10枚目・話題の占い師【後編】③
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
水晶玉を覗き込んでいたウォールだが、不意に思い出したように泉美に話しかけた。
「泉美さん、年齢と誕生日をお聞きしてもよろしいですか?」
「うん、えっと・・・16歳で今年17歳、誕生日は5月27日だよ」
「分かりました」
一言応えると、ウォールは水晶玉に視線を戻しジッと見つめ始めた。
4人はその様子を、固唾をのんで見つめた。
水晶玉を見つめること数秒、ウォールはおもむろに口を開いた。
「うーん・・・結論から言うと、今すぐ元の世界に帰るとは無理ですね」
「そ、そう・・・」
ウォールの言葉に泉美は肩を落とす。
そんな彼女の様子をちらっと見てから、ウォールは水晶玉に視線を戻した。
「・・・う~ん・・・どうするか・・・ん?これは?」
「何か分かったの?」
「ふむ~・・・でも・・・いや、逆にか・・・」
「ウォールさん?」
「あ、失礼。
泉美さんが元の世界帰る方法・・・いや、ヒントが貰える・・・かも」
渋い顔でウォールは歯切れの悪い答えをする。
だが、泉美にはそんなことは気にならず、顔を輝かせる。
「本当!?」
「ええ、しかもすぐ近く」
「すぐ近くって場所!?」
「いえ、正確には人物というべきでしょうね」
「人物?
えっ?パラレルワールドに詳しい人物がいるってこと?」
「詳しい・・・う~ん、そうですねぇ~」
歯切れの悪いウォールの態度に、今度は泉水から声が飛ぶ。
「はっきりしてくれよ!
その人に会えば解決するのか?」
「う~ん・・・解決は・・・う~ん・・・断言は・・・」
「はっきりしねぇな!!
まあいいや、それでその人はどこにいるんだ?」
「このビルです」
「はっ?」
「このビルの上層階。そこに研究室を構えている科学者ですよ」
「「はい!?」」
あまりの驚きにイズミたちは同時に叫んでいた。
声こそ上げなかったが、大樹と鈴蘭も驚きを隠せない様子だった。
ウォールの話によると、このビルの最上階である5階に研究室があり、そこで研究をしている科学者が、泉美が元の世界に帰るヒントを持っているとのことだった。
「その研究室の科学者、知り合いなのか?」
「いいえ、研究室があることは知っていました。ですが、あいさつ程度でしっかり話したことは無いですねぇ~」
そんな泉水とウォールのやり取りがあった後、ローズティーを飲み終わった泉美たちは占いの館を後にすることにした。
「今後のヒントになりそうなことは分かったな。まあ、ちょっと歯切れの悪い対応が気になるけど」
「はっきりと、助けになってくれますって断言してくれなかったもんね。
でも、何も分からなかった今までよりも、一歩前進した感じかな?」
ため息交じりに感想を言う泉水に対して、大樹は同意するが少し進展があったと手応えがあったのか表情は明るかった。
「まぁな、無いよりはマシって感じだな。
大樹が突然言い出した思い付きで来たにしては、いい結果か」
「それって褒めてる?」
「ああ、最大の賛辞を贈ろう!大樹にしては良い考えだった。と」
「何か褒められてる気がしない」
「気のせいだ気のせい、心から褒めてやってるよ」
「絶対嘘だ」
ジト目で睨んでくる大樹、そんな弟に目を合わせようとせず泉水はそっぽを向いてごまかした。
「それはそうと、スズと泉美は出てこないな、どうしたんだ?」
「そう言えばそうだね。スズさんはお会計があるから遅れるとしても、お姉ちゃんまで遅いなんて・・・」
「ちょっと様子見て―――」
そう言いながら泉水が中に戻ろうとした時、中から泉美が飛び出してきて2人は思わずぶつかりそうになってしまった。
「うわっ!ビックリした!!」
「ビックリしたのはこっちだ!
何してたんだよ?今呼びに戻ろうとしてたんだぞ?」
「ちょっとね。
スズちゃんがお金を払う直前に、追加で占ってもらいたいことがあるから残るって言いだしたの、それで私が付き添いで残るって言ったんだけど、スズちゃんに「先に研究室へ行ってて」って言われたんだけど、そう言う訳にはいかないから3人で入り口で待ってるって話をね」
「追加で占い?」
「また予約取れるか分からないし、追加なら割引価格だから占ってもらうって」
「なるほど、それにしても何を占ってもらうって言うんだ?」
「そりゃ~ねぇ~」
意味ありげにニヤリと笑う泉美を見て、鈴蘭が占ってもらいたい内容が予想できた大樹は肩を落とし、分からない泉水は首を傾げ考え込むのだった。




