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9枚目・話題の占い師【前編】⑥

読みやすさのため、内容を分割して調整しました。

文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。


作者:服を着た猫




「ホントに22歳かぁ~?

どう見ても小学生だし、たとえ幼く見えるだけだとしても、程度ってものがあるだろう?」

「・・・証拠を見せろ、と?」


ジト目になるウォールに、泉水は肩をすくめてみせた。


「まぁ、証拠というか証明?

年齢を証明できるようなものがあれば、信じてもいいって感じだな」

「泉水、あんまり失礼なこと言わない方が良いよ。もしもホントに年上だったら、だいぶ失礼だし」


硬い表情で注意する泉美に対し、泉水は鼻で笑いながら応える。


「そんなこと言ったって、お前だって半信半疑だろ?大樹やスズだって?」

「う、うん・・・そうだね。僕もちょっと信じられない、かなぁ~」

「えー!!嘘なの!?謝って損した!!」

「いや、スズちゃん嘘って決まった訳じゃないから、確かに私もちょっと信じられないけど・・・ねぇ?」


泉美にも疑いの目を向けられたウォールは少し考え込むと、おもむろに椅子から降りた。

そして、部屋の奥へと向かうと、布をずらしてその奥へと消えていった。


しばらくして、再び現れたウォールの手には赤色の手帳のようなものが握られていた。


「これがボクのパスポートです。これを見ればボクがウソをついていないと分かるでしょう」


そう言うと、ウォールは再び椅子に座り、机の上にパスポートを差し出した。


「どうぞ、見てみてください」


泉水は差し出されたパスポートを手に取り、じっくりと見てみた。

表紙にはアルファベットに似てるが、見たことがない文字が大きく書かれていた。


「国名だよな、読めないけど」

「国名は【ヴァルハル】国王を頂点とする海洋国家です」

「・・・聞いたことない国だな」

「でしょうね」


「フフ」と含み笑いをするウォールを上目でちらっと見た後、泉水はパスポートに視線を戻しパスポートを開いた。

パスポートには写真の右にプロフィールが表紙と同じ読めない文字と、英語で書かれていた。


「生年月日は・・・これだな。こっちの数字は例の独特の暦ってやつだな、でこっちが世界基準の暦・・・・・

確かに22年前になってる。って、ことはおま・・・あんたホントに22歳なのか?」

「ええ、ですからあなた達よりも、ずっと年上だと言っているでしょ?」

「・・・疑ってすいませんでした」


椅子から立ち上がり頭を下げて謝る泉水に、ウォールは仕方ないですねぇ、とでも言いたそうに苦笑いを浮かべた。


「いいですよ、分かっていただければ」

「それにしても、ホントに子供にしか見えないな、あんた」


驚きの表情を隠さないまま座る泉水は、じっくりと観察するようにウォールを見て言った。


「もともと身体的異常があって、それと関連するのか発育障害らしく、この姿までしか成長しなかったんです」

「なるほど」

「まぁ、それ以前に身体的異常を気持ち悪がられて、赤ん坊の頃に捨てられましたけど」

「えっ・・・それって育児放棄されたってこと!?」


今度は泉美が驚きの表情と声を上げる。

そんな泉美の言葉に、ウォールは首を横に振った。


「その可能性は低いでしょう。

保護されたときボクは生後3ヶ月ほどだったそうですから、ボクを見た周りの人間が容姿を気味悪がって捨てた可能性が高いかと」

「・・・児童養護施設の前に捨てられたんですか?」

「いいえ、捨てた人間はボクを生かすつもりは無かったのでしょうね。木箱に入れたボクを湖に捨てたくらいですから」

「なっ!!」


衝撃的な告白に泉美だけでなく、他の3人も驚きを隠せなかった。


「ただ、赤ちゃんを捨てるだけでも許せないのに、湖に捨てるなんて!!とんでもない犯罪じゃない!!」

「そうですね、でも今となっては過去の話です。

それにその出来事が、結果的にボクの愛しい人との出会いにつながるわけですから、むしろボクとしては感謝してるくらいですよ」


そう言いながらもウォールの顔は少し暗かった。


「愛しい人?育ての親のこと?」

「・・・命の恩人で、姉だった(・・・)人です」

「だった?」

「・・・ええ、姉だった(・・・・)人です」


その言葉を聞いて泉美は、ウォールの言う姉がどこにいるのかを察した。


(そのお姉さんは、もう天国へ・・・)


他の3人も同様に察したようで沈黙がその場を包んだ。






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≪人物紹介≫


噂の占い師

「ウォール・カイン・ヴァルキュリア」

挿絵(By みてみん)


最近よく当たると話題になっている占い師。

普段は姿を隠している謎多き占い師として活動しているが、イズミたちにはなぜか姿を見せてくれた。

見た目は小学生なのだが、これでも立派な大人らしく、自称220歳。

年の数え方が他とちょっと違うという説明で、世界基準では22歳になるらしい。

その姿は濃紺色の髪を耳が隠れるようなショートカットの髪型にしている。

そして、その瞳は金色をしている。

髪の毛と同じ濃紺の燕尾服にミニシルクハットを頭の左側に斜めにかぶっていて、左手の親指には金色の指輪がはめられている。






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≪登場用語説明≫


古い駅前ビル

分類:建物


イズミたちの住んでいる住宅地区とは線路を挟んで反対側の、商業区に立っている5階建てのビル。

築50年は経っているのではと思えるくらい、古い建物。




ヴァルハル

分類:国名


ウォールの出身国。

国王を頂点とする海洋国家。

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