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体育祭〜 開催〜

ようやく主人公登場。

私の苗字は笹倉 名は「リン」。ただし、名前の方は愛称のようなものでもちろん戸籍に記載されているものと違う。諸事情により名前で呼ばれることが大嫌いなので「リン」で通している。なので本名を名乗るのは勘弁してくださいな。


今年高校に入学した十六歳。

性格は親友であり良き理解者でもある葉山女史のお言葉を借りると。


「大抵のことはそつなくこなせる能力があるくせに出し惜しみをして大衆に埋もれたがる怠け者」


になるらしい。


葉山女史の見解が正しいのか否かはまぁ、大きく横に置いて、私が熱血とか若者らしい感性を持っているかと聞かれると首を大きく横に振る以外ない。

一緒にいる葉山女史が誰よりも感情の起伏に富んだエネルギーの塊のような人物なので特にそんな印象が強いのだ。

だから葉山女史が言うほど酷くはない、と思う。

・・・・多分、きっと、おそらく。


私は本名を嫌っていること以外は至って普通の女子高生に過ぎない。

だから、炎天下のグラウンドに整列させられながら偉い人の無駄に長いお話に辟易していた。

「あつい・・・・ながい・・・おもしろくない・・・・」

その場にいた全校生徒が抱いているであろう気持ちを呟く。近くにいた担任が聞き咎め、睨むが知ったことか。

空からはジリジリと降り注ぐ真夏と変わらない太陽光線。

前を向けばひたすらどうでもいいことを延々と話し続けて生徒の殺意を一身に集める校長。

汗がおでこでキラリと光る。

(校長って・・・話が長くないといけないのか?)

暑さの余り、思考が明後日の方向に飛んだ。

暑さから意識を逸らすように、「そういえば校長にカツラ疑惑があったなぁ〜〜〜不自然な頭部の膨らみが怪しいとか」などと考えてしまう。

どうしてこう、行事の時の偉い人の挨拶って無駄に長いのだろう。・・・謎だ。


「暑いねぇ・・・葉山女史?」


私は流れてくる汗を首にかけたタオルで拭いながら隣に並んでいた同級生兼友人である葉山女史に話しかけた。


葉山はやま 明子あきこ


私とは中学からの友人であり多分この世で1番私の行動及び思考を読むことの出来る人物であろう。

長い黒髪・黒目という典型的な日本人的容貌をもち、尚且つやる気のなさが全面的に出てしまっている私とは対象的に天然の茶色かかったベリーショートの髪に小麦色の肌の見るからに活動的な外見の持ち主であり、実際に陸上部一年の期待のポープでもある彼女はとにかくエネルギーの塊のような人物であった。

葉山女史は体操着の胸元をバカバカさせ、風を送りながら忌ま忌ましそうに頭上でカンカンと私達を照らしている太陽を凶悪な顔で睨み付けている。

余程暑いのだろう。隣に立つ私が葉山女史の胸元がバッチリ確認できるぐらい豪快に体操着を動かしていた。            私は自分の体型にこれといって不満はないが自分にはないしかも極上ものを見せ付けられると、その、何かもの悲しい気分にさせられてしまう。


葉山女史の豊満で形もよい、思わず触って確かめたくなる胸をみるとささやかな、限りなく平原に近い己のそれについてあれこれ考えてしまう。


ヒューと木枯らしに吹かれる(気分)私をよそに葉山女史の苛立ちは限界値が近いらしく彼女の周囲から剣呑な空気が滲む。

葉山女史の見え隠れする胸に視線がくぎつけだった男子達が即座に顔をそらす。

続いて女子を含む周囲にいた他の生徒達が無言で葉山女史から一歩距離を取った。


近寄る者があらば切る!


そんな文字が今にも空中に浮かび上がりそうだ。

葉山女史は暑さ寒さが極端に嫌いな人だから9月に入っても続く残暑に苛立ちを溜めているのはわかるんだけど、ちょっとは抑えてもらわないと周囲はいい迷惑だよ・・・。


勿論、そんなこと後が怖いので本人には言いませんよ?


何気に先程の私の言葉は軽く流されているが機嫌の悪い葉山女史に何か意見する勇気など怠惰な私にはない。


まぁ、本気で機嫌の悪い彼女に意見できる人間なんて私は一人しかしらないしその人は今、この場にいない。


「触らぬ葉山に祟りなし」


中学時代に誰が考えたのか学校中に流布していた格言に従って私は大人しく視線を前に戻す。

戻すが事態が変わる訳もなく、すぐに暑さと話しの長さに辟易してしまう。


はぁ〜〜暑いなぁ〜〜面白くないなぁ〜〜。


カンカンと照りつけてくる太陽を葉山女史じゃないけど睨みつけたくなる。地獄のような時間を何とか耐え抜くと校長がようやく開催宣言をした。


「え〜〜それでは柳高校体育祭を開催します」


体育祭、スタート。


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