9枚目・話題の占い師【前編】③
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
「それじゃあ!今年の学園祭の演劇部の劇って、お兄ちゃんが主役なの!?スゴーイ!!絶対に見に行くからね!!」
「いや、話聞いてたか?
俺が演劇部に入ってまだ3ヶ月だぞ!絶対に失敗する、絶対にセリフ噛んだり飛ぶ、演技だって滅茶苦茶だろうし絶対に見に来るなって言っただろ!?」
「でも、お兄ちゃんの演技が上手だから、みんな推薦したんでしょ?大丈夫、お兄ちゃんならきっとうまくできるよ!!」
満面の笑みで勇気づけてくれる鈴蘭に、泉水は苦笑した。
「フゥー・・・そうだな。
いつもだけど、お前に言われると本当にそう思えるから不思議だ。いつもありがとう」
泉水にお礼を言われ、鈴蘭は頬を赤く染めた。
「えへへ、こんなことでいいなら、いつでも応援してあげるよ!」
「ああ、頼むな。
あ、そうそう、泉美は元の世界で同じように演劇部を兼任してるんだけど、あいつも主役級のヒロイン役を任命されてたらしいぞ。
あいつも俺と同じで演劇部に入って3ヶ月なのに抜擢されたんだと、あいつも俺と同じようにプレッシャーに押しつぶされそうになってたんだろうな」
微笑みながら話す泉水に対し、一転して鈴蘭は無表情になってしまった。
「へーぇ・・・どうでもいい」
「・・・お前、泉美に対して冷たすぎないか?」
「そんなことないよーだ・・・って言うかヒロインとかいるんだ・・・誰?」
つまらなそうに口を尖らせて聞いてくる鈴蘭に、泉水は別に気にする様子もなく淡々と答えた。
「ん?ああこっちの演劇のヒロインか?
スズも知ってる人だよ、剣道部と演劇部を兼任している先輩の舞先輩さ」
「舞先輩?ああ、神条 舞さんか。
桜門神社の跡取りで、巫女だったよね。家の道場にも時々稽古に来る人だ。
ふーん、あの人キレイだもんね・・・ヒロインか・・・お兄ちゃん、あの人のこと気になってたりするの?」
「気になる?」
「だから・・・恋人にしたいのかなぁって」
「ブッ!!
何言いだすんだよ!!」
面白くなさそうにそっぽを向きながら突然とんでもないことを聞いてくる鈴蘭に、泉水は顔を真っ赤にして慌ててしまう。
「だってキレイだし、ヒロインだから一緒に稽古もするだろうし、気になるのかな~って」
「そりゃ、舞先輩は美人の部類だけど、恋愛対象としては見てねぇよ」
「本当?」
「ああ」
「良かった!」
先ほどまでの不安そうな顔から一変して、パーッと満面の笑みを浮かべ嬉しそうに喜んだ。
「今は恋愛なんて考えられないしな」
そこまで言って、泉水は何かを思い出し話題を変えてきた。
「そういえば舞先輩と言えば・・・スズ、お前胸は何カップだ?」
「えっ!?お兄ちゃん・・・」
唐突な質問に一瞬鈴蘭は固まってしまう。が、すぐに頬を赤く染め両手で頬を抑えてニヤニヤと笑い始めた。
「お兄ちゃん、ついに・・・」
ニヤニヤが止まらない鈴蘭とは対照的に、泉水は淡々と話を続けた。
「この前さ、舞先輩がさらし巻いて胸つぶしているって聞いてな、お前も胸をつぶしてるのかなぁ~?って」
「今日はお風呂で体を入念に・・・フフフ♡」
「スズ?聞いてるか?」
「うん、聞いてるよ、さらしだよね。
あたしはさらしとかで胸を潰してないよ。見た目通りのCカップ!」
そう言って鈴蘭は胸を張って、泉水に見せつけるように言った。
そんな鈴蘭とは対照的に、泉水は顔色を変えることなく少しうなずきながら応えた。
「ふーん、それもそうか、さらしを巻くなんて少数派だよな。
そもそも胸圧迫して苦しくないのかな?よくその状態で演劇の発声とか激しい動きとか出来るよな」
明後日な方向を見ながら考え込む泉水の横で、鈴蘭は赤く染まった頬をさらに赤く染める、そして、そのにやけ顔の目はハートの光が宿っていた。
「ロリ顔にそれなりの大きさのおっぱい、ようやくお兄ちゃんもその魅力に!!
フフフ♡・・・お兄ちゃん!!」
「ん?何だ?」
「あたしの部屋には今日来るんでしょ♡?」
「・・・は?
何の話だ?」
「だから、夜這い♡」
「ブーーーッ!!
な、なに言いだすんだ!!」
「えっ!?あたしのおっぱいに興味あるんでしょ?
だからそういう話だと思って・・・」
「そんな訳あるか!!」
鈴蘭のとんでもない発言に、泉水は顔を真っ赤にして思いっきり叫んだ。
「えー、お兄ちゃんもついにロリ体型に・・・それなりにおっきいおっぱいを持つ、あたしの魅力に気づいて夜這いを申し出たと思ったのに」
「ひゃ、百歩譲って例えそうだとしてもこんな場所でそんな話すか!!
大樹も・・・小学生も近くにいるんだぞ!少しは考えて言え!!!」
「ええー、いいじゃん、どうせ分かんないって」
「だとしても女子高生がよば・・・とにかく!誤解を招くような言葉を使うな!
変な奴に絡まれたらどうするんだ!?」
「その時は返り討ちにすればいいじゃん。
そもそも水輝家の名前を出すだけでビビって逃げ出すって!」
「そりゃそうかもしれないけど・・・女の子が言っていいような言葉じゃないんだから止めろ」
「はーい」
笑顔で応える鈴蘭に、泉水は呆れて右手で顔を覆ってしまうのだった。
そんな彼らの後ろ、泉美にも後半の話は聞こえていたようで、苦笑いを浮かべていた。
「スズちゃん、いくら泉水が好きだからって、夜這いは話がぶっ飛びすぎだよ。
まあ、大樹は何のことだか分かんないだろうけど」
そう言いながら大樹の方を見た泉美は思わず二度見してしまう。
そこには顔を真っ赤に染めた大樹がいたからだ。
「大樹・・・もしかしてよば―――さっきの言葉意味わかってるの?」
「た、たまたまだよ!たまたま知ってただけで!」
「まあ、小学五年生だから保健体育の授業は受けてるだろうし、知っててもおかしくないかぁ~」
「そ、そうだよ」
「フフ、でもさっきみたいな卑猥な言葉は学校の授業じゃ教えないよね~」
ニヤニヤと笑う泉美の顔をまともに見られないようで、大樹はさらに顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「ゴメンゴメン、もうからかわないよ。
だけど、あっちの世界の大樹もきっと知ってるだろうなぁ~
フフフ・・・帰ったら、大樹を思いっきりからかってやろう!!」
「・・・なんだか人ごとに思えないから、お手柔らかにお願いします」
「うん、考えとく!」
満面の笑みで応える泉美を見て、向こうの世界の自分は絶対にからかわれるなと大きなため息をつく大樹だった。




