14枚目・トランプコンタクトの名付け【後編】①
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
「この世界を構成する形態【ワールドツリー】、その世界が存在する空間【ゼロクロックワールド】、そして世界の出入り口となりえる【パラレルゲート】、これらは理論上証明できたが、目に見える形での証明は不十分だった。
だが、女イズミが異世界から来たことで、異世界の存在が証明された今、この方向からアプローチすれば行き詰っていた研究が進展する・・・・・かもしれん」
断言しない博士の言葉に、4人は座ったままズコッっとなってしまう。
「結果的に研究にいい影響を与えてくれることは間違いねぇ。
こっちが感謝してお礼を言いたいくらいなんだ、だからお前らにお礼されるようなことじゃねぇよ」
そう言って博士は腕を組んだまま肩をすくませた。
「それより」
組んでいた腕をほどくと博士は泉美を指さし、話題を変えてきた。
「お前さんの心配をした方が良いんじゃないか?困ったこととかさ。
ここは元いた世界とほとんど変わらんと言っても異世界だ、なにか不都合なことがあるんじゃないか?」
「ん~・・・困ったこと」
博士の言葉に、泉美は左手で口元を隠すようなポーズで考え始める。
「困ったこと、困ったこと・・・あっ!スマホが使えなくなりました」
「スマホが?」
「はい、メーカーの問題かと思ったんですが、この世界にも存在するメーカーで機種もこちらで売られている機種と同じだったので、繋がるはずなんですが・・・」
「それは~・・・」
博士はしばらく考え込んでから、眉間にしわを寄せながら自信なさげに言った。
「SIMカードのせいかもな」
「SIMカード?
えっと・・・携帯電話の番号とか登録されてるICカードですよね」
「良く知ってるじゃねぇか。携帯番号の他にもメールアドレスなんかの個人情報も入ってる、ついでに識別番号も設定されているはずだ。
恐らくその識別番号がこの世界で使われているスマホの識別番号と被ったんだろう」
「えっと・・・私が使ってるスマホの電話番号と、この世界でもともと使われていた電話番号が被っちゃったから壊れたってこと?」
「いや、個人を識別する番号と電話番号が既にこの世界で使われているうえに、組み合わせが合わなかった、それらが組み合わさってエラーを起こしたってとこだろう」
「エラー・・・」
博士の説明を聞いてもイマイチ理解できない様子の泉美だったが、大樹が声をかけてきた。
「こっちの世界じゃ使えないけど、元の世界に戻れば普通に使えるようになるってことでしょ?」
「多分な」
「うーん・・・よくわかんないけど、壊れた訳じゃないなら良いや」
泉美はイマイチ要領を得ていない様子だったが、すぐに話題を切り替えた。




