16枚目・予想外な事実④
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
「改めて、今日からこのクラスに入ることになった、水輝 蛍です。
苗字を見てわかるように水輝家の分家の生まれです。名前は水輝家の伝統にのっとり美しい虫である蛍の一文字が入っています。
ただ蛍と書いてケイと読むので、ちょっとややこしいですが、ぜひ覚えてください」
事前に練習していた通りの自己紹介をすると、泉美はクラスメイトに向かって一礼した。
その後、マリアが泉美の紹介を始める。
もちろん偽装した偽のプロフィールである。
「蛍さんはご両親と3人で暮らしていたのですが、ご両親が仕事の関係で海外へ行かれることになりました。
ですが、蛍さんがどうしても日本に残りたいと希望し、親御さんの仕事も短期であることもあり、水輝家の本家に相談しこの町に来たそうです。
そして今後は本家の当主様の娘さんである春野 アゲハさんの家に居候という形で、お世話になりこの学校へ通うことになったと聞いています」
マリアがそう話すと、途端にクラス中がざわめき始めた。
そして、1人の女子生徒が「はい」という言葉と共に手を上げた。
「水輝さんが本家のあること町に来たことは分かったんですけど、何で本家のお屋敷じゃなくて、別の家にお世話になってるんですか?
っていうか、春野って春野 泉水くんと関係あるんじゃ?」
その発言にクラス中の視線が、泉水に集中し突き刺さる。
殺気を含んだ鋭い視線に、泉水は盛大にため息をつきながら、面倒くさそうに言った。
「春野 アゲハは俺の母さんだよ。
察しの通り、蛍はうちに居候してる。学校もウチから通うことになる」
投げやりな態度で面倒くさそうに言う泉水に、クラスメイトから口々に「美少女が居候とかうらやましい!!」「一つ屋根の下とか・・・ドラマみたい」「リア充死ね」などと声が浴びせられる。
だがそのうち「何で本家じゃなくて、他の家に?」「お嫁に行った娘に世話を押し付けた??」といった声でざわめき始め、視線が泉水から泉美へと変わっていく。
クラスメイトからのなぜ??という視線に、マリアは少し困った顔で泉美を見た。
(やっぱりこうなるか・・・本家に居候しているってことにしておいて、もしもウソがばれたら面倒なことになるから、いっそのこと正直に伝えてしまおうってことになって設定を学校に伝えたけど、正直に伝えたら伝えたで、面倒くさいことになるよねぇ~。
事前に決めておいた説明で納得してもらえるといいんだけど・・・)
心の中で盛大なため息をつきながら、泉美は事前に用意していた説明を思い返していた。
「一番最初は本家のお屋敷に居候することで話が進んでたんですけど、アゲハさんがどうしてもお世話したいって言ってきたらしいです。
水輝一族は数年に一度、お正月に一族が大集合するんですけど
その集まりでアゲハさんには昔から本当の娘みたいにかわいがってもらっていたんです。
今回本家でお世話になりたいって話が伝わったときに、アゲハさんにもその話が伝わったそうで、どーーーしても私のお世話をしたいって当主様に直談判したそうなんです。
その熱意に当主様が折れたそうで、春野家にお世話になることになったんです」
息を吐くようにウソの理由を話す泉美に、瑞希はドン引きした様子で「うゎぁ・・・」と小さくつぶやき、泉水も(さすが演劇部・・・まぁ、まるまる嘘じゃねぇけどさ)と、苦笑するのだった。
事実としか思えない泉美の説明を聞き、クラスメイトは皆納得する。
泉美はもちろん、泉水も瑞希でさえもそう思っていた。




