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『世界を統べた覇王と一心同体になった俺は最強の仲間【駒】を揃える』  作者: Lark224a


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第93話 水瀬side 空間の認知。

「ようやく普通に歩けるようになってきたわ。」


そう口にした通り、私はようやくこの最悪な足場にも対応できるようになってきた。もちろん周囲が見えるようになったわけではない。視界は相変わらず闇に閉ざされたままだが、それでも空間そのものを何となく感じ取れるようになっていた。


その切っ掛けは、ディアブロに提案を断られた直後まで遡る。


◇


私はずっと疑問だった。


どうしてディアブロは、こんな真っ暗な洞窟を灯り一つ持たずに迷うこともなく歩き続けられるのだろうか。足場は悪く、岩や段差も至る所にあるというのに、一度も躓くことなく進み続ける姿は、まるでこの暗闇が見えているかのようだった。


もし私の知らない特殊な力を使っているのなら、きっとディアブロは私にも同じ力を掛けてくれるはず。でも、そうしなかった‥‥それどころか、自分の力でどうにかしろと言い放った。


つまり、私自身の力だけで‥‥この状況を打開する方法があるということ。そしてディアブロは、それを自分で見つけろと言っている。


いいよ、面白いじゃん!!絶対に自分で見つけてやるから!!


私は前を歩くディアブロへとライトを向け、その一つひとつの動作を逃すまいと細かく観察しながら真似を始めた。


すると、一つだけ不自然な動きがあることに気付く。


ディアブロは何歩か歩いた後、必ず一歩だけ普段より強く地面を踏み締めていた。そして、その次の一歩からは何事もなかったかのように普段通りの歩幅へ戻っている。


こんな視界の悪い場所で、わざわざ一歩だけ強く踏み込む必要なんてない。なら、あの一歩には何か意味がある。


そう考えた私は、その強く踏み込むタイミングだけを集中して観察した。すると、やはり一定の間隔で行われていることに気付き、私も同じタイミングで地面を強く踏み締めてみた。


しかし‥‥何も変わらない。足元は相変わらず悪く、周囲は真っ暗なまま。目に映る景色も何一つ変化しなかった。


うーーん?勘違いだったかな?そう思った、その時だった。


「ワン!!」


ベガちゃんが私を見つめながら吠えた。


ベガちゃんはとても賢い子だ。意味もなく吠えることなんて今まで一度もない。それなのに今回は真っ直ぐ私を見つめながら、「気付いて」とでも言いたげに一声だけ鳴いた。


そうか‥‥まだ何か見落としているんだ。私はもう一度頭の中を整理した。


ディアブロが踏み込んだ一歩、そしてベガちゃんの鳴き声。この二つに共通しているものは何だろう。


それは‥‥そうか!!


「音!!」


ディアブロは強く踏み込んだ足音を響かせ、その反響から周囲の空間を把握している。そして地面へ伝わる僅かな振動まで読み取り、地形すら感じ取っているんだ。


なるほど‥‥音の反響。


確かにそれなら視界が利かなくても、大まかな空間を把握することはできる。


よし、やり方が分かったなら、今度は私がやってみよう!!


私はディアブロと同じように地面を強く踏み締め、その音の響きを耳で追い掛けた。けれど、思うようにはいかない。理由は単純で響く音が小さすぎる。


人の耳では、その微かな違いを聞き分けられるほど繊細じゃない。ベガちゃんは犬だから分かるが、でもディアブロの側は同じ人間だ。


じゃあ、どうやって感じ取っているの?音を感じるには耳で聞くしかないけど、肝心の音が聞こえない。と、そうやって悩んでいると私はあることを思い出した。


耳以外で音を感じる方法‥‥それは‥‥振動!!そうだ!!肌で感じるんだ!!ディアブロは耳だけじゃない。全身で振動を受け止め、その僅かな違いまで感じ取っているんだ。


よし、もう一度!!今度はさっきよりも強く踏み込む!!――ドン!!と乾いた音が洞窟中へ響き渡ると、私はすぐに目を瞑り、耳を澄ませると同時に肌へ伝わる微かな振動へ神経を集中させた。


岩壁へぶつかって返ってくる音、地面を伝って足裏へ返ってくる震え、今まで雑音だと思っていた無数の情報が、少しずつ形を持ち始める。


「あっ」


何かがある。ほんの僅かだけど、確かにそこだけ空気の返り方が違う。


「今の感じ‥‥まさか‥‥ここに岩が‥‥あった!!」


手を伸ばすと、指先は冷たい岩肌へ触れていた。見えていないはずなのに、そこに岩があることだけは確信できていた。


◇


水瀬はついに、自分だけの力で空間把握の入口へ辿り着いたのだった。水瀬の言葉を耳にしたベガちゃんとディアブロは、互いに顔を見合わせることもなく、ほんの僅かに口元を緩めていた。

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