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10枚目・話題の占い師【後編】①

読みやすさのため、内容を分割して調整しました。

文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。


作者:服を着た猫




そんな沈黙に耐えかねて、鈴蘭が話題を変えるために別の質問をした。


「それはそうと、ウォール・・・さんって、ここに住んでるんだね?」

「はい?

いいえ、住まいは別ですよ?なぜここに住んでいると思ったんですか?」

「えっ?だって、パスポート部屋の奥から持ってきたから、自分の部屋から持ってきたのかなぁ~、って」

「ああ・・・ボク一応外国人なので、いつも携帯してるんですよ。ハハハ」

「そう・・・なんだ。

あ、それと気になってたんだけど、聞いていい?」


いまだにウォールに対して敬語を使えない様子の鈴蘭を見て、ウォールは諦めたように苦笑しながら応えた。


「何でしょう?」

「【ウォール】って珍しい名前だなって、日本語で言えば【壁】でしょ?

名前に壁って、かなーり珍しいよね」


その言葉を聞いたウォールの眉毛がピクっと動いた。


「・・・よく勘違いされるのですが・・・」


ウォールの声は変わらなかったが、その顔は笑顔の奥に怒りを湛えているようで、口元がピクピクとしていた。


「ボクの名前の由来は壁の【wall(ウォール)】ではなく、水の【water(ウォーター)】をもじったモノなんですよ」

「そ、そうなんだ」

「ええ、愛しいお姉ちゃんに付けてもらった大切な・・・大切な名前です」


ウォールの声からは名前の意味を間違えられた怒りの感情と、それ以上の悲しみが伝わってきた。


「ウォールさん・・・そのお姉ちゃんのことが大好きだったんだね」


ウォールの悲しみを感じ取った鈴蘭は、自分も悲しげな声になりながら言った。

そんな彼女の言葉に、ウォールは彼女の目をまっすぐに見据えて言った。


「ええ・・・愛しています。心から」

「愛・・・

(愛してるって、恥ずかしげもなく言えるなんて・・・。

あたしもお兄ちゃんのこと好きだけど、愛してるなんて恥ずかしくて言えないよ・・・。

やっぱりこの人、子供に見えるけど大人なんだ)」


ウォールがお姉さんのことを心から愛していたのだと感じた鈴蘭は胸が熱くなるのを感じていた。

同時に、泉水に愛の告白をする妄想をしてしまい、顔を真っ赤にしてしまうのだった。


「まぁ、ボクはその名前を捨てたんですけど・・・」

「え?今なんて?」


ウォールが目を伏せて、ポツリとこぼすように言った言葉を、鈴蘭は思わず聞き返した。

だが、彼はその質問に答えることはなくお茶を一口飲んだ。


「う~ん・・・話が過ぎましたね、お茶が冷めてしまいました。でも逆に飲みやすくなったかな?

皆さんもどうぞ、ぬるければ交換しますよ」

「・・・う、うん、いただきます」


鈴蘭が口を付けたことを皮切りに3人もローズティーを飲み始めた。


「あんまり味がしないな。バラのお茶は酸っぱいって聞いたことあったんだけど・・・」

「それはローズヒップティーですね。

バラの実であるローズヒップを乾燥させてお茶にするローズヒップティーはほどよい酸味と甘みが特徴ですが、今回お出ししたのはバラの花びらを使ったローズティー、ですから酸味はないんです」

「なるほどな。それであんまり味がしないのか」

「本当だね、甘い匂いがするから甘いと思ったけど、逆にちょっと苦いかな?」

「でも、私は好きだよ」

「あたしも好き・・・」


男性陣と女性陣で意見が分かれた様子を見て、ウォールは微笑んだ。


「香りがいいハーブティーですが、味は好みが分かれるかもしれませんね。

それより、占いを始めましょうか」


ウォールはそう言うと、横に置いてあった水晶を目の前に移動させた。


「見ての通りボクの占いは水晶占いです。

料金は1回5千円、追加で占う場合はプラス3千円を頂きます」

「1回5千円!?高いな!」

「何をおっしゃいます。普通1時間1万円くらいの料金がかかるところを1回5千円ですよ!破格です。

追加料金も3千円。学生にも優しい料金設定ですよ」

「そう・・・なのか?」


何か言いくるめられているように感じ、泉水は微妙な返ししか出来なかった。


「でも、そんなに掛かると思ってなかったから、金ないぞ」

「あ、大丈夫お兄ちゃん、あたしお爺様にお願いしてお金もらってきたから、お金は十分にあるよ」

「そうなのか?ちなみにいくらもらったんだ?」

「ぼったくりに遭っても大丈夫なようにと、お昼代として、5万円」

「5万!?そんなに渡してくれたのかよ。さすが本家の水輝家、学生にそんな金ポンって渡すって・・・」

「だから、お金の問題はOK。

問題はこの占いで答えになることか、ヒントになることが分かるかどうかだよ」


鈴蘭の言葉に、泉美はうなずいて同意した。


「そうだね。

じゃあ、さっそく占ってもらおうよ」

「なんたってよく当たる占い師さんだし、きっと大丈夫だよ」

「だな」


泉美の言葉に、大樹と泉水はそれぞれ同意した。


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