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第三十二話 ナルヴァの蹂躙、東大陸の希望
弘次郎が凄絶な笑みを浮かべていた頃、東大陸最西端ではーーーー
「や、やめっ……うわぁぁぁぁ!!!」
「たすけっぎゃぁぁぁあ!!」
「いやぁぁぁぁあ!!」
ーーーーナルヴァによって蹂躙が繰り返されていた。七mはあるかという巨躯が歩くたびに家々が薙ぎ倒され、人々が逃げ惑う。ナルヴァが咆哮するたびに衝撃波が撒き散らされ、人々が吹き飛ぶ。ナルヴァの顎から閃光が迸る度に、人々が蒸発する。冒険者達が攻撃しようと魔法を放っても不可視の壁によって防がれ、武器で攻撃しても剛毛によって弾かれる。二本の尻尾を振るう度に冒険者達の体が砕け散る。
手も足も出ず、ナルヴァが通ったあとはなにも残らない。山でさえ、巨大な都市でさえ。文字通り天災級の化け物が暴れまわっていた。
「早く逃げろ!そして南大陸の、判別不可能の化け物に伝えてくれ!東大陸の運命はお前にかかってると思え!さあ、いけ!」
人々が絶望し希望を失う中、勇敢にも動く二つの影があった。一人の男が狐族の少女を馬に乗せ、強引に走らせる。動く影を見つけたのか、ナルヴァが口から閃光を吐き出し、男を蒸発させた。
「うぅっ」
男が蒸発するのを見て、狐族の少女の目から大粒の雫が零れ落ちる。しかし、決して振り返ることはなく、馬を走らせ続けていた。




