9枚目・話題の占い師【前編】②
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
「スズ・・・早いな、早めに着いて3人でお前を待ってようって話してたのに」
「だって久しぶりにお兄ちゃんとお出かけできると思ったら、うれしくって早めに来ちゃったんだもん」
満面の笑みで答えた鈴蘭だったが、少し顔を曇らせボソッとつぶやいた。
「まあ・・・余計なのはいるけど・・・」
「ん?・・・なんか言ったか?」
「ううん!何でもない!」
「そうか・・・まあ、いいけどさ。
じゃ、行くか」
「あ、う、うん・・・」
ぶっきらぼうに話を切り上げ歩き出そうとする泉水に、泉美が肘で横腹をついてきた。
「何だよ・・・」
「スズちゃんの服!」
泉美は怪訝そうに、彼の耳元で小声で言った。
「スズの服?」
小声で話す泉美と同じように泉水も小声で返す。
「もう!鈍いんだから!思うところはないの!?」
「思うところ?・・・う~ん・・・」
泉水は少し面倒くさそうに、頭をボリボリと掻きながら鈴蘭の方を見た。
「何、お兄ちゃん?」
「いや・・・そのニットセーターにロングスカートで合ってるよな?
その服、よく似合ってるぞ」
「え?・・・えへへへ!でしょ!!
せっかくのお兄ちゃんとのお出かけだもん!張り切ってコーディネートしたんだよ!
どう?カワイイ??」
「ああ、カワイイ、カワイイ・・・」
「えへへ!ありがとう、お兄ちゃん!!」
よほどうれしいのか、鈴蘭は泉水がぶっきらぼうに棒読みで返したことも気にならない様子で、満面の笑みをたたえた。
そんな彼女を見て、泉美は微笑みながら心の中で(よかったね!)とガッツポーズするのだった。
「まあ、似合ってるって意味では・・・」
鈴蘭を見ていた泉水は、ふと泉美へ視線を移した。
「泉美のデニムジャケットにピンク色のパンツも似合ってるぞ」
「へっ?」
「この前言ってたパンツスタイルだろ?よく似合ってるじゃないか」
「も、もう!急に変なこと言わないでよ!!」
突然褒められて、泉美は頬を赤くして早口で応える。
「何だよ。この前のワンピースは褒めなかったら怒ったくせに、今度は素直に褒めたら怒るのかよ」
「不意打ちで褒めるのは禁止!!」
「褒めたら褒めたで機嫌悪くなるとか、訳分かんねぇ」
「不意打ちはダメだけど・・・ほめてくれたのは素直にありがとう・・・」
泉美は消えそうな声でお礼を言うと、顔を逸らせた。
そんな2人を見て、頬をぷくっと膨らませ、キッと睨む。そして、泉水の左腕をガシッと掴むと、グイグイと引っ張り出した。
「お兄ちゃん!早く行こう!!」
「お、おい!スズ!
急にどうしたんだよ?」
「お兄ちゃんは、あたしだけ見てればいいの!!」
「何怒ってるんだ?」
「怒ってないもん!早く行きたいだけだもん!!」
「そんなに急がなくても時間は大丈夫だろ?
それに泉美たちを置いていく訳には・・・」
鈴蘭に引っ張られながら泉水は、泉美たちの方を見た。
「私たちは大丈夫、ちゃんとついて行くから、2人は先に行っていいよ」
「ねっ、ああ言ってるし、2人だけで行こうお兄ちゃん!」
「ハァー、分かったよ」
泉水は渋々といった様子で、左腕を鈴蘭に抱きつかれながら歩き出した。
その後ろを泉美たちは3メートルほど離れてついて行く。
「ふう~、いきなり褒めるんだもん、てんぱっちゃったよ。
でも結果オーライかな?」
先を歩く2人を泉美は指フレームで写真の構図を決めるように、左目をつぶり覗き込むと満足そうに、ほくそ笑んだ。
「うん!やっぱり絵になる」
その様子を見て、大樹は大きくため息をついた。
「お姉ちゃん、本当にあの2人くっつけようとしてるの?」
「うん?・・・そうだよ。ダメ?」
指フレームを覗き込んだまま泉美は答える。
「ダメじゃないけど・・・絶対にうまくいかないと思う」
「えー何で?」
泉美は指フレームを解き、大樹に視線を移した。
「スズさんはともかく、兄ちゃんはスズさんを恋人にするつもりはないよ。
兄ちゃんにとっては妹みたいなもんだし、そんなこと考えたことないと思う」
「妹としてしか見てないってこと?」
「うん。昔から仲は良いけど、お兄さんとしてしか接してないように見えないよ」
「でも、スズちゃんは泉水にLOVE♡なんでしょ?」
ウインクしながら聞いてくる泉美に、大樹は少し困り顔で答える。
「LOVEって・・・確かにスズさん兄ちゃんのこと大好きオーラが出まくってるけど・・・」
「だったら、何かの拍子に泉水がスズちゃんを意識するかもしれないし、何かロマンチックなきっかけがあれば、ね?」
「・・・ロマンチックなきっかけって?」
「そうだな・・・」
泉美は左手を口元に当て考え込むポーズをする。
「例えば・・・あ!
桜門神社の夏祭り!!あの神社で花火を見た2人は結ばれるってジンクス!!
あの花火を2人っきりで見るシチュエーションを作れば、泉水だってスズちゃんを意識するはず!!!」
「そうかなぁ~・・・」
「絶対にそうだって!そうと決まれば・・・フフフ♡」
「・・・ハァー、絶対にうまくいかないと思うんだけどなぁ~」
1人ニヤニヤと笑う泉美と、ため息をついて下を向いてしまった大樹。
そんな会話がされているとはつゆ知らず、先を歩く泉水と鈴蘭は他愛のない話で盛り上がっていた。




