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14枚目・トランプコンタクトの名付け【後編】②

読みやすさのため、内容を分割して調整しました。

文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。


作者:服を着た猫




「あともう一つ不思議なことがあって、私がいた世界とこっちの世界で同じ人間がいることはもちろんなんですが、人間関係も同じだったり、行動が同じだったりするみたいなんです」

「・・・具体的には?」

「私の家族はもちろん、学校の先生、部活の先輩、それらの人々が私のいた世界とこっちの世界で同じなんです。

ただ違う人もいて、ここにいる鈴蘭さんは私の世界にはいないんです、代わりに彼女より若い男の子がいるんです。

それだけじゃなくて、私が元の世界で言ったことや体験した出来事を、この世界の泉水も似たようなことを言ったり、出来事を体験したって言うんです。

これってどういうことか分かりますか?」


泉美の言葉に博士は眉間にしわを寄せて考え込む。


「それは・・・つまり・・・存在している人間が同じことはもちろん、その関係や行動が2つの世界が似ているが、一部異なっているという事が不思議だってことか?」

「そうです」

「う~ん・・・恐らく2つ世界がお互いに共鳴しているってことだろうな」

「共鳴・・・お互いに影響し合ってるってことですか?」

「まぁ、そういうこった。

お互いに起きた現象がもう一方の世界に影響をおよぼして、それが相互に起きているんだろう、同様に人間なんかの生物も相互に影響し合っていると考えるべきだろう。

だが、世界が分かれて時間が経ったことで、その影響が薄れている、もしくは部分的に薄れている、それが異なっている部分として表れていると考えられる。

一方だけ異世界に来ちまったお前らみたいにな」


泉美は視線だけを泉水に向けた。その視線の先で泉水もまた泉美に視線を向けていた。


「2つの世界は恐らく分かれてそんなに経っていない。少なくともイズミたちの年齢以上は経っているはずだが、何が要因となって世界が分かれたのかは調べようがないな」

「えっ?私たちの性別が分かれたのが要因じゃないんですか?」

「かもしれんが、断定は出来ん。

2人のイズミが男と女に生まれ別れたのが要因なのか、世界的な出来事が要因なのか、もしかしたらこの星ではないどっか別の星系で起きた大異変かもしれん。

例えば星が1つ消えた、消えなかったとか、あるいは生命が誕生した星が生まれた、生まれなかったとか、そんぐらい大規模な出来事が起きたと考える方が世界が分かれたなんて現象としては自然かもしれん。

逆にお前らの性別が分かれた事とか、そんぐらい小規模な出来事が原因かもしれん。

要は、分からん」

「博士でも分からないことあるんだね」

「当たり前だ、オレは神様じゃねぇんだからな。

何が要因で世界が2つに分かれたか分からんが、それぞれの世界に存在していた女イズミと男イズミがこの世界で出会った奇跡。

この現象も今後の研究のために名―――」

「ねえ、博士?」


博士の話を遮って話しかけてきたのは大樹だった。

そんな大樹に博士は不機嫌そうに答える。


「なんだ?」

「お姉ちゃんや兄ちゃんのことを女イズミ、男イズミって言ってるけど、名前で呼んだ方が良くない?」

「確かにそうなんだけどよぉ~。

名前が同じイズミだろ?呼び分けるためには仕方ないだろう?」

「みんなちゃんと名前で呼び分けてるよ?お姉ちゃんは水が沸く泉と同じいずみ(→→→)で、兄ちゃんはいずみ(↗→→)ってアクセントで読んで―――」

「そんな器用なこと出来るか!

出来たとしてもややこしくてたまらん!!

読み方が違えばいいんだが・・・」


博士は腕を組み、両目をつぶり考え込む。


「あ!お前らニックネームとかないのか?」

「ニックネーム?」


博士の言葉に泉水は目をしかめる。


「同じイズミでも男女でニックネームは微妙に違うだろ?」

「んー・・・ニックネームは無いな。

無いって言うか、周りが付けようとしない」

「周りが付けようとしないってことは、泉水もやっちゃった?」

「その言い方、泉美もかよ・・・」


お互いの顔を見ながら、泉美は苦笑いを浮かべ、泉水はあきれ顔になってしまっている。

二人の間にはなんとも言えない気まずい空気が流れた。

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