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『世界を統べた覇王と一心同体になった俺は最強の仲間【駒】を揃える』  作者: Lark224a


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第98話 異常事態!!

「ダンジョン内部はどうなっている!?ドローンの映像はまだか!?」


ギルドマスターの怒号にも似た声が室内に響き渡ると、職員たちは緊張した面持ちでPCのキーボードを叩き、何とかダンジョン内部の映像を映し出そうと必死に作業を続けていた。


しかし、ダンジョン内部は高密度のマナで満たされているため、電波が酷く乱されてしまい、ドローンとの接続は安定しない。何度接続を試みても画面にはノイズが走り、映像が一瞬映ったかと思えば、すぐに途切れてしまう。


そんな状況の中、ようやく一人の職員が声を上げた。


「接続できました!映像、出します!」


次の瞬間、正面に設置された巨大なスクリーンにノイズ混じりの映像が映し出され、ダンジョン内部の光景が目の前に現れた。


「よくやった!!」


ギルドマスターが声を上げて職員を褒めると、それを皮切りに他の職員たちも次々とドローンとの接続を成功させていく。やがて複数に分割されたスクリーンには、ダンジョン内部を飛行する全てのドローンから送られてきた映像が映し出された。


ギルドマスターは腕を組み、険しい表情を浮かべながら一つ一つの映像へと視線を走らせる。


「映像を見る限り、一層から十層は対処出来ているな。だが、問題は十層より上だ。まずはスタンピードが起きている層を確認するぞ」


「「はい!!」」


ギルドマスターの命令を受け、職員たちはすぐさまドローンを操作し、スタンピードが発生している層を探すために動き始めた。


スタンピードとは、必ずしもダンジョン全体で同時に発生するものではなく、十層ごとの区画単位で発生する現象である。つまり、一層から十層でスタンピードが確認されていないのであれば、十一層から二十層で発生している可能性があり、そこでも確認されなければ、さらに高い層で発生している可能性が高くなる。


そして過去、アメリカで発生した大規模なスタンピードは、四十層という深い階層で発生した。


その時の被害は凄まじく、押し寄せた大量のモンスターによって数多くの探索者が命を落とし、一般市民にも甚大な犠牲が出た。その惨状は今なお世界中の探索者やギルド関係者の記憶に深く刻まれており、スタンピードの危険性を象徴する事件として語り継がれている。


もし、それと同じ規模の災害が日本でも起ころうとしているのならと、最悪の未来が頭をよぎり、ギルドマスターは無意識のうちに拳を強く握り締めていた。


だが、ドローンを十一層へと進ませても、スタンピードが発生している形跡は見つからず、そして、さらに奥の二十層へとドローンを向かわせた。


「‥‥待て。」


ギルドマスターの低い声が室内に響き、それまで慌ただしく動いていた職員たちの手が止まる。


スクリーンに映し出されている二十層の光景は、一見すれば何の変哲もないダンジョンだった。しかし、映像を注意深く見れば見るほど、そこには明らかな異常が存在していた。


モンスターが、一体もいない。


スタンピードとは、ダンジョン内部のマナが不安定になることで、通常よりも多くのモンスターが生み出される現象ではあるが、だからといって、スタンピードが発生した影響で他の層からモンスターが一斉に消えるわけではない。


それにもかかわらず、二十層にはモンスターの姿が一体たりとも確認出来なかった。


「‥‥これは、どういうことだ?何故、モンスターの姿がない?」


ギルドマスターが職員たちに問いかけるものの、この場にいる誰一人として、その問いに答えることは出来なかった。


分からないのだ。ギルドマスターだけではなく、長年ダンジョンに関する業務に携わってきた職員たちでさえ、目の前で起きている現象を説明することが出来ない。


ただ一つ分かることがあるとすれば、これは明らかに正常な状態ではないということだけだった。


「ドローンを先へ進ませろ」


「はい!」


命令を受けた職員が再びドローンを操作し、さらに上の階層へと進ませていく。


だが、その異常な状況は二十層だけでは終わらなかった。


二十一層‥‥二十二層‥‥二十三層‥‥そして、さらにその先へ進んでもモンスターの姿は、一体も確認出来ない。


本来であれば、階層を進むたびに必ずと言っていいほど遭遇するはずのモンスターが、まるで最初から存在していなかったかのように消えている。


静まり返ったダンジョンの通路だけが、ドローンのカメラを通して次々と映し出されていく。


その異常な光景は三十層に入るまで続いた。


しかし、三十層に到達してもスタンピードが発生しているような様子は見られず、ついにはドローンが安定して通信出来る限界距離へと達してしまった。


「どういうことだ‥‥?本当にアメリカのように、四十層でスタンピードが起こっているのか?それほど大規模なマナの変動だったというのか?」


ギルドマスターの問いかけに、一人の職員が不安そうな表情を浮かべながら口を開いた。


「いや、その可能性は低いと思います。アメリカの時も、高い層でスタンピードが起こる場合には、それなりの予備兆候があったと習ったことがあります。ですので、今回のスタンピードがあまりにも突然発生したことを考えるに‥‥あくまで自分の予想にはなりますが‥‥発生地点は一層から三十層の間だと考えます」


「だが、それらの層は全てチェックした。それでも‥‥大量のモンスターは一切確認出来なかった。つまり‥‥」


そこでギルドマスターは言葉を止めて、これまで確認してきた映像を頭の中で整理していく。


一層から十層には、地上へと向かっていたモンスターが存在していたが、二十層から先には一体もいない。


その事実から導き出される答えは、一つしかなかった。


「‥‥消えたんじゃない。」


ギルドマスターの呟きに、周囲の職員たちが一斉に顔を上げる。


「何かに‥‥殺されたのか?」


その言葉が室内に落ちた瞬間、重苦しい沈黙が広がった。


誰も否定出来なかった。


むしろ、スクリーンに映し出された異常な光景を見れば、その可能性こそが最も現実的な答えに思えてしまう。


モンスターは消えたのではなく、何者かによって、二十層から三十層までに存在していたモンスターが全て殺された。そして、その考えに辿り着いたのはギルドマスターだけではなく、室内にいる職員たちも同じだった。


だが、もし本当にそうだとすれば‥‥一体、何がそれほどの数のモンスターを殺したというのか。


「警戒は絶対に怠るな」


ギルドマスターはスクリーンから視線を外すと、職員たちを見渡しながら強い口調で命じる。


「俺は、この映像を持って研究者の元へ行ってくる。何か異常が発生したら、どんな些細なことでもすぐに知らせろ!!」


「了解です!」


職員たちの返事を背中で聞きながら、ギルドマスターは足早にその場を後にした。


このダンジョンで、一体何が起きているのか。


その答えを求めるため、ギルドマスターは映像データを手に、急いである研究者の元へと向かうのであった。

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