9枚目・話題の占い師【前編】①
読みやすさのため、内容を分割して調整しました。
文章の一部を変更しましたが、物語の内容には変更はありません。
作者:服を着た猫
瑞希が家に訪ねて来てから数日後、週末である土曜日になり予定通りよく当たると評判の占い師に占ってもらうため、イズミたちは鈴蘭との集合場所である駅前の広場に向かって歩いていた。
「う~ん!いい天気!」
泉美は右腕を高く上げ、左手を右腕の二の腕に添えて伸びをした。
「確かにいい天気だよな。あくびが出そうだ」
そう言うと泉水は左手で口を覆い、本当に大あくびをした。
「うわぁ・・・大きいあくび、まあ、ポカポカ陽気だから分からなくはないけど」
泉水のあくびにつられ、泉美も横を向いて左手で口を覆って、あくびをこらえようとする。
そんな2人を見て大樹もあくびを噛み殺しながら、質問をしてきた。
「そういえば瑞希さん来ないんだね?てっきり一緒に来ると思ってたんだけど」
「あ~・・・一応誘ったよ。
速攻で断られたけど『占い?興味ない!』だって」
「ハハハ・・・だろうな。瑞希、迷信じみた物、嫌いだからな」
「あ~、やっぱり?一応占いとか女の子が好きなもの、こっちの瑞希は好きかなって思って誘ってみたんだけどねぇ~。
一緒に遊びに行ったりしたいんだけど・・・無理かなぁ?」
「うーん・・・泉美の世界ではどうだったんだ?」
泉水の質問に、泉美は遠い目で答えた。
「嫌そうな顔はされたけど、無理やり連れまわした」
「ならこっちでも無理やりにでも、連れまわして良いんじゃないか?どうせ心の中じゃ喜んでるだろうし」
「そうかな?・・・うん!きっとそうだよね!ありがとう泉水」
「別にお礼を言われるようなこと言ってねぇよ。
それより今度同じように大人数で出かけるときは、無理やりにでも連れ出そう。せっかく泉美は瑞希と親友になったんだから、楽しい思い出は出来るだけ作った方が良いだろう?」
「うん、そうだね!元の世界に帰るまでに楽しい思い出作らなきゃ」
泉水の言葉に、泉美は笑顔で応えるのだった。
そんな話をしているうちに、3人は駅へと続く大通りに差し掛かった。
「桜、今年もキレイだったね。もうほぼ終わりだけど」
大樹は道沿いの桜の木を見つけて残念そうに、小さくため息をついた。
「できれば満開の桜をお姉ちゃんと一緒に見たかったなぁ~」
「フフ、私も一緒に見たいけど、さすがに来年になるまでには元の世界帰りたいなぁ~」
「そ、そうだよね!!ごめんなさい・・・」
シュンと肩を落とす大樹に、泉美は困ったように笑いかけた。
「謝らないで、いつ元の世界に帰れるか、ちょっと不安だけど悲観的にはなってないんだから、それに今の桜を大樹と見られて私楽しいよ!!」
「今の桜?」
「うん!風に舞う花びらもキレイだし、地面に散った花びらも―――」
「ああ、ピンク色の絨毯みたいでキレイだよな」
「そうそう、辺りを一面ピンク色に染める桜、私大好きなんだ!!」
「同感、それに水面に浮かぶ花びらもいいよな」
「うん!うんうん!!川とか水面がピンク色に染まるの、キレイだよね!!」
意気投合するイズミたちを見て、落ち込んでいた大樹は笑顔で言った。
「お姉ちゃんたち、やっぱり感性似てるんだね」
「感性?私たちの?」
「うん、お姉ちゃんたち双子かなって、くらい似た行動多いんだもん。双子じゃなきゃ仲のいい夫婦かなってくらい」
「ふ、夫婦はないだろう!双子はともかく」
「そ、そうだよ。私と泉水が夫婦だなんて、私たちは世界が違うだけで、同じイズミなんだから似るのは当たり前だよ!!」
「フーン、そういうもんか・・・でも、2人とも顔真っ赤にして、ちょっと意識したでしょ?」
「「そんなこと意識してない!!」」
いたずらっぽく笑いながら言う大樹の言葉に、2人は同時に叫ぶとさらに顔を真っ赤にした。
「ホント~?」
「「ホントに考えたことも意識したこともない!!」」
「なんだ、残念・・・」
「残念って・・・お前な、何を期待してるんだよ・・・」
「そ、そうだよ。
さっきも言ったけど、私たちは同じイズミ・・・世界は違うけど共通したものを持つ人間、それだけなんだから!!」
「別に何かを期待してるって訳じゃないけど・・・
って言うかさ、お姉ちゃんたちの【共通したもの】って何?」
大樹の質問にイズミたちは顔を見合わせる。
「俺たちの・・・」
「共通する物・・・まぁ、一般的に言えば、た―――」
「お兄ちゃーん!!」
泉美の言葉を遮るように、駅前の広場から泉水を呼ぶ声が聞こえてくる。
3人がそちらを向くと、鈴蘭が大きく右腕を振りながら走ってくるのが見えた。




