18枚目・剣の道に生きるということ【泉水】⑤
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
頭を切り替えて剣道の試合に臨むつもりだった。
そのつもりだった俺だけど、結局、俺のせいで泉美が死んでしまうという事実が、頭から抜けることが無かった。
結果的に、そのことで頭がいっぱいになった俺は剣道大会で大将を任されたのに、一勝もすることが出来なくて、先輩たちの花道を台無しにしてしまった・・・
俺が悪いんだ・・・先輩たちに花道を用意できなかったのも・・・泉美が長生き出来ないのも・・・
「俺のせいだ・・・俺のせいで・・・」
「そうよ!!アンタのせいよ!!
アンタのせいで先輩たちは―――」
「そこまでだ!!」
突然の大声に、怒っていた泉美も、落ち込んでうつむいていた泉水も、同時に声の方へ視線を向けた。
「舞先輩・・・」
「何ですか!?舞先輩!!」
ポツリとつぶやくように声を発した泉水と、収まらない怒りのまま返事をする泉美。
そんな彼らの視線の先には、青いジャージに身を包んだ舞が、腕を組み仁王立ちしていた。
舞は2人の顔をそれぞれ見ると「ふぅー」と小さくため息をついた。
「口喧嘩もほどほどにしなければいけないぞ!忘れているかもしれないが今は部活中だぞ、周りのみんなの邪魔になるだろう、声は控えろ」
舞にそう言われ2人は周りを見た。
そこには怪訝そうにこちらを見ている部活メンバーが少々、ほとんどは何事かと興味津々にこちらを覗き込んでいた。
その様子に舞の言う通り迷惑なことは確かだと感じた2人は、バツが悪そうに顔を見合わせた。
「すいません」
「ごめんなさい」
泉水と泉美がそれぞれ謝ると、舞は小さくうなずいた。
「素直に謝る姿勢は宜しい、だが、部活動中だということを忘れていたのは良くない。
2人で言い合いをしているから、しっかりと稽古をしているのだと思っていたら、口喧嘩とは・・・」
呆れ顔の舞に、泉美は少しムッとした様子で言った。
「だって、泉水が剣道の大会で一勝もできなかったのは、調子が悪かったからだって言い訳ばっかりするんですもん!!」
「それで怒っていたのか・・・剣道の大会というのは、この前の県大会だな。確か春野君が一勝も出来ず、剣道部としても優勝はおろか全国大会への切符を逃した大会だった」
「そうです!!」
舞の話を聞いた泉美が勢いよく応えた。
「ただ勝てなかっただけならまだ良いけど、大将を任されたのにボロ負けしたんですよ!!しかもあんな弱小校に!!
それで結果的に引退する先輩たちの最後の花道を台無しにして、ほんと信じらんない」
叫ぶように舞に訴えかけてくる泉美の言葉を、舞は目を閉じて小さくうなずきながら聞いていた。




