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14枚目・トランプコンタクトの名付け【後編】⑤

読みやすさのため、内容を分割して調整しました。

文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。


作者:服を着た猫




一方、キッチンへと向かった泉水と博士。

博士はタバコをふかしながら、やかんに水を入れコンロに載せるとつまみを回し火をつける。

そして横目で泉水を見ながら指示をしてきた。


「泉水、カップ出してくれ。客が来ることなんて想定してなかったから、数が揃ってるカップはねぇだろうから似てるヤツ見繕ってくれればいいからよ」

「ああ、分かった」


泉水は食器棚の扉を開け、コーヒーカップを選ぶ。

その横で博士は、ポットにコーヒーフィルターをセットし粉を入れていく。

お互いに目を合わせない2人だったが、不意に泉水が話しかけてきた。


「そろそろ話してくれないか、俺にだけ話すことがあるんだろ?」


博士はピタッと手を止める。そしてポットに視線を向けたまましばらく黙り込む、やがてタバコを大きく吸いゆっくり吐くと視線はそのままで答えた。


「どうしてそう思った?」

「どうして?」


泉水は小ばかにしたような口調で、博士を呆れ顔で見ながら答える。


「ちょっと考えればすぐに分かるさ!

俺たちを客として招き入れたのに書類だらけの部屋の片づけを押し付けてくるような博士が、突然俺たちにコーヒーを入れてもてなしてくれると言い出して、何より泉美やスズに対してレディーファーストとか言い出す。

あれだけこき使っといて、いきなりレディーファーストとか似合わねぇこと言いだすから吹き出しそうになったよ。

だけど大樹まで残して俺だけ手伝うように言ってきた・・・

すぐには理由がわからなかったけど、ちょっと考えたら分かったよ・・・

『博士は俺だけに話すことがある』ってな」

「冴えてるじゃないか、お前はどっちかっていうとカンは鈍いほうだと思っていたんだがなぁ~」

「秘密組織に泉美のことをリークしたってイタズラをされた後から気を張ってたんだよ、これ以上小ばかにされたら悔しいからな」


泉水は肩をすくめながら苦笑いで言った。

そんな様子に博士はようやくこのタイミングで泉水に視線を移した。


「あの嘘もまんざら無駄じゃなかったって訳だ・・・ご明察(ごめいさつ)だ。

お前にだけは話しておくべきだと考えて、理由をつけて呼びだしたって訳だ」

「やっぱり・・・で?

改めて聞くけど俺に言っておきたいことって何なんだよ?」


睨みつけるような視線を向け質問してくる泉水に、博士はタバコを一吸いし、吐きながら答えた。


「手っ取り早く話すか、時間をかけるのもなんだし、回りくどい言い方をするのは好きじゃねぇしな」


そう言うと博士は【シュー】と勢いよく蒸気を噴き出すやかんに近づくと、コンロの火を弱めた。




「単刀直入に言おう。

蛍・・・・・泉美は6ヶ月以上この世界にいると・・・・・死ぬ」




数秒間、キッチンの中を静寂が包んだ。




「・・・・・は?」




ようやく声を発した泉水だったが、博士が何を言っているのか全く理解できなかった。






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≪登場用語説明≫


泉美のスマホが使えなくなった理由

分類:現象


泉美のスマホが、泉水の世界に来てから使えなくなった理由について博士の予想では、スマホのSIMカードが原因ではないかと語る。

SIMカードに登録されている個別識別番号や電話番号、これらの番号や組み合わせが泉水の世界で使われているものと違っていたり、被ってしまっていることでエラーを起こしているのではないか?

博士はそう考えており元の世界に戻れば問題なく使えると語る。




泉美の世界と、泉水の世界に多くの共通点がある点、違う点もある点

分類:現象


博士によると、二つの世界で多くの共通点があるのは世界が分かれたばかりで、お互いに影響を与えているのではないかとのこと。

また違う点もあるのは、世界が二つに分かれて少なくとも16年以上は経っているので影響が少なくなって来ている出来事や、もともと影響を受けていない出来事が存在していたのではないかと語る。

どちらにしろ、二つの世界が分かれた理由がイズミたちの性別の違いによるものなのか、まったく別の要因があるのか、調べようもないため推測の域を出ない。




イズミたちがあだ名をつけようとした男子にブチギレした理由

分類:名称


イズミたちの苗字は【春野】であり、名前も【泉】を由来にした名前のため、小学一年生の時に半笑いで春の小川を歌われながら、あだ名として【小川】とつけられそうになってブチギレ、男子をボコボコにしてしまう。

もちろん担任の先生や両親からこっぴどく怒られたことは言うまでもない。そのため以後イズミたちにあだ名をつけようとするものは現れなかった。


博士は泉美と泉水の区別のためにあだ名を利用しようとしたが、上記の理由のため断念。

あだ名に変わるもので二人の区別をハッキリさせようと思案する中、大樹から泉美が偽名として【蛍】と名乗るように指示されたことを知り、以後彼女のことを蛍と呼ぶことになる。




泉美と泉水、2人のイズミの出会いについて、博士が付けた名前

分類:名称


2人のイズミの出会いについて、博士は説明調の名称の改善と、今後の研究に当たっての呼びやすさのために、別の人間でありながら世界を越えた同一人物とも呼べるイズミたちの関係性に【トランプコンタクト】という名前を付けた。




博士が泉水だけに告げた真実

分類:説明


泉美や鈴蘭、大樹に聞かれないように、博士がひそかに泉水と二人きりになり彼に告げた真実。


泉美がこの世界に6ヶ月以上いると命を落とす。


なぜそのようなことになるのか、なぜ泉水だけにその真実を伝えたのか、その真意は今のところ不明。

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