↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隻眼隻腕の剣士  作者: 柊 紗那
第三章 貿易都市ガリーニャ
24/66

第二十四話 指導〜ルリィ視点〜


side〜ルリィ〜



ダリアとコウさんの戦いを目にして、私はこう思った。ーー羨ましいと。コウさんとまともに打ち合える強さが、コウさんに食いついていける強さが。


悔しかった。なぜ私じゃなく、ダリアなんだろう。なぜ私は強くないんだろう。なぜ私はあの場所にいないのだろう。


そして、なぜ私は悔しいと思うのだろう。悔しいと感じるということは、負けを認めるということ。負けなんて認めたくない、まだ負けていない。


それなのになぜ、こんなにも悔しいのだろう。悔しいと思うことが悔しかった。負けを認めてしまう私の弱さが悔しかった。


「二人とも、突っ立ってねぇでかかって来い」


ダリアを伸したコウさんが、私とカルミアに呼びかける。ただそれだけのことで、自己嫌悪の念から思考が戻ってきた。


思わず笑みが零れる。まったく、自分の単純さが嫌になる。好きな人の声一つで、あれだけ強かった自己嫌悪から持ち直すなんて。

いや、これは好きなんてものじゃないだろう。恋愛感情なんてものを通り越して、私はコウさんに依存している。

だけど、悪い気はしない。コウさんになら単純でもいいと思えるなんて、本当に恋は恐ろしい。


「行きます!」


短剣を逆手から順手に構えてコウさんに右から切りかかる。だけど、踏み込みも何もなっていない一撃なんて、コウさんには通用しない。大太刀で軽く弾かれた。


技術も何も持っていない私は、踏み込みが甘いなんて言われても、それをなすものを持っていない。だから、コウさんの力を利用する。


「せいっ!」


弾かれた力を利用して回り、回った勢いのままコウさんに切りかかる。コウさんはその一撃を弾かずに受け止め、鍔迫り合いの状態になった。


「やるな」


えっ?なに?今褒められた?

耳元で囁かれた言葉に、私は一瞬だけきょとんとする。だけど、その一瞬が行けなかった。カクンッと、膝から崩れ落ちる。何をされたのかわからなかったけど、いつの間にか大太刀を納めた右手でなにかされたのだろうな、ということだけはわかった。

そして、視線の先に倒れている、安らかな顔をしたダリアを見つめる。


「絶対に、負けない」


さっきは負けを認めてしまったけど、これからは絶対に負けない。気を失っているダリアにこの思いは届かないけど、口に出して伝えたかった。


そして、私はダリア同様意識を手放した。


もうそこには、自己嫌悪はなかった。

































評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。