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隻眼隻腕の剣士  作者: 柊 紗那
第六章 過去編
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第五十三話 一ノ太刀仕上げ

翌日、俺は大太刀を抜き、同じく大太刀を抜いた師匠と鋭い視線を交わしていた。


数日前に残響を習得したばかりだが、まだ実戦段階にまで至っておらず、仕上げとして師匠と試合をすることになった。


「行くよ!」


師匠の口から合図が発せられると、目にも留まらぬ速度で肉迫して来る。

やはり速い!


「はぁ!」


師匠が肉迫するタイミングにあわせて大太刀を切り上げる。大太刀の刃がギラリと光り師匠へと迫るが、師匠は大太刀を難無く左へ身を翻して躱した。


「そこだ!」


「いいところをつくね!」


師匠が身を翻したことを見逃さず、すぐさま左へ切り返す。流石の師匠も体制を立て直せなかったのか、鍔迫り合った。互いに力を込め、チリチリとかみ合った大太刀の刃から火花が散る。


「なかなか様になってきたじゃないか」


「もう何年も剣を振ってるんだ。様になってなきゃ落ち込む」


「そうかい。んじゃ、その自信を切り崩そうとしますかね!」


師匠は足に力を込め、後ろへと跳躍する。鍔迫り合うことに気を取られていた俺は、師匠が後ろに下がったのに気付かずに前へつんのめってしまった。


「体がガラ空きだよ!」


「かはっ」


いつの間にか目の前へ来ていたのか、体制を崩した俺の腹に師匠によって蹴りを入れられ、吹き飛ばされた。

砂煙を上げながら枯山水の上を転がって行く。


「隆元流一ノ太刀 残響!」


師匠の近づいて来る足音に合わせて起き上がりながら残響を放つ。


「甘いね」


「なっ!?」


が、全て躱された。

冗談だろ!?あれをかわすのか!相変わらず化け物だな!


「まだ斬撃の数が足りない!」


「くっ!」


俺の苦し紛れの残響を躱した師匠は、勢いそのままに俺の大太刀を真上へ弾く。

しまった!避けられたのに気を取られて体制を崩しちまった!

終わりを覚悟して目をつむった俺だが、次の瞬間、横っ腹に来た衝撃によって二m先の岩に叩きつけられた。


「なに目をつむってるんだい!まだ終わりにしないよ!」


身体中を襲う痛みに耐えながら必死に足音を拾う。まだ大丈夫だ。二メートルあれば立て直せる。


「これで終わりにしようかい!」


「まだだ!」


師匠が大太刀を振るう前に岩を踏み台にして後ろへ宙返りし、師匠を飛び越える。俺を捉えるはずだった刃が俺の代わりに岩を両断した。

出鱈目だ!


「ぐっ」


大太刀を躱した俺だったが、地面へ着地した時に走った激痛に思わず膝を付く。それは師匠とって永久(とわ)に等しい隙で、俺の首筋に大太刀を当てた。


「あれを躱したのはよかったけど、まあまだまだだね」


「ああ、そうだな」


それだけ返すのが精一杯で、俺は地面に倒れ伏した。































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