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14枚目・トランプコンタクトの名付け【後編】④

読みやすさのため、内容を分割して調整しました。

文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。


作者:服を着た猫




そんなイズミたちを横目に、大樹が博士に質問してきた。


「ねぇ博士、兄ちゃんたちの関係をトランプコンタクトって名付けたって話は分かったんだけど、兄ちゃんたちに共通する要素って何?」

「共通する要素が何かだと?」


大樹に質問された博士は「うーん」としばらく唸った後、渋い顔で答えた。


「泉水と蛍の共通する要素・・・そりゃー、一般的に言うならた―――」

【グゥ~~~・・・】


博士の言葉を遮り、盛大に腹の虫が鳴き声を上げた。

ため息と共に音が鳴った方向に、博士が鋭い視線を向けると、腹の虫の主は顔を赤くしながらうつむいて謝った。


「ご、ごめんなさい」

「坊主・・・大樹って言ったか、質問しておいて本人が盛大に話の腰を折るとかねぇわ」

「ごめんなさい・・・ごめんなさい」


深々と頭を下げる大樹を見て、博士は大きくため息をついた。


「まぁ、長々話をしていたオレも悪いか・・・」


そう言うと博士は壁掛け時計に視線を移した。


「もうすぐ2時か・・・ホントは飯でもおごるべきなんだろうが・・・」

「いやいやいや!そんなことまでしなくて良いって!!」

「そうそう、お昼代はいっぱいあるから外で食べるよ!!」


博士の提案に、慌てて断る泉水と鈴蘭。

だが、博士はそれでは納得がいかない様子だった。


「とはいえ客人に茶も出さずに帰す訳にもいかんだろ」

「いやいや、良いですってば!そんな気を使わないでください」


本気で遠慮する泉美だったが、博士はおもむろに立ち上がると入り口の方へ向かった。

お茶を入れに行くのだと悟った泉美はおもむろに申し出た。


「お茶を入れるなら、手伝いますよ」


こうなれば早めにお茶を飲んで、お昼にしようそう考えたためだった。

だが、博士は手を突き出して言った。


「いや、レディーファーストだ。蛍とスズ、それと大樹の坊主はここで待ってろ。

その代わり、泉水、お前が手伝ってくれ」


名指しされた泉水を見て、泉美は(なんで俺がー・・・とか文句言うだろうなぁ~)と心の中でほくそ笑んだ。

だが、彼女の想像とは裏腹に泉水はスクッと立ち上がると、博士のもとへと向かって行く。


「分かった。お昼過ぎてるし、俺たち腹減ってるから一杯だけごちそうになるよ」

「まあまあ、そう言うな。

こう見えてもオレはコーヒーにはウルサイたちでな、豆を挽いた粉からドリップするコーヒーは自分で言うのもなんだが、薫り高くて旨いぞ」

「へぇ~・・・それは楽しみだ」


微笑を浮かべながら答えると、泉水と博士は部屋を出て行った。


「インスタントで十分なのに・・・ドリップコーヒーじゃ時間かかりそう。

泉水も遠慮してたのに、最終的にはノリノリで行っちゃうし・・・泉水ってコーヒー好きなんだね」

「えぇ?・・・お兄ちゃんビターチョコレートは好きだけど、コーヒーそんなに好きだっけなぁ?」

「あれ?そうなの?

ノリノリに見えたから、コーヒー好きなのかと思ったんだけど?」

「兄ちゃんコーヒー好きなんて聞いたことないけどな?」

「大樹も?

うーん・・・最近になって好きになったとか?ほら年を取ると味覚が変わるって言うし」

「うーん・・・そうかもね。お兄ちゃん昔は今よりも甘さ控えめのチョコレート好きだったし、最近はコーヒーくらいビターな味が好きなのかも。

(だったら、来年のバレンタインは甘さ控えめのビターチョコレートを手作りで・・・フフフ♡)」


心で考えていることが顔に出て、鈴蘭は笑みがこぼれてしまう。そんな恋する乙女の笑みを見て、泉美も笑みがこぼれた。

その後、泉美は時計を見ながら言った。


「泉水たち戻ってくるまで、しばらくかかるよね・・・私ちょっと席外すね」

「お姉ちゃんどこへ行くの?」

「えっと・・・」


言いよどむ泉美を見て大樹は首を傾げる。と、向かい側の鈴蘭が怪訝(けげん)な声で注意してきた。


「大樹君、そこは察するのがマナーでしょ?」

「察するって・・・ああ、トイレか」

「まぁ・・・ね。それじゃあ」


はにかみながら大樹に答えると、泉美はいそいそと部屋を出て行く。そんなやり取りを見て、鈴蘭は小さくため息をついた。


「大樹君、女心分かってると思ったけど、やっぱり男の子だねぇ~」

「そんなに恥ずかしがることかなぁ?」

「そういうとこ」


鈴蘭の呆れ顔に、大樹は不思議そうに首を傾げるのだった。

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