第五十四話 膝枕
差し込む光に目を開けると、師匠の顔が近くに映っていた。師匠はかなり美人だ。しかも、楓とは違い柔らかい感触が後頭部に伝わり、甘い香りが鼻腔をくすぐる。これはまずい!
「な、なななにを」
「あははっ、弘次郎でもそんなに慌てることがあるんだね」
慌てる俺が面白かったのか、師匠はお腹を抱えて笑い始めた。師匠、笑いすぎじゃないか?それよりも、膝枕、今人気なのか!?
「やられてわからないかい?楓が弘次郎を膝枕したっていうから、あたしもやって見たんだよ。どうだい?いいだろう?楓と違って体も女らしいし」
どうやらなにに反応してるかばれてるようだった。
「とっ、とにかく。もう大丈夫だから」
そう言って勢いよく起きようとすると、楓と同じように肩を抑えられて元に戻された。
「くっ」
「あははははっ。まだまだだね」
悔しそうに歯を噛みしめると、再び笑われた。
「女らしくなくてすみませんでした」
その時、後ろの障子が開き、お盆に湯飲みと団子を乗せた楓がこちらを見ながら、呆れたように言い師匠の隣に腰掛けた。
「まだまだ成長の余地は楓にはあるよ。まあ、私には勝てないだろうけどもさね」
「そんなことまだわかりませんよ」
師匠の軽口に軽口で返しながら楓はお茶と団子を配った。団子に師匠が気を取られている今が好機!
「隙あり」
「あっ」
「あっ」
隙を付いて起き上がった瞬間、頭に熱湯が掛かった。
「〜〜〜〜〜っ!??!」
「あ〜、熱そ」
師匠の痛ましい声を聞きたながら、口から声なき声を出すのだった。




