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攻略対象外の推しを救うため、世界を改変することにした  作者: 白露 鶺鴒
第二章 水の洞窟 沈む真実と断罪の継承

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41.3度目の牢


 貴賓牢。

 案内されたのは、豪華な内装で彩られた立派な部屋だった。

 調度品なども高級感があり、牢屋と言われなければ、普通の客間と何ら変わらないと思う。


 ただ、紙やペンなどは置いてないし、縄にできるような布もない。

 ガラス細工の置物とか、壊したら刃物に出来そうだけどね。自傷は出来そうだけど、外への連絡手段とかはない感じだ。


 外側からしか開けられないドア。その先にいるのは神官。

 私を捕らえるように命じる神子とそれを止めようとする王。


 結果として、私が貴賓牢にいる。

 王城でありながら、王よりも神子の言葉を重んじる連中の方が多いということだ。

 神子がいないと成り立たない世界ではあるけど、思ったよりも王の力が弱い。



「この窓から脱出を出来そうかな」


 人が容易に潜ることができる大きな窓。


 開けて、下を見ると、かなりの高さだ。

 住んでいたマンションが4階だったけど、それと変わらないくらいの高さがありそう。


「止めた方がいいと思うよ」

「ん?」


 窓から身を乗り出して、周囲を探っていたら、隣の部屋の窓からアイオ様が顔を出していた。


「アイオ様!」

「えっ……えっと、イーハンで、あの、ミオ様だっけ?」


 私が名前を呼ぶと、困惑した表情のアイオ様がいる。

 どうやら、イーハンでちらっと出会ったことを覚えてくれているらしい。


「ミオでいいですよ。様付けされるような立場じゃないので」

「えっ、それなら僕もそうなんだけど……」

「そう言わず、アイオ様はアイオ様なんで」


 7~8メートル離れた窓越しに、アイオ様に話しかける。

 アイオ様の様子を注意深く窺うけど、目に光も戻っているし、体に問題も無さそう。少し目元に隈が出来ているのは寝れていないのだろう。


 戸惑ったようにこちらを見てくるアイオ様が可愛いなと思う。


「ここから脱出はやめた方がいいんですか?」

「あ、そうだね。その、窓が大きいのは、ここから自殺できるようにというか……その、死んでくれた方が助かるんだと思う」


 まあ、この高さだし、途中の階の窓とかもなく、掴むようなところもない。

 ここから落ちたら死ぬだろうなと思う。


「アイオ様、何か言われてます?」

「……生きて、ここを出ることは無いって」


 結構、過激な事を言われていた。


 殺害予告なのか、それとも自殺させたいのか。

 とにかく、ここから出す気がないのか。


 これ、結構まずい状態かな。

 風の神官が言っていても、ここは王城。責任と持つべき立場は王。

 風の神子も感情で好きに動いているけど、王を蔑ろにしているくせに、責任は王に擦り付ける気満々だよね。


「誰にですか?」

「知らない神官の人。僕がいることはジェイド君が神子になるのに不都合らしい」

「サフィロスとルヴィニが激怒しそう」

「え? ほんと? ねえ、ホントにそう思う?」


 アイオ様、嬉しそうだな。

 あの二人、素直じゃないところあるからね。見捨てられないか不安だったと言うけど……。

 表に出さないだけで、そんなことは絶対にしないだろう。


「心配、はしてなかったけど。その、アイオ様の危険には世界を滅亡させようとするくらいには怖かったかな」


 そんな雰囲気ではないくらいに殺気とか色々と漏れてたからね。

 それをしっかりと本人の前で見せてあげればいいのに。


「そ、そうなんだ」


 てれてれと頬を掻きながらも嬉しさが隠しきれていないアイオ様。その様子がほっこりしてこちらも嬉しくなる。

 ルヴィニ達がやろうとしてること、かなり過激なんだけど……気にしてないね。


 今、彼は幸せそうだ。

 このまま、重い運命を背負うことがない道を歩んでもらいたい。


 ぐっと拳を握るとだんっと大きな音が後ろから聞こえた。


「……何をしている」

「スマラ殿下。えっと、どうかしました?」

「窓の枠に足をかけるなど、危険だ……そんなこともわからないのか」

「す、すみません」


 部屋に入ってきた殿下に慌てて、窓から離れる。

 殿下がこちらに近づいてきて、窓の外を確認する。


「……そういうことか。不自由だろうが、あいつらが動いてる。まっていろ」

「あ、はいっ。すみません! ありがとうございます」


 殿下が外で顔を出していたアイオ様に声をかけて、アイオ様もお礼を言って引っ込んでしまった。

 仕方なく、窓を閉めて、話し合うために殿下へと向き直った。



「どうかしました?」

「……この後、兄王太子と神子様がお渡りになる」

「第二ラウンド、やるんですか」

「だいにら……? いや、まず、どうするんだ? あいつらは知ってるのか?」

「まさか。だって、急に呼び出したのスマラ殿下じゃないですか。知る由もないですよ。でも、せっかくなら、アイオ様と二人で脱獄しますよ。生きて出られないと言われてるらしいので」


 アイオ様の部屋の方に視線を送ると、怪訝そうに眉間に皺を寄せた。

 わざわざアイオ様の隣に配置してくれたのだし、二人で脱出するつもりだ。


「……一通り終わったら、あいつらに知らせに行く。早まるな」

「ん?」


 一瞬何を言われているかわからなかった。

 脱獄を早まるなってことか。どうやら心配されているらしい。


 聖獣のオリオンなら、一応、短時間なら空を飛べるので、この高さであろうと問題はない。


 脱獄した後は、この場に留まることは難しいのが欠点。

 私はこの世界には長居しないだろうからいいけど、アイオ様に逃亡生活を送らせることになってしまう。


 ルヴィニ達の知らせを待ってる間に、何が起きるかわからない不安もある。

 殿下が知らせたところで、王城の貴賓牢に救出は難しいだろう。


「神子様がおなりです」


 その言葉に、気合を入れ直す。


 もう少しゆっくりと考えをまとめてから対峙したいとこではある。


 だけど――やるべきことは、一つ。


 風の国だけで立ち続けられるように、変革を促す。

 改変するには、自分達の意志が大事だ。




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