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隻眼隻腕の剣士  作者: 柊 紗那
第六章 過去編
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第五十九話 盗賊退治

師匠との話し合いを終えた俺は、楓の元へ向かっていた。さて、楓にどう説明したものか。普段は大人しい楓も、勘は鋭い。恐らく嘘を交えて説明したとしてもすぐにバレるだろう。嘘を交えるのは得策じゃない、か。ならば、はじめから正直に話すしかないな。何て言われるか少し怖いが、仕方が無い。

考えがまとまったところで楓の姿を見かける。楓は中庭に面する縁側に座っていた。


「楓、終わったぞ」


「兄さん。お疲れ様です。それで、母さんはなんと?」


楓の隣へ腰掛けながら問いかける。楓は俺の顔を見つめ、そう返答した。

来たか。質問されると思っていたが、やはり来たか。


「ああ、俺に人を殺して貰いたいらしい」


「!?」


なんともないような俺の言葉に、楓は驚愕に目を見開いた。


「どういうことですか!?」


そして、叫び声と共に立ち上がる。そうすると、必然的に俺が楓を見上げるような形になった。


「今の時代は争いばかりだ。そんな中でどんなに腕が強かろうと、人を殺せないんじゃ生きてはいけない。人を一回殺しておくと、大分慣れるものらしい。だから、今後のために殺しておけと言われた。勿論、善良な人を殺すわけじゃない。ここに近づいている盗賊をだ」


「そう、ですか。ですが、早急過ぎではないですか!あと数年経ってからではいけないのですか!?」


俺としては宥めるつもりだったのだが、楓は全く落ち着くことはなく、逆に抗議するような声を上げた。


「確かに今は多感な時期だ。人を殺すことによって受ける精神的疲労も、実は想像出来ない。俺が思っている以上に受けるかもしれないし、何も思わないかもしれない。だが、多感な時期だからこそ、受ける影響というものもある。剣士は人を殺すことに慣れなきゃいけない。変に凝り固まった価値観を持って人殺しに慣れることが出来なくなってしまうこともある。その前に、どうしても慣れて置く必要があるんだと。俺も剣士の道を目指す時からこの日が来るんじゃないかと思っていた。これは避けては通れない道だし、必ずいつかは通らなければならない道だ。そんな道は早めに通っておいた方がいいだろう?」


「…………わかり、ました。兄さんがそう納得しているならば、私は何も言いません。ですが、必ず生きて帰って来てくださいね?」


今にも泣きそうな表情を浮かべた楓の言葉に、俺は笑って頷くのだった。













「準備はいいかい?」


「ああ、勿論だ」


遠くで土煙を上げ接近してくる馬車を見つめながら問いてきた師匠の言葉に、俺は大太刀を抜き放って答える。


楓との話が終わった後、見計らったかのように出てきた師匠につれられ、盗賊退治のために街の外へ出ていた。そういえば街の外に出たのは、師匠に拾われる前以来だな。

そう思うと、不思議と外の世界が目新たしくなってくる。


「来たよ」


師匠の言葉に前を向くと、既にはっきりと馬車の姿を視認できるほどの距離に接近して来ていた。


「あたしの後に出な!」


そう俺に一声かけると、五台ある馬車のうち一台に電光石火の勢いで接近すると、空高く振り上げた大太刀を、刀身がブレて見える速度で振り下ろした。







































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