17枚目・剣の道に生きるということ【泉美】③
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
その時だった。
「いやいや、先生。年寄りって・・・見た目そんなに若いのに冗談キツイっスよ」
苦笑いをしながら、軽い口調でマリア先生に話しかけたのは泉水だった。
「そ、そう見える?」
「当たり前じゃないですか。しわが目立つなら分かりますけど、お肌つるつるじゃないっスか。
まさか俗に言う美魔女なんて言わないでしょ?まぁ、先生の年齢聞いたことないですけど・・・っていうか先生って何歳なんですか?30歳くらいだと思ってるんですけど・・・」
その言葉に、私はカチーンときた。気づくと瑞希も同じ気持ちだったみたいで、私たちは同時に泉水を睨みつけた。
「泉水・・・女性に歳を聞くとか、ダメでしょ!」
これだからデリカシーの無い男は!!
「しかもちょこちょこ失礼なこと言うし、その上見た目で年齢決めつけるとか最低ね・・・土下座しなさい」
瑞希もゴミを見るような目で泉水を睨みつけながら言った。
いつもなら泉水をフォローするだろうけど、今はコイツの自業自得!!
「そこまでかよ!!」
私たち2人に睨まれ、泉水はあたふたと困り顔で応えた。
ちゃんと聞いて良いことと、悪いことを考えないからこうなるのよ!!
ほら、マリア先生も【クスッ】って笑って見てるじゃない!
「フフ・・・春野さんは優しいね。
フフフ・・・」
まだ、マリア先生笑ってるし!!
傷ついたはずの先生にまで笑われるなんて、こんなダメな男だとは思ってなかったよ!!
あー・・・でも、もしかして、マリア先生・・・わざと泉水が空気読まないこと言って、空気を和ませようと思ったとか考えたのかも、そんなわけないじゃん!?
この男に、そんな気の利いた発言できるわけないって!!
「瑞希の言う通り土下座よ!」
「さあ、さっさとしなさい!!」
「い―――蛍まで・・・ご、ごめんって!」
ちょっ!今名前言いそうになったでしょ!!ってそんなことはどうでもよくて!!
私たちに両手を合わせて、ワザとらしく謝ってくる泉水、謝る相手が違うでしょ!!
「「絶対に!!
許さない!!」」
私と瑞希の声がキレイに重なって教室に響いた。
そんな私たち3人を、マリア先生はいつの間にか困ったような笑顔で見ていた。
さっきはニコニコ笑ってたのに、今は何でそんな困ったような顔で笑っているのかは謎だけど、今はそんなことは置いといて、泉水に土下座させる方が大事!
「そ、それより、マリア先生。
俺たちに話しかけてきたってことは、何か用があるんじゃないですか?」
私たちに睨まれたのが堪えたのか、あからさまに話を逸らせようとする泉水。そんなことで許すと思って!!・・・
「ん?
ああ・・・ええ」
・・・泉水の言葉に、困ったような顔だったマリア先生が飛びついたみたいで、先生は笑顔になって話し始めた。
まったく・・・もう少しイジッてやろうと思ってたのに、残念。
「ちょっと水輝さん(泉美の偽名が【水輝 蛍】なので)に聞きたいことがあって、話しかけるタイミングを探してたの。
いいかしら?」
「あ・・・はい、何でしょう?」
何の話かと思えば私に話があったみたい。
とはいえ、水輝さんって、呼ばれても実感湧かないなぁ~。
いつもは春野さんだったし・・・
そんなことを考えていたせいで、思わず顔が曇ってたみたいで、口角が下がっていることを感じた私は、すぐに気持ちを切り替えて下がった口角を上げて笑顔にした。
「水輝さんは部活とかはどうするの?」
「えっと・・・『どうする?』とは?」
どういうことだろう?
頭の中にハテナが浮かぶ私に、マリア先生は笑顔で続けた。
「部活動するつもりはあるのかな?って・・・担任として生徒の希望は聞いておかないとね」
「うーん、部活動・・・」
どうしよう・・・部活動はしたいけど、剣道部も演劇部も今から入っても出来る事少なそうだし・・・
そもそも剣道部も演劇部もどっちもなんて選べないし、兼部したいですぅ~なんて言う訳にもいかないし・・・
そんなことを考えながら、私はしばらく考え込んで答えを出した。
「えっと・・・私は帰宅―――」
「それなら演劇部が良いんじゃないか?」
帰宅部でと言いかけた私の言葉を邪魔したのは、泉水だった。




