第二十七話 旅の一幕
雲一つない昼下がり、さんさんと日の光が降り注ぐ空のした。踏みならされた砂の道を歩く四つの影があった。
「コウさんって本当多才ですね」
艶やかな黒髪をポニーテールに結び、なめされた皮の傘をさした少女、ダリアがくるくると回りながらつぶやく。
「この傘も凄いですよね。ただの木と皮からこんな立派なものが出来るんですから」
腰まである銀髪を風になびかせ弘次郎の隣を歩く少女、ルリィがダリアに同意する。
「うん」
肩まである白髪を揺らし傘をつつく少女、カルミアが二人の言葉に頷く。
「そんなに立派なもんでもねぇよ。ただ、長年旅するためには自分で材料を調達して傘を作る必要があったってだけだ」
黒髪の片側だけ三つ編み状に結んだ隻眼隻腕の着流しを身に纏った男、弘次郎が何ともないように答える。
弘次郎達は、前日に受けた依頼の目的地であるレナス村へ向かっていた。この日差しの中を何もない状態で歩くのはきついため、弘次郎は魔法袋(所持者が魔力を持っていれば使えるほぼ無限に入る袋)から木となめした皮で傘を作り、三人に渡し、日差しを遮っている。馬車を買えばわざわざそんなことをしなくてもいいように思うのだが、
「旅ってこうして歩いて、ですか?」
「旅は歩くものだ。緩やかに流れる景色を楽しみながらな」
という理由で、歩いてレナス村へ向かっている。街を出る前に青龍偃月刀とトゥ・ハンド・ソード、それから短剣を購入し、三人に渡してある。
「何だかお爺さん、みたい」
カルミアは弘次郎の言葉に口に手を当ててクスクスと笑う。
「だからな、俺は元々ろくじゅっーー」
六十と言おうとした弘次郎の横腹にルリィのコークスクリューブローが突き刺さり、弘次郎は片膝をついた。
「なにを、しやがる」
恨みがましげにルリィを見据える弘次郎だが、ルリィはなにも言わずににこにこと笑みを浮かべるだけだった。




