13枚目・トランプコンタクトの名付け【前編】③
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
そんな博士に、泉水はジト目で言った。
「でも、それ博士は見たり、行ったりしたことあるのか?」
「いや、あくまで推測だ」
「推測って、あるかどうかも分かんない物を研究してるのかよ」
「存在するか分からない物をあると信じたり無いと証明したり、可能か分からない事象をできるあるいは、できないと信じて試行錯誤を繰り返す、それをオレ達は研究って呼んでるんだよ」
「・・・その持論があってんのか間違ってんのか、俺には分かんねぇけどさ。
そんな空間が存在しているってどうやって証明するって言うのさ?
そもそも、そのゼロ・・・ゼロ、クロック、ワールド?それとタイムトラベルとどういう関係があるんだよ」
「ゼロクロックワールドが実在するという研究結果と、タイムトラベルとの関連性か?
説明してやってもいいが・・・」
博士はニヒルに笑った。
「少々難解だぞ」
博士の笑顔を見て、泉水は自分がとんでもない発言をしてしまったのではないかと気づいたが、時すでに遅し。
説明し始めた博士の話は、先ほどの話の何倍、いや何百倍も難解で、専門用語や難解な数式が飛び出す高レベルな話だった。
「そもそも相対性理論において、時間とは不変的なものではなく実に変異的で、非常に重力の強いブラックホールや中性子星の周囲では、惑星や恒星の表面では宇宙空間よりも時間の進み方が遅いのは有名な話だが―――」
まず、大樹が頭を抱え。
「y値が502000であるという推測では、空間軸のa’の値がマイナス値になってしまうで、これはあり得ない。
つまり、y値は502000のx乗であることは絶対条件であり―――」
鈴蘭の頭部から煙が噴き出し。
「オレ達がいる3次元とは異なり、ゼロクロックワールドは4次元で構成されていると思われ、3次元の世界の住人であるオレ達には知覚が出来ない可能性がある。
そもそも、ゼロクロックワールドに降り立つためには、3次元物質である肉体を4次元に適応化して―――」
最後に残ったイズミたちが遠い目になり、思考をシャットダウンした。
「―――つまり、時間があるこの世界から、時間のないゼロクロックワールドに移動し、過去や未来に当たる空間軸まで移動してからパラレルゲートで元の世界に戻れば、タイムトラベルは可能という事になるって訳だ」
そこまで言って、博士はペンを置いて、イズミたちの方に振り返った。
「・・・まっ、予想通りぶっ壊れたな。
オイ!話は終わったぞ!!」
博士は【パンパン】と手を鳴らし、イズミたちを起こしにかかる。
最初に目を覚ましたのは鈴蘭、ガクンと後ろに倒れた頭を前に戻すと、寝ぼけた様子で博士に話しかけてきた。
「フェ?授業終わった?先生?」
「先生じゃねぇよ!博士だよ!・・・・・いや、博士でもねぇよ!!」
博士は思わず変なツッコミを入れてしまう。
「はぇ?そうだっけ?」
「めんどくせぇなぁー・・・おい坊主、お前もいつまで頭抱えてるんだ?」
博士が話しかけたのは、頭を抱えたままの大樹。
「うーーーん・・・時間は4次元がy値で、普遍的な502000がゼロクロックワールドの3次元においての―――」
「はぁ~・・・オレの説明がごちゃ混ぜになってるが、聞いてただけ及第点か・・・」
大樹を正気に戻すことは後回しにして博士は、イズミたちに視線を移した。
「オイ、男イズミ、女イズミ、話し終わったぞー、戻って来い!!」
「はっ!ここはどこ?俺は誰?」
「はっ!ここはどこ?私は誰?」
「お前らなぁ・・・コントでもしてんのか!?」
イズミたちの反応に、博士はジト目で思いっきり呆れてしまった。




