第二十五話 これから
弘次郎が指導を始めてから一週間が経った。ルリィ達は当初の目標だった騎士達5人と同等の強さを超え、騎士達25人と同等以上の強さを得た。
目標の達成。すなわちそれは奴隷の解放である。
弘次郎はそのことを話すため、自分の部屋にルリィ達を呼んでいた。
「鍵は空いてんぞ」
「失礼します」
恐る恐ると言った感じでノックされ、扉が開けられる。扉の向こうにいたのは、ダリアとカルミアだった。ルリィはいねぇか、ってこは空気を読んだってことかね。
「呼んだ理由は言わずもがなだ。お前さんらは良くやった。もう自由だ。もうそこらの盗賊達に捕まるこたぁねぇだろう」
弘次郎はダリア達に珍しく笑みを見せ、労わるように声をかけながら、奴隷の首輪に手を伸ばす。
「外さないでください、コウさん」
が、其の手は首輪に届くことはなかった。弘次郎と出会った時のダリアとカルミアはあれだけ奴隷を嫌がっていたはずなのだが、弘次郎の手を払ったダリアとカルミアは、うっとりとした表情で首に掛けられた首輪を撫でた。
「私は、コウさんと離れたくありません」
首輪から手を離したダリアははっきりとした口調でそういい、カルミアも頷いた。
孤独感や不安感から開放されたための依存。ダリアとカルミアは、最も近くにいた人間、弘次郎に依存していた。
一度他人に依存した人間は、そう簡単に依存から抜け出すことはできない。弘次郎はダリアとカルミアの唯一無二の心の拠り所であり、親のように安心感を与えてくれる存在でもあった。そして、ダリアとカルミアは、弘次郎に依存心だけでなく、恋心も抱いていた。好きな人間と離れたく無いのは当然のことだろう。ダリアとカルミアも、自分が弘次郎に依存していることは理解していたが、抜け出そうとはしなかった。それどころか、深みに入っていくのを受け入れていた。
首輪を外されたことにより、弘次郎と離れることが、ダリアとカルミアは嫌だったのだ。
「ったく、わーったわーった。外さねぇよ」
頭をがしがしとかいた弘次郎は、伸ばしていた手を引っ込む。あー、ったくどうなっているのかまったくわからん。
「んで、お前さんらはどうすんだ?」
「コウさんのそばにいます」
弘次郎の問いに、ダリアは即答し、答えが返って来た早さに弘次郎は辟易する。本当どうなってんだ?
「それでは、コウさん。おやすみなさい」
「おやすみ、なさい」
「あ、ああ、お休み」
そうダリアとカルミアは弘次郎に一声掛け、部屋から出て行った。
弘次郎は結局わからないまま、眠りにつくのだった。




