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攻略対象外の推しを救うため、世界を改変することにした  作者: 白露 鶺鴒
第一部 水の神子 暗殺阻止   第一章 風の大陸 出会いと陰謀の幕開け

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28.ショウドウ3


 3回目のショウドウの街。

 今回は街の中に入った時点で、ルヴィニと別行動となった。


 情報を共有したけど、私が出来ることは今のところない。

 さらに言えば、アイオ様を囮にすることに消極的な私は宿側に来ないようにと言われてしまった。


 そこで、カライスちゃんを連れて、ポーションの素材となる草を求めて、市場や店を回っている。


「風魔草、緑の朝露に、風花? 2日前に黒髪の女の子が在庫も含めて、全部買っていったよ」

「え~、また無いんですか?」


 目的の物が売り切れだった。


 備えあれば憂いなし。

 危険もある世界だから、ポーションを用意しておきたいため、風の国で手に入れやすい素材を購入する予定だった。


 この店で4件目。ポーションではなく素材を購入できる店は限られる。まさか、ここまでないとは考えていなかった。


 一緒に買い物しているカライスちゃんの目が吊り上がった。

 落ち着かせるために、軽く背中をぽんぽん叩いて合図を送るとこくりと頷いてくれた。


「そう、ですか。他には何を買っていきました?」

「幻惑草と水鈴蘭かな」

「え?」


 ポーションの材料じゃない? 

 聞こえた素材の名前に驚いて売り子の方に振り返る。

 その素材を大量に買うのは普通ではない。明らかに、状態異常にするアイテム素材だ。


 ポーションを作るための買い占めかと思ったけど、その組み合わせでは危険だ。


「あとは貪欲な根に欲望キノコが欲しいって言ってたね。うちでは取り扱ってないから、西通りの奥にある店を紹介したよ。あんた達も欲しいなら行ってみたらどうだ?」


 貪欲な根と欲望キノコ?

 その素材を使ってできるアイテムって、好感度アップだったはず。


 背中に嫌な汗が流れる。

 ゲームならともかく、ここは彼女にとっては現実。


 その素材を買い占めるなら、当然、アイテムを作るのだろう。アイテムで親密度を上げようとしていることにぞっとする。


 アイオ様への暗示、アイテムでの親密度上げ……人の意思を何だと思っているのだろう。平気でその手段を取る少女に嫌悪感と怒りが増す。


 奥歯を噛みしめ、平静を装うが、体が小刻みに揺れてしまう。


 私が体を震わせたことに気付いたカライスちゃんに「何でもない」と誤魔化す。


「あ、ありがとうございます。ちなみに、どんな子でした?」


 声が上ずりそうになるのを出来るだけ普通になるようにゆっくりと声をかける。


「大きな垂れぎみの目に泣き黒子があって、唇がぷるんぷるんしてて、よく見るとおぱいも大きくて、エロ可愛い子でさ。また来てくれないかな」

「もう! 全部買い占めって、他の人のこと考えてなさすぎですよ! 何考えてるんですか!!」


 売り子の語る熱量に、嫌な汗が出る。見た目には恋に浮かれている男性。

 たった1回、素材を買い占めていった少女に対し、好感度が異様に高い。


 その言動に抑えていたはずのカライスちゃんが爆発してしまった。


「いや、すっごく可愛い子だよ? 上目遣いにお願いって言ったら、何でも売っちゃうでしょ。もう、近付いた時にふわっと香る匂いもいい匂いで」

「はぁ? 何ですか、それ! 私達は可愛くないってことです? 喧嘩売ってます!?」

「か、カライスちゃん。ちょっと、落ち着こう」

「全然、話にならない。むりむり、あっちのが数倍可愛い」

「あ、ありがとうございました」


 カライスちゃんと喧嘩を始めそうだったので、お礼を言って、その場を離れる。


 おかしい。

 カライスちゃんは美少女だ。12歳だから、まだまだ幼さを感じるけど、将来美人になる。その数倍可愛い? ありえない。


 アイオ様の横にいた件の少女の表情は醜悪だった。とてもじゃないが比べられない。

 ただ、黒髪であることは一致しているし、おそらく彼女だろう。ただ、彼女も12歳のはずだけど。


 私が指で口を隠すようにして考え込む仕草に、カライスちゃんが爆発した。


「もうっ! 抗議したら可愛い子だから? なんなんですか、一体!」

「落ち着こうね。ちょっと、気になるから他の店に戻ってもいいかな?」


 興奮するカライスちゃんを宥めつつ、先に寄った3件の店でも購入した物を聞き出した。どの店でも同じものを買っている。

 紹介された店では貪欲な根と欲望キノコは取り扱っていなかったということには安堵の息を吐いた。


「嫌な感じがする……」


 購入した店の者達、好感度がおかしい。みんなが夢中になって、「可愛い、可愛い」、女性店員で一人だけ「気持ち悪かった」と言っていた。


正直、全員が好感をもつほどの圧倒的美貌ではない。

 私も、アイオ様の横にいる彼女には胃液がこみ上げるような気持ち悪さを感じた。


 答えが出ない。焦燥感だけが募り、手のひらが湿る。


「何か、見落としてる気がする」


 考えても答えはでてこない。

 無意識に下唇を噛んで、下を向いていると下から覗き込むようにカライスちゃんの顔が視界に入ってきた。


「大丈夫です? そろそろ、ルヴィニ様が言っていた時間ですけど」


 ハッとして時間を確認するとそろそろ宿に向かっていい頃合いだった。


「そうだね、行こうか。付き合ってくれてありがとうね」

「まあ、店員はむかつきましたけど、悪くなかったですから、また付き合ってあげてもいいですよ」


 私の買い物というよりも、市場調査になってしまったけど、カライスちゃんは嫌ではなかったらしい。少し顔を赤くして、顔を背けるあたりがすごく可愛い。


 答えが出ないなら、宿で合流したら相談してみようと決め、カライスちゃんに笑いかけてともに歩き出す。




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