10枚目・話題の占い師【後編】④
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
「それで、占って欲しい内容は何ですか?」
「もう分かってるんじゃないの?」
「まあ、ある程度は・・・でも詳しくは分かりませんので、教えていただけますか?」
「そう言えば、そんなこと言ってたね。うん、分かった。
ズバリ!あたしが占って欲しいのは恋愛運!!」
「やはり恋愛ですか・・・つまりこれからあなたが誰と付き合い、結婚するかということですね?」
「うん、そういうこと」
「なるほど、分かりました。ではさっそく占ってみましょう。
年齢と誕生日をお聞きしても?」
「歳は15歳、今年で16になるよ。誕生日は7月29日の獅子座だよ」
「星座までは聞いてないんですが・・・まぁいいでしょう」
ウォールは水晶玉に両手をかざすと、じっと見つめ始める。
やがて、水晶玉を見つめたまま語り始めた。
「あなたと付き合い、結婚する人、つまり運命の人と呼べる人ですが・・・もう会っています。しかも幼いころに」
「やっぱり!あたしの運命の人はお兄ちゃんなんだ!!
お兄ちゃんと結婚して、水輝の家を継いでいくんだ!!」
鈴蘭は椅子に座ったまま、手足をバタバタさせて喜びを爆発させる。
そんな彼女の様子をウォールは水晶玉に顔を向けたまま、上目遣いで表情を変えず見ていたが、目をつぶり小さくため息をつくと、少し声のトーンを下げて話し始めた。
「喜んでいるところ申し訳ないのですが、あなたが思っている人が運命の人である可能性は低いと言わざるを得ないです」
「ふ~ん、何で?」
ウォールの言葉に、鈴蘭は手足をバタつかせることを止め、こちらも声のトーンを下げて応えた。
「運命の人とは近いうちに再会すると出ています。おのずとあなたが兄と慕う人とは違う人になるかと」
「へぇ~、そう占いでは出てるんだ。ふ~ん」
鈴蘭の声の怒っているわけでも、悲しんでいるわけでもなく、どことなく呆れているような声だった。
「信じてないんですね」
「まあね、いくらウォールさんが一流の占い師でも、外れることはあるんでしょ?」
「はい、ボクの占い的中率は90%くらい、残り10%は外れる。
惜しいこともあれば、まったく的外れでトラブルになったこともあります。
でも、それは仕方ないことなんです。ボクが行っているのは占い、預言ではない。
当たることもあれば、外れることも当然ある」
「当たるも八卦当たらぬも八卦って言うもんね」
「・・・その通りです。随分と難しい言葉を知っているんですね」
「まぁねぇ~。一応水輝家のお嬢様だも~ん!難しい勉強とかしてるんだからね」
自慢げにドヤ顔をする鈴蘭。そんな彼女にウォールは眉一つ動かさず応える。
「なるほど、さすがは名家のお嬢様ということですね。
もちろん意味はご存じで?」
「もちろん!
占いは当たることもあるけど、当たらないこともある。
占いは人生の参考くらいにしておかないと、未来のことは誰にも分からないから、あまり頼りすぎるなってことでしょ?」
「そうですね、概ねそんな感じです。
まあ、それを認めてしまうとボクの立場無いんですけどね~」
そう言ってウォールは肩をすくめた。
そんな彼の様子を見て、鈴蘭は「クスッ」と笑った。
「まっ、そう言う訳だから、あたしは運命の人と出会ってるって所だけ信じて、これから再会するって部分は全く信じないから」
「分かりました。
受け取り方は人それぞれ、ボクがあれこれ口出しをする立場ではないですからね。
ですが一言だけ、言わせてください。
運命の人と結ばれたあなたは、末永く幸せになれるでしょう。
それだけは保証しますよ」
ウォールは優しく微笑み、そう言った。
その言葉に鈴蘭は歯が見えるくらいニカッと笑った。
「ありがとう。それを保証してもらえれば十分だよ」




