いえ、ルフェイさんはランク5位、更に貴族の家柄、アスランのお付きって本当なの!?お付が付くってことは聖王国の貴族のしきたり、つまりアスランは聖王国の上級貴族ってことなの!?」
すごい形相で詰め寄ってくるミラーナ
「いや、それはまぁ···その···。」
「そうなのです!アスラン様は聖王国モルドレッド家の長男であらせられます!」
盛大に暴露されてしまいましたとさ···めでたしめでた···しじゃねぇ!!
「ちょいルフェイ、なんで話して···」
「ミラーナは仲間です、バレる秘密など無くした方がアラン様の為になると判断しました。」
その顔はさっきのような優しい笑を消し
主を思い忠誠心からくる本当の言葉だと信じさせるにたる物があった
ここで何か言うのは主である者として間違っている···
俺の心がそう言っている
「分かったすべて話すよ」
そうして俺は家出したこと
家柄をすべて語った
俺の出自と俺の前の2人については話さなかった
「そんな事があったんですね。すいませんアラン卿、円卓の騎士様にあのような不敬な態度を取ってしまい···」
「やめてくれよミラーナ、俺は君と友人として接して来たんだ。むしろ平民出の者にあんなに優しく接してくれてありがとうと言わせてくれ。そしてこれからも今まで通り接して欲しい、なにより態度を変えられると俺の存在がバレちゃうからさ」
「分かりました、ですが最低限の礼儀を忘れないように···」
「俺は今まで通りでと言ったよ?敬語とかも無しね」
これでいいんだと思う
学園での生活は居心地がよかったし満足していた
これを壊す方を選ぶ理由もない
ならこれで間違って無いはず、ルフェイとミラーナといつも通りの生活を送れる
「邪魔をするぞ!アラン、いやアスランはいるか!」
入ってきたのは何やら楽しそうなリーナだった
「あっ、アーサー王!?な、何故ここに!?」
ふふふ!っと笑いながら
「余もここに入ることになった!」
ッッッ!!!
満場一致の驚きと共にリーナの高笑いが学園に鳴り響いた




