10枚目・話題の占い師【後編】⑤
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
鈴蘭が占いの結果を聞いているころ、3人は入り口前で雑談をしていた。
「しかし、よく当たると噂の占い師が、まさか見た目小学生とは思わなかったな」
「うん、びっくりだよね」
驚きを隠せない様子の泉水の言葉に、泉美も驚きの表情で応える。
「見た目だけだったら大樹よりも年下なのに、22歳の大人だって言うことも含めてね。
それに外国人なのに日本語ペラペラだしね」
「ああ、それな!ホントに外国人かって言うくらい自然な発音の日本語しゃべってたし、言い回しも日本人そのものだったし」
「名前以外だったら完璧に日本人だよね」
「まったくだ。
それにあれも驚いた・・・」
「ああ、あれでしょ」
泉水と泉美は顔を見合わせて、同時に言葉を発した。
「あの格好」
「あの帽子」
「ん?」
「え?」
「「今なんて?・・・そっちからどうぞ」」
お互いに譲り合う2人を見て、大樹が声をかけた。
「とりあえず、お姉ちゃんの気になった点から話したら?」
「え?いいけど・・・なんで私から?」
「兄ちゃんの格好については僕も同じこと考えてたから、逆にお姉ちゃんの帽子って言うのが気になったんだ。
帽子ってあのミニシルクハットのことだよね?」
「うん、あのミニシルクハット、クリップで止めてあると思ったんだけど、時々ピコピコ動いてたんだよね~。
気づかなかった?」
泉美の言葉に、泉水は顔をしかめる。
「あのミニシルクハットが?
大樹気づいたか?」
「ううん、気が付かなかった・・・お姉ちゃんよく気が付いたね」
「たまたまね、お姉さんのことを話した時に少し下に下がってたり、名前の由来の時に後ろの方に動いてたり、ピコピコ動いてたんだよ。
あれどういう仕組みになってるんだろう?って気になったんだ」
「へぇー、そんな風に動いてたなんて全然気づかなかった。
確かにどうなってるのか気になるな」
「でしょ?今度会った時に聞こうと思ってるんだ。
それはそうと、泉水が気になった格好ってどういうこと?」
今度は泉美が不思議そうな顔をして、泉水に質問してきた。
「ん?ああ。
あのウォールって占い師の格好なんだけどさ。
小学生にしか見えない背格好でタキシード姿。あれどっかで見たことあると思わなかったか?」
「え?・・・あ、もしかして、小学生の姿に大人の頭脳の・・・」
「そうそう」
言いたいことが伝わった泉水は、ニタニタと笑いながら自分の考えを言う。
「名探偵コ―――」
「ストップ!ストップ!!
それ以上言うと色々と面倒なので言わないでください!」
「あ、ウォールさんとスズさん」
振り返った泉美の目の前には、渋い顔をしたウォールと横を向いて笑いをこらえている鈴蘭の姿があった。
「占いは終わったの?」
「ええ、占いと支払いが終わって、鈴蘭さんをお見送りするついでにウェルカムボードの書き換えをしようとしていたんです。
そうしたら入口の方からとんでもない言葉が聞こえてきたので、慌てて飛び出した次第です」
ウォールは大きくため息をつくと、渋い顔のまま泉水を睨みつけて言った。
「よく勘違いされることの1つではありますが・・・泉水さんの言っている彼とボクとではいろんな点がまったく違います。
まず初めに彼は高校生が小学生になってしまった姿ですが、ボクは成人でただ見た目が幼いだけです」
「そう言えば・・・」
「そもそもボクは見た目だけなら小学校の中学年くらい、彼は1年生です。背格好も全然違います!!
それに彼は青いタキシードですがボクは紺色の燕尾服です」
「タキシードと燕尾服って違うのか?」
「全然違います。背中の裾が燕の尾のようになっているでしょ?」
ウォールが振り向くと、確かに後ろの裾がⅤの字を2つ並べたような形になっており、見た目はどことなく燕の尾っぽに見えた。
「確かに違うな」
「それにボクみたいにミニシルクハットも被ってないでしょ!?」
「そう言われるとそうだな・・・」
「ただでさえ似てるって言われて困惑しているのに、その名前まで出さないでください!
いいですね!?」
「ええ?別に名前くらい―――」
「い、い、で、す、ね!!??」
「は、はい」
物凄い形相で睨みつけてくるウォールに、泉水は思わずたじろいでしまった。
「分かってもらえればいいんです。
さあ、皆さんお揃いになったのですから、5階の研究室に行かれてはどうですか?
ボクもウェルカムボードの書き換えをしないといけないので、これ以上お話に付き合っている訳にはいきませんし」
「ああ、そうだな。じゃ俺たちはこれで」
泉水は軽く会釈をして、階段に向かう。
その後を鈴蘭が追って行く。
「じゃあ、占ってくれてありがとう。占ってもらったことが進展したらまた話に来るね。
ほら2人も行こう」
「うん、お姉ちゃんも行こう」
「あ、うん。ありがとうございました」
大樹に手を引かれながら、泉美はウォールに軽く会釈をすると階段を上がっていく。
「お気をつけて、皆さんの未来に幸多からんことを」
ウォールは決め台詞であろう言葉を言いながら、手を振って4人を見送った。
「あ、そうだ。ミニシルクハットの仕掛けのこと聞くのを忘れちゃった・・・まぁいっか、今度会った時に聞けば」




