12枚目・タイムトラベル研究者【後編】②
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
「ん?俺たちの遺伝子、いやDNAか?
・・・DNAが違う理由は分かったけど、なんで博士はDNA検査キットなんて持ってたんだ?」
泉水の疑問に、博士は眉間にしわを寄せてしばらく考え込んだ。
「ん~・・・それを説明するには、まずはゲートの説明を先にした方が良いかもな」
「ゲート?」
「ああ、特に女イズミ、お前さんは見たことがあるはずだ、宙に浮かぶ光の玉を」
「「なっ!!」」
博士の言葉に、イズミたちは驚きの声を上げて固まってしまった。
「ん?その様子だと男イズミも見たことがあるのか?
空気を引き裂くような音と共に現れ、色は月のような淡い黄色、輝いているが熱はない。
そして最大の特徴は、世界同士の空間を繋げてしまうこと・・・
女イズミ、お前はその光の玉を通ってこの世界に来たんだろ?」
博士の問いに固まっていた泉美は正気を取り戻し、椅子から立ち上がり食い気味に質問を返した。
「は、博士はあの光の玉を見たことがあるんですね!?
どこで見たんですか!?もう一度あれに飛び込めば、元の世界に帰れるんですか!?」
飛び掛かりそうな勢いの泉美に対し、博士は小さく首を横に振った。
「落ち着け。あの光を見つけても、すぐには帰れねぇよ」
「すぐには帰れないって・・・どうして!!」
「発生するゲート自体が小さすぎるんだよ。とてもじゃないが人ひとりが通れるような大きさじゃねぇ」
「小さすぎるって・・・じゃあ、どうすれば大きなものが出来るんですか!?どうすれば通れるような大きな光の玉に―――」
「落ち着け、泉美!」
暴走気味の泉美を、泉水は後ろから両肩を掴んで椅子に座らせ、落ち着くように言った。
「泉水!でも!もしかしたら―――」
「占いで言われただろ?今すぐには無理だって、博士の様子を見ても、今すぐには無理だろう」
泉水の言葉に、険しい表情だった泉美は悲しげに伏し目がちになり、やがて博士に視線を戻した。
その様子を見て泉水は小さくため息をつくと、自分の席に戻り博士に話しかけた。
「博士、さっきから言ってるゲートってあの光の玉のことだよな?
博士はあの光の玉が何なのか知ってるってことか?」
「ああ、知ってる」
博士は腕をテーブルの上で組むと、前のめりになって話し始めた。
「あの光の玉の名は【パラレルゲート】
この世界と異世界を繋いでしまう光球の門、ゆえにパラレルゲート。
もちろんオレが名付けたんだが、オレはパラレルゲートを調べるためにこの町にやってきたんだ。時間の概念が存在しない世界・・・名付けて【ゼロクロックワールド】その世界を見つけるために!!」
「ゼロクロックワールド・・・」
博士から飛び出した謎のワードに泉水はもちろん、泉美や鈴蘭、大樹も戸惑いを隠せなかった。
「ゼロクロックワールドの説明はひとまず置いておいて、先にお前らが知りたがってるパラレルゲートについて教えてやろう。だが、それを説明するためにはこの世界の形態を説明する必要がある。
先に言っておくが、パラレルゲートやゼロクロックワールドみたいに、色々な事象を区別するために造語の名前を付けているからついて来いよ」
「今の時点で頭混乱しそうなのに、これ以上なんて無理ぃ~。
せめて黒板に文字で書いてください~」
肘を机に乗せ、両手で頬を包むようにして苦言を言ってくる鈴蘭。
そんな態度を見て博士は小さくため息をつくと、部屋の隅に置いてあったホワイトボードを引っ張り出してきた。
「黒板はないからこれに書いてやる。さっきのDNAの件もあるから、出来るだけ分かりやすくな」
そう言って博士はホワイトボードに向かうと、マーカーペンを手に話し始めた。




