ひいらぎのひとひら1 epi.24 それでも、時間は
四十九日を迎えた。
柊子の結婚指輪は、ネックレスにした。
両家もそろっている。
あらためて、自分の母親に感謝する。
「柊子ちゃんのためには、良かったと思うわ」
柊子のお母さんが云う。
「ゆうきさんにも、ママにも、感謝してもし切れないの。ゆうきさんは一生、私の息子だと思っていい?」
「当たり前です。いつでも家に行けますし」
悩んだけど。
柊子だったら、望んでも気を使って言えなかったはずだと思い、お父さんが眠るお墓に入れてあげたくて、両家に相談し、了解を得た。
柊子の実家に近いお寺にある墓。
お父さんだけが入っている。
いいよね、これで。
一周忌のあと。
一人でお墓へ。
墓石を拭いていると、後ろから声がした。
「来たよ」
「おっ!どうした?」
「一周忌だから、来た」
「ありがとう。葬式以来だな」
「そうだね、店にも顔出さなくなったじゃん」
11月。
さすがに東京でも涼しくて墓苑の中を風が吹き抜けている。
髪を揺らしながら、手を合わせている小さな姿を、後ろから見ていた。
「ゆーき、とーこにも聞いてほしい大事な話がある」
久々の、「大事な話」。
もう、何も驚かないだろう。
「あたしがゆーきを初めて見たのは、葬儀のとき」
葬儀?
あ、美唄?
「妹の」
「自殺を選んだ理由を必死に探してた。ゆーきが行った水道橋にも行った。」
「ゆーきのせいでないことは分かった」
「札幌にも一度行った」
「妹が好きになったゆーきを知りたくなって、店でバイトを始めた。おかしいよね」
風が吹く。
「もしゆーきが、とーこと一緒にならなかったら、あの頃伝えてた」
「でも、とーこだったから、云わないと決めた。みんなとの関係を壊したくなかったんだ」
驚いた。
みきのに驚かされるとは。
「私、何となく分ってたよ」
柊子?
涙で前が見えない。
「こんな所にいないで、家に帰ろうよ」
「うちに」
「一緒にいようよ」
1年半ぶりに店へ。
「ゆーき、忘れなくていいし、忘れられちゃ淋しいけど、前を向かなきゃだよ」
分かってる。でも、何かあるたびに、気持ちが。
ギュッ。
みきの?
「ゆーきはこのままだと、泣き続ける人。環境を変えなきゃ押しつぶされる」
分かってるつもりだ。
「そうだね」
「ちゃんと考えて。いつまでも止まってたら、あたしが背中を叩き続ける、ずっとね」
「そうだね。あのさ、前、柊子に子供がほしいかと聞かれたことがあった。 その時は彼女次第でどうぞ、みたいに云ったと思うんだけど。あの人はもう何もかも分かってて、子供だけを残したくないって考えたんじゃないかなって」
「多分ね。でも、もう、その時のとーこの想いを後から評価しちゃだめ」
「正しい!」、とミネギシさん。
「人はセツナに生きてる。結果オーライだ」
「そだね」




