13枚目・トランプコンタクトの名付け【前編】④
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
それからしばらくして、全員が正気を取り戻すと博士は話を再開した。
「ゼロクロックワールドの存在証明は、簡易的に説明するのは無理だから端折る。
それより、重要なのはゼロクロックワールドとタイムトラベルの関係だからな」
「まぁ確かにそうだ・・・で?何でその2つが関係するんだ?」
「そうそう、私もそれが分かんない。
それにパラレルゲートとタイムトラベルとの関係性もよく分かんない。
確かゲートが世界の出入り口になるから、研究してるって言ってたと思うけど・・・。
それがどうしてタイムトラベルに関係するの?」
泉水と泉美の質問に、博士は小さくため息をつくと、ホワイトボードの一角を左手の握り拳の裏側で叩いて示した。
「ここに書いた図で説明してやる」
博士が拳で示したのは、縦に2本線が描かれた絵。線の間に川と時間という文字、両側に岸とかっこで囲われたゼロクロックワールドという文字が書かれている。
その図を見てイズミたちは、それが少し前に説明された時の流れを川に例えた図であると理解した。
「オレの考えるタイムトラベルの方法はこうだ。
時間の流れという川、オレ達はその川に浮かぶ船に乗っている。
その船から、岸であるゼロクロックワールドに降り立ち、過去や未来の位置まで移動して、再び時間という川に浮かぶ船に戻る。
これを川に浮かぶ船から見えれば、時間を飛び越えたように見えるって訳だ」
「なるほど・・・確かにそれが出来ればタイムトラベルって言えるかもなぁ」
博士の説明に、泉水は半信半疑ながら納得した。と同時に彼の脳裏に新たな疑問が浮かんだ。
「・・・じゃあパラレルゲートはどう関係するんだ?」
「パラレルゲートが世界の出入り口になるといっただろ。
さっきの川の話に当てはめると、時間の流れである川に浮かぶ船、これはオレ達の今いる世界だ。
この世界から出て岸であるゼロクロックワールドに行くためには、岸に上がるための桟橋が必要だ。その桟橋となるとオレが考えたのが、世界の出入り口になるパラレルゲートだ」
「えっと、つまり・・・博士の言うタイムトラベルの手順は、
(1)パラレルゲートでゼロクロックワールドに移動
(2)その後目的の時間にあたる世界の位置まで移動して
(3)パラレルゲートで元の世界に戻る。
ってことか?」
「まっ、そういうこった」
博士は肩をすくめてみせた。
「その性質から便宜上パラレルゲートと名付けたが、オレはこのゲートを世界からゼロクロックワールドに行くための扉として研究をしてきた。
だからパラレルワールド自体には大して興味がなかった・・・今日まではな。
はぁ~、パラレルゲートの機能の一種、異世界との空間接続の実証実験はずっと後だったんだがなぁ~」
ため息交じりの博士の言葉に、泉美は申し訳なさそうに口を開いた。
「すみません・・・私のために・・・」
「あぁ~・・・別に女イズミを責めようって訳じゃねぇよ。
オレも大概お人好しだと思ってな。まぁ、このまま見ごろ・・・あー・・・帰りたいって懇願してる人間を見捨てるのも寝つきが悪いしな。
ゲートの座標指定はゼロクロックワールドに出るにしても戻るにしても必要なことだからいずれ研究していたはずだから気にすんな。
それより6ヶ月後に女イズミを元の世界に戻せる装置を作れてることを祈ってくれや」
「それじゃあ!協力してくれるんですね!!」
一変して顔を輝かせる泉美に、博士は小さく息を吐く。
「結構前から協力してやるって言ってたつもりだったが?」
「そうでしたっけ?」
「僕はそう思ってたけど?」
泉美の言葉に、大樹は不思議そうに答えた。
向かい側の鈴蘭も無言でうなずく。




