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10枚目・話題の占い師【後編】⑥

読みやすさのため、内容を分割して調整しました。

文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。


作者:服を着た猫




ビルの5階へと上った4人は、研究室と思われるドアの前に来ていた。

しかし、そのドアの前で誰も一言も発せずに固まってしまっていた。

そして、その状態のまま数分が過ぎようとしていた。


「ここで良いんだよな?」


しびれを切らしたように泉水が声を発した。

その言葉を聞き、ようやく他の3人も口を開いた。


「5階だって言ってたし、ここで間違いないんじゃない?」

「うーん・・・他の部屋のドアは何も書いてないし、研究室の名前が書いてあるのはこの部屋だけだから間違いないと思うけど・・・」


鈴蘭の言葉に付け足すように、泉美も半信半疑な答えを返す。

そんな2人の言葉を聞いてなお、戸惑ったように大樹は言い放った。


「でもここに書いてある研究ってパラレルワールドと関係なくない?

だって【タイムトラベル研究室】だよ!?」


4人が立っているドア、その横にかけられた木の看板には大きく【タイムトラベル研究室】と書かれていた。

イズミたちが求めていたパラレルワールドに詳しい人間とは全く結びつかない、タイムトラベルという単語に4人は困惑して固まっていたのだった。


「ウォールさんの占い的外れだったのかな?」


大樹の言葉に他の3人も同意しかけていた。


「で、でも、よく当たるって噂の占い師の言うことだし・・・」


大樹の言葉を聞いてなお、泉美はウォールの肩を持とうとする。


「でも、的中率90%だって本人言ってたよ?10%は外れることもあるって、もしかしたら今回もハズレだったりして・・・」

「うーん・・・確かにそうだよなぁ。でも他に当てはないぞ」


鈴蘭の言葉を聞き、泉水は右手で顔を覆いながら唸ってしまう。

その横で同じように泉美も右手で顔を覆いながら言う。


「そうだよねぇー、藁をもつかむ気持ちで占ってもらったんだから、他に当てなんて・・・」

「もう1回占ってもらう?」

「また予約してか?占ってもらった直後だぞ?」


大樹の提案に、泉水は呆れたように言う。


「そもそも人気占い師だから、今回占ってもらっただけでもラッキーなのにまた占ってもらうなんて、到底無理だろう?」

「じゃあどうするの?」

「どうするって・・・うーん・・・」


大樹の言葉に泉水は両手を組んで考え込んでしまう。

泉美も鈴蘭も同様に考え込み、沈黙がその場を包んだ。


やがて沈黙を破るように泉美が提案をしてくる。


「悩んでても仕方ないよ。ここはひとつ、当たって砕けろ!って感じで、ダメもとで聞いて―――」

「うるせーぞ!!」


泉美の言葉を遮るように、研究室の中から男の野太い声がとどろいた。


「さっきからベチャクチャ、ベチャクチャ!!

人の研究室の前で立ち話してるのはどこのバカだ!!」


怒鳴り声と共に研究室のドアが勢いよく開き、白衣を羽織った男が飛び出してきた。


「こっちは研究が行き詰まってイライラしてんだよ!!

世間話ならよそで―――

何だお前ら・・・ガキがこんなところで何してんだ?」


不機嫌に4人を睨みつける男。

赤髪の角刈り短髪に無精ひげ、タバコを(くわ)えた顔は少し頬がこけて鋭い目つきをしており、高い背をしたその風貌は白衣を纏っているが研究者というよりも、ヤクザのような印象を受けた。

その風貌に圧倒されてしまった4人だったが、意を決し泉美が口を開いた。


「わ、私たち占いを―――」

「占い!?

ああ、下の階に占いの館をやってるヤツがいたな。

占いの館は2階だ!ここは関係ねぇよ。分かったらサッサと下行け!!」


ぶっきらぼうに言い放つと男はドアのノブを持ち、研究室の中へ戻ろうとする。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


泉美はドアを閉めようとする男を引き留めようと、ドアを右手でつかんだ。


「何だよ。まだ用があるのか?こっちはお前らに付きあってるほど暇じゃねぇんだよ」

「話を聞きたくて」

「話だぁ?

・・・もしかしてオレがタイムトラベル研究をしていることを、怪しい研究をしているヤツがいるってバカにしに来たのか!?」

「ち、違います!!」

「ハッ!!どうだか!?

さっき研究室の前で話してたのも、変人の研究者がいるって話してたんだろう!!

どう思われようと構わねぇけどな、オレはこの研究に人生かけてんだ!ガキに構ってる暇はねぇんだよ!帰れ帰れ!!」


取り付く島もない様子で、ドアを閉めようと力を籠める研究者に、泉美は必死で抵抗する。


「待って、待ってください!!

(なんとか話を聞いてもらわないと・・・そうだ!!)」


泉美の脳裏に浮かんだのは、占いの最後にウォールの言った言葉だった。


『これから向かうと研究室の研究者ですが、最初は話を聞こうとしても聞く耳を持たれないでしょう。その時は、こう言ってください。

私は―――』

「私は、異世界からこの世界に来てしまったんです。元の世界に帰る方法を探しているのですが、何かわかりませんか!?」

【ピクッ】


泉美の言葉を聞いた瞬間、研究者は一瞬体をピクッと震わせた。そして、ドアを閉める力を緩めるとジト目で泉美の顔を見てきた。


「・・・いいだろう。話を聞いてやる」


研究者の男はタバコを入り口に置いてあった灰皿に押し付けると、4人を研究室の中へ招いた。






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≪人物紹介≫


噂の占い師

「ウォール・カイン・ヴァルキュリア」その②

挿絵(By みてみん)


見た目子どもの成人男性で、名前の由来はウォーター、つまり水から来ているそうで、壁と間違えられると不機嫌になる。


怪しい見た目とは裏腹に、占いの腕は超一流で、的中率90%以上を誇り、今後の動向に迷っていたイズミたちにヒントをくれた。

また、その見た目ゆえに、某人気アニメのキャラクターに例えられることが多く、その話をしようとすると慌てて遮る。




主人公・ヒロイン

春野(はるの) 泉美(いずみ)」その⑤

挿絵(By みてみん)


占いをしてもらう過程で、誕生日が5月27日と判明。




次期本家水輝(すいき)家当主の一人娘

水輝(すいき) 鈴蘭(すずらん)」その②

挿絵(By みてみん)


泉水との会話で胸のサイズがCカップと判明する。

占いをしてもらう過程で、誕生日が7月29日で獅子座と判明。




タイムトラベル研究室の研究者?

研究者?の男

挿絵(By みてみん)


赤毛に角刈り、金色の瞳で、タバコをふかしている男。

ウォール曰く、泉美が元の世界に帰る方法のヒントをくれる人物・・・らしい。

だが、研究室にはタイムトラベル研究室と書いてあり、パラレルワールドとの関係性は今のところ不明。


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