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隻眼隻腕の剣士  作者: 柊 紗那
第六章 過去編
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第五十一話 楓


差し込む柔らかな夕陽を浴び、眩しくて眼を薄く開ける。


「あっ、起きましたか?」


眼を開けると、視界には師匠が拾って来た少女の顔が…………って、いやまて近過ぎないか?


「なに、やってるんだ?」


「膝枕、ですよ。兄さん」


兄さん?兄さんって俺のことか?


「聞きたいことが二つある。兄さんって誰のことだ?なぜ膝枕なんてしてるんだ?」


矢継ぎ早に繰り出す質問に、少女は笑って口を開いた。


「兄さんは、私の兄さん。つまりは弘次郎さんのことです。私より早く母さんに拾われたから、兄さん」


母さんってのは恐らく師匠のことだよな。なるほど、それで兄さんか。


「膝枕をしているのは、一度やって見たかったからです」


やって見たかったから、ねぇ。まあそう思うことはあるだろうし否定はしないが、相手を選んだ方がいいと思うぜ。


「なら、もういいな」


少女の膝から体を起こすが、肩に手を置かれて元の位置に戻される。


「まあまあ、もう少し話をしましょうよ」


そう言って天真爛漫に笑う姿は少女のようだ。まあ、少女なんだろうけども。


「話ね。俺と話をしてもなにも楽しくないと思うが」


「いいんです。楽しいんですから」


ずっと、一人だったからと小さく動いた口を俺は見逃さなかった。


「そうかい。そういや、お前の名前を聞いたことがないな。なんていうんだ?」


「楓。渚楓といいます」


「いい名前だな」


「はいっ」


俺がそういうと、楓は花が咲いたような笑みを浮かべた。


そして、俺は夕飯時まで楓と会話に花を咲かせていたのだった。






























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