17枚目・剣の道に生きるということ【泉美】⑤
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
なんとか話が大変な方へ向かいそうなのを止めたのに、なんか・・・嫌な予感・・・
「・・・う~ん、舞台に立ってもらうのは無理だとしても・・・練習相手としてヒロインを演じてもらいましょうか!!」
「えっ!?練習相手としてヒロインをですか・・・」
「そうよ。せっかくヒロインのセリフを覚えてもらったんですもの、生かさないともったいないじゃない!」
「そ、それはそうですけど・・・でも・・・」
確かにヒロインのセリフは全部覚えてますけど、そこまで無理にヒロインを演じる必要は無いような・・・
戸惑う私の心を見透かしたみたいに、マリア先生は微笑んで言った。
「せっかくセリフを覚えたんだし、思い出作りだと思って!」
マリア先生は諦めるつもりは無いみたい・・・困った私は一応泉水の方に助けを求めて視線を向けたけど・・・
「俺は問題なし、蛍さえ良ければ練習相手としてヒロインを演じてもらいたい・・・ダメか?」
さっきの話の流れからある程度想像してたけど、やっぱり、泉水そっち側だよねぇ~・・・
「う、うーん・・・ダメじゃないけど・・・舞台に立つわけでもないのに・・・」
「台本、結構読みこんだんだろ?無駄にしないためにもさ」
「うーん・・・確かにそうだけど・・・でも―――」
なんか2人ともヒロインを演じて欲しいみたい。たぶん思い出作りに丁度いいとか思ってるんだろうけど・・・
な~んて考えてたら、マリア先生が恐る恐る言ってきた。
「練習だけとはいえヒロインを演じられる人がいるのは助かるのよ。
ほら、本番の舞台でヒロインを演じる神条さん、兼部してる剣道部の部長さんだし、3年生だし、神社のお仕事もあるから部活欠席することが多いでしょ?
そういう時に主人公の相手役としてサブでヒロインを演じてもらえる人がいると助かるのよ」
「た、確かに・・・」
「だから、ね?お願い」
そう言ってマリア先生は両手を合わせると、ウインクした。
うっ・・・か、かわいい・・・
と、時々マリア先生ってズルいことしてくるんだよねぇ・・・・
はぁ~・・・仕方ない。
2人がどうしてもって言うからなんだから・・・顔が熱いけど・・・マリア先生が可愛さにやられた訳じゃないんだからね!!
「そ、そこまで言うんでしたら、やります。サブのヒロイン・・・」
「ありがとう!!」
「えっ?・・・って!!あわわわ!!・・・ま、マリア先生!?」
マリア先生が満面の笑みになったと思った瞬間、ギューッとハグしてきて、私は驚きの叫んでた。その上さっきまで少し熱かった顔がさらに熱くなるのが分かった。
きっと顔が真っ赤になっているに決まってる!!
そのまま、しばらく呆然自失になってた・・・
その後しばらくして、私を心配そうに見つめていたマリア先生は、私が落ち着いたのを確認すると時計を見ながら言った。
「もうこんな時間、急いで用事を済ませて部室に行かないと!
春野君は先に部室に行ってくれる?ワタシも用事を済ませたら部室へ行くから」
「あ、はい」
マリア先生に言われて泉水は慌てた様子で、自分の机へ戻っていった。
その姿を確認したマリア先生は、私と瑞希に向かってニッコリと笑いかけながら早口で言った。
「それじゃあ、水輝さんと皆倉さんは気を付けて帰ってね。
水輝さんの入部の手続きはこっちでやっておくから安心してね。
それじゃ、さようなら」
「はい、さようなら」
「・・・さようなら」
私たちが返事をすると、マリア先生は右手をヒラヒラ振りながら、駆け足で教室を出て行った。
「じゃ、俺も行くわ」
「うん、また家でね」
「・・・バイ」
マリア先生に続いて、泉水も早口で一言言うと駆け足で教室を出て行った。




