↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隻眼隻腕の剣士  作者: 柊 紗那
第三章 貿易都市ガリーニャ
13/66

第十三話 報酬

奴隷を狙った冒険者達や金や女を目当てにした盗賊達を葬りながら進むこと五日。予定より二日早く『貿易都市ガリーニャ』に着く事が出来ていた。徒歩用の正門とは少し外れたところにある馬車に乗った冒険者や商人用の正門を、弘次郎達が乗った馬車が潜って行く。


「す、凄いです」


「ああ、そうだな」


強固に固められた、街を全て囲むグロムナイト製の防壁。壮大な門。全てに精巧な装飾が施されており、見る者を圧倒する。ったく、この世界に来てからというもの、この世界の技術力の高さに驚かされてばっかりだな。どういう作り方をしたらこんな強固に作れるのか知りてぇな。厚さはそんなに分厚くはないだろうし、どうなっているのやら。

正門を潜り抜けて建物に馬車を預け、首輪が掛かった奴隷を馬車から降ろす。


「いやぁ、弘次郎様が護衛をしてくれたお陰で、こんなに早く到着出来ました。さて、報酬の白金貨二枚と、奴隷をこの中から選んでいただけますか?」


「ミヌス……お前」


ミヌスが降ろした奴隷を見て、弘次郎は戦慄した。なぜなら、ミヌスが降ろした奴隷の全員は、生気の無い底無し沼ように濁り切った目をしていたからだ。弘次郎は嫌という程奴隷を見て来た。その中でも性処理の道具として使われている奴隷も少なからず存在した。だが、こんなにも濁り切った目をしている奴隷を見たことは、弘次郎にはなかった。なにをすればここまで濁るのか、弘次郎には想像がつかない。この中で選べっつってもな。俺は基本的に奴隷は必要ない。必要ないからといって、報酬だから拒否することも出来ねえだろうし、どうしたもんかねぇ。まあ二人目はとにかく、一人は決まってるな。


「黒髪のポニーテール、だな」


黒髪をポニーテールで結び、和服に身を包んだ、まさに大和撫子と呼ぶに相応しい女性を一人選ぶ。なぜこのお嬢さんを選んだかというと、このお嬢さんが一番生気の無い目をしていたから、としか答えようが無い。


「流石弘次郎様、お目が高い。これはハイ・ヒューマンといって、ヒューマンと比べ、エルフ並みに長く生きる種族です。そのためかなり値が張るのですが、どうぞ、差し上げます」


これ、か。完全に道具扱いしていやがる。まぁ、奴隷の扱いなんかそんなものかもしれねぇが、俺はそんな扱いはしない。残りは一人だが、さてどうするか。……そんなに悩むこたぁ無かったな。


「アルビノの少女」


四十近くの奴隷の中で、アルビノの少女が一番絶望した顔をしていた。別に、俺のところに来たからってなにかが変わるわけじゃないと思うんだが、道具扱いされるよりはマシだろ。


「いやはや本当にお目が高いですね。これは吸血鬼という種族です。吸血鬼については殆ど神話など語られている通りですが、これはタダの吸血鬼じゃありません。吸血鬼というものは、祖という存在から世代が離れて行くごとに力がなくなって行きます。ですが、稀に、ごく稀に先祖返りをすることがあるのです。先祖返りをした吸血鬼の特徴として、これのように白髪に紅い色の瞳をしており、吸血鬼の弱点である太陽や銀までが全く聞かなくなってしまうのです」


ミヌスの説明に、弘次郎は納得する。そして、差し出された針でミヌスのいう通りに指を刺し、血を二人の奴隷の首輪に付着させる。


「はい。これでこの二つは弘次郎様の物になりました。首輪はいつでも弘次郎様の任意で着脱可能です。では、これからもご贔屓に」


そう一礼し、ミヌスは何処かへ去って行った。弘次郎はミヌス達と奴隷達をしばらく見送ったあと、購入した奴隷達に振り向いた。


「あー、なんだ、二人とも。一つだけ言っておくが、お前らが嫌がることを強要するつもりも無いし、夜伽とかしなくていいからな」


「「!?」」


弘次郎の口から放たれた言葉を耳にした奴隷達は目を見開いて驚愕した。

至極当たり前のことを言ったつもりだったんだが、なんでこの二人(・・)はこんなに驚いてんだ?


「コウさん。多分コウさんがこの二人を人間扱いしたからだと思いますよ。奴隷を購入した殆どが物扱いをしますから。あと、奴隷として接するでもなく、普通の女性として接したことに驚いているのではないでしょうか」


……いや、言ってることが全くわからん。これが普通の対応だろ?


「それって、私達はお役ごめんということですか?お願いします!捨てないでください!なんでもしますから!」


「おねがい……します」


生気の無い目は何処へやら。二人とも目に涙をため、瞳に恐怖と嫌悪がありありと浮かんでいる。


「コウさんって鬼畜」


「なんでだよ。まあとにかく、捨てるつもりは毛頭ねぇよ。側に置くが、お前らの嫌がることを強要するつもりも無いし、その中でも無理して夜伽なんかしなくてもいいってことだ」


「よろしいのですか?」


「いいもなにも、最初からそのつもりだ」


弘次郎が宥めるように優しく言うと、二人は目から大粒の涙を零してその場にくずおれた。


「やっぱりコウさんって鬼畜です」


「いや、だからなんでだよ」































グロムナイト

鉄や鋼鉄よりも硬く、ある程度の柔軟性もあるため加工しやすい。また、魔法との相性もいいため、魔法石を砕いてこの鉱石に加えると、加えた魔法石に付与してあった属性の魔法が、この鉱石に付与される。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。