20枚目・夏だ!水着だ!プール開きだ!①
「寒い!」
スクール水着姿の瑞希は、曇り空を見ながら恨めしそうに言う。
「アハハ・・・梅雨だしねぇ~・・・
お天気に恵まれなかったのは、残念だよねぇ~」
瑞希と同じ、スクール水着姿で、髪を下ろした泉美は苦笑しながら空を見つめる。
「昨日は晴れて暑かったから余計に残念だよね~」
「そもそも、梅雨にプール開きをする教育委員会の判断がおかしいのよ!!」
残念そうに肩をすくめる泉美の横で、瑞希は目を細めジト目で文句を言う。
「学校も、学校よ!教育委員会の言いなりで、こんな時期にプール開きをするとかバカじゃないの!?
少しは生徒のこと考えなさいよ!!」
「さすがにそれは言い過ぎじゃないかな・・・」
瑞希の言葉に、苦笑いを浮かべ応える泉美。
「おいおい、皆倉・・・今度は学校に噛みついてんのか!?」
呆れ顔で話しかけてきたのは、オレンジ色のショートヘアーに競技水着を身に着け、白いパーカーを羽織った体育の女性教師、清水先生。
「たく・・・皆倉はいつもいつも毒づいてるな。授業でも、授業以外でも毒吐いているんだろ?
ついには学校にまで噛みつき始めたのか?」
「・・・悪いですか?」
「まぁ、教員として良いとは言えないな」
清水先生は苦笑いを浮かべて瑞希を見る。
「寒い寒い言ってるけどな、男子見ろ。
アイツら海パン一枚だぞ!」
清水先生の視線の先では、男子生徒たちが腕組みしながら、腕を擦り寒そうにしていた。
だが、体を寄せ合うようなことはせず、微妙な距離感を保っていた。
「さみぃ~・・・水シャワーの後だから余計に寒く感じるぅぅぅ」
「寒いけど、体寄せ合うほどじゃないよな・・・気持ち悪いし」
「女子はいいよな。水着の面積広いし、体寄せ合ってもムサ苦しくないし、むしろ華がある」
華があるという言葉に、男子学生たちが色めき立つ。
ざわざわと「確かに、いい匂いしそうだし」や「絵面がキレイだよな」などと、邪な声が漏れる。
そんな様子に、清水先生は少し呆れたように、はぁ~とため息を付くと、パンパンと手をたたき、生徒たちの注目を集める。
「馬鹿言ってないで、さっさと体操するぞ!
体動かせば少しは、温かくなる。
ほらほら、整列しろ!ほら、皆倉たちも早く並べ!」
「は、はい!
ほら、瑞希、並んで」
「はぁ~・・・面倒・・・」
泉美に促されて、瑞希は渋々、女子生徒たちの列に加わる。
そして、スピーカーに繋がったスマホから、体操の音楽が流れ始める。
「「「1、2、3、4・・・」」」
「「「5、6、7、8・・・」」」
清水先生の号令で、女子生徒たちと男子生徒たちが、声を合わせて体を動かす。
そんな中、瑞希は気だるそうに体を動かす。
「はぁ~・・・面倒くさい・・・」
「そんな事言わないの、ちゃんと運動しないと、プールの中で足つって溺れちゃうよ」
「分かってるわよ。ふぅ~・・・」
面倒くさそうに応える瑞希に、苦笑いを浮かべながら、泉美はあることに気づく。
「あれ?瑞希、髪留め外したんだね?
なんか、いっつもべっ甲の髪留め付けてるから、付けてない姿って新鮮かも、あとメガネもない」
「はぁ・・・当たり前でしょ?」
泉美の言葉に瑞希はジト目で応える。
「メガネなんて泳ぐのに邪魔だし、髪留めはプラスチック製じゃなくて、本物のべっ甲で出来てるのよ!?
そもそも、金属も付いてるのに、塩素だらけのプールの水になんか浸けたら腐食するでしょうが!?」
「それもそうか・・・そういえば、向こうの世界でも、瑞希はいっつもプールのときは髪留め外してたわ。あとメガネも」
「はぁ・・・うっかり忘れてたってわけ?マヌケね。
そういう、アナタこそ、誕生日パーティーでもらったリボン、あれ以来いっつも付けていたくせに今はリボンどころか、ポニーテールもほどいてるじゃない」
「そ、そりゃあ、ポニーテールのままじゃプールは入れないし、そもそもリボン濡らすわけにもいかないし・・・」
「でしょ?理由が同じじゃない。
アナタも私もお気に入りの髪飾りを濡らしたくないのよ」
「べ、別に私はあのリボン気に入ったわけじゃ―――!」
「コラー!!そこ!!おしゃべりは後にしなさい!!」
体操の最中におしゃべりをしている泉美たちを見つけた、清水先生の激が飛び、泉美と瑞希は慌てて体操に集中する。
やがて、スピーカーから流れていた音楽が終わりを迎え、準備体操が終わる。
「さてと、じゃあ、お待ちかねのプールに入るとしようか」
「わ、わーい・・・」
「プール・・・か」
「何だぁ~?お前ら、テンション低いぞ!!
せっかくプール開きの約得で、授業中自由にプールで遊んでいいんだから、もっと喜べぇ~」
清水先生の声が響く中、クラスメイトはプールに入ることを躊躇する。
そんな中、瑞希が無表情のまま、プールに足をつける。
「ほら、蛍も早く入りなさい」
泉美の偽名である蛍の名を呼びながら、瑞希は泉美の手を引っ張る。




