↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隻眼隻腕の剣士  作者: 柊 紗那
第六章 過去編
52/66

第五十二話 夕食

「楽しそうだったじゃないか。馴染めたかい?」


夕食を作りに台所へ歩いていた時、縁側へ腰掛けた師匠にそう話し掛けられた。


「聞いていたのか?」


「まあね。あんたはえらく達観してるから、同い年の楓とうまく馴染めるか心配だったんだよ」


少し大袈裟な振りで心配だったと師匠は自分の両肩を両手で抱く。それを見て俺は苦笑した。


「大袈裟過ぎないか?それよりも、俺はそんなに浮世離れしているつもりは無いんだが」


「してるさ。私が知っている子供よりもずっとね」


遠い目をしながら師匠はそう俺に返答した。なにかあったのか、昔に。


「そういや、師匠は魚と肉どっちがいいんだ?」


「今日の夕食かい?そうだねぇ。魚だね」


「魚か。ちょうどいい鮮魚も手に入ったし、手っ取り早く刺身にするか。それじゃ師匠、また夕食で」


「あいよ!」


夕食の献立を頭の中でピースのように組み立てながら師匠に礼をする。師匠はそれに手を上げて返した。













「「「いただきます」」」


時間は進み夕食刻。

テーブルの上にはお造りが三つ豪華に並んでいた。楓は刺身というものを今までかつて食べたことがなく、若干目が潤んでいる。

食事の挨拶を済ませた俺達は、勢いよく刺身にがっついた。


「これはなんだい?」


白色をした魚の身を箸で摘まみながらそう問いかけてくる。口の中の刺身と米を飲み込んでから口を開いた。


「鯉だ」


「「………………」」


師匠はともかく、情報に疎い楓でも鯉が高級魚だとは知っていたようで、箸から刺身を滑らせながら沈黙した。


「高級魚じゃないか!私だって滅多にお目にかかれないのに、どうやって手にいれたんだい!?」


「どうやってって、たまたま通りかかった釣り人のおっちゃんが三匹釣れたから持っていけって渡されたんだが」


「ほへぇ〜」


あまりの釣り人の良い人さに、楓は間抜けな声をあげた。


「なんでも師匠にはお世話になっているからこれはそのお詫びだって渡された」


「あんの馬鹿ども」


おまけとばかりに俺が補足をすると、師匠は片手で頭を抱えて呻きを上げた。


「理由を聞いたら食べるのがもったいなくなくなってきた。さ!食べるよ!」


師匠のその一言で俺達は再び鯉に手をつけ始める。


今日の夕食は驚愕に彩られていた。




























評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。