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『世界を統べた覇王と一心同体になった俺は最強の仲間【駒】を揃える』  作者: Lark224a


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第8話 緊急会議。

ディアブロがベガを仲間に加えたその裏側で、世界は静かに、しかし確実に異常へと傾き始めていた。


「‥‥何だ、この数値は‥‥あり得ない。すぐに上へ回せ、緊急案件だ。」


ダンジョン監視室の一角、複数のモニターが並ぶ制御卓の前で、一人の監視員が顔色を変えながら声を上げる。


モニターに表示されているのはダンジョン内部の魔力濃度を示すリアルタイムデータであり、通常であれば100から300の範囲で安定しているはずの数値が、突如として跳ね上がり、既に10000を超えてなお上昇を続けていた。


魔力濃度が臨界に達した場合、ダンジョン内部で処理しきれなくなった余剰魔力は外部へと流出し、その結果としてスタンピードが発生する危険性が極めて高くなる。


さらに問題なのは、それだけではない。


過剰な魔力を浴びたモンスターは例外なく狂暴化し、本来の数十倍にまで戦闘能力が跳ね上がるため、仮にスタンピードが発生すれば、その被害は都市一つでは到底収まらない規模へと膨れ上がる。


そのため、ダンジョンの管理を担う機関は24時間体制で監視を行い、異常発生時には即座に対応できる体制を整えていたが‥‥今回の数値は、これまでの想定を明らかに逸脱していた。


「‥‥いや、待て‥‥止まった?いや‥‥落ちている?」


緊張が張り詰めた室内で、別の監視員が思わず呟く。


急激に上昇していた魔力濃度は、ある瞬間を境に一転して急降下し、最終的には130という通常範囲内の数値にまで落ち着いていた。


スタンピードの発生条件を満たす寸前まで到達しながら、それが“発生しなかった”。


その事実は、安堵ではなく、むしろ不気味な違和感として現場に残ることになる。


そして、その異常事態は即座に上層部へと報告され、ほどなくして‥‥


ギルド代表、専門研究機関、そして政府関係者を含む、日本三大組織による緊急会議が招集された。



重厚な会議室の中、中央の大型モニターに映像と数値データが投影され、静まり返った空気の中で一人の研究主任が報告を開始する。


「それでは、現場の記録データを共有します。」


淡々とした口調で説明を進めながら、モニターにグラフを表示する。


「こちらが当該時間帯の魔力濃度の推移です。ご覧の通り、通常値である122から、ほぼ瞬間的に10000という異常値まで跳ね上がっています。」


会議室にざわめきが広がる。


「当然ながら機器の故障も疑われましたが、同時刻に稼働していた他の測定機器との照合、および自己診断ログの結果から、すべて正常動作であることが確認されています。資料2ページ目をご参照ください。」


資料をめくる音が重なり、再び沈黙が訪れる。


「以上のことから、この数値は誤計測ではなく、実際に発生した魔力変動であると断定します。」


報告が終わると同時に、会議室の空気は一段と重くなる。


その沈黙を破るように、一人の若い探索者が手を挙げた。


「発言、よろしいでしょうか。」


視線が集まる中、彼ははっきりとした口調で続ける。


「この数値が事実であるならば、魔力量10000を超える存在が一時的に出現したということになりますが、既存のデータベースにはそのようなモンスターは一切記録されていません。つまり、既知の枠組み外の存在、もしくは未確認個体の可能性が高いと考えます。」


一度言葉を切り、モニターに表示されたダンジョン構造図を指差す。


「そして問題は、例の“穴”です。他のダンジョンには存在しない構造であり、なおかつ未調査領域がそのまま放置されている。自分は、この穴の下に原因があると考えます。再度、探索隊を編成し調査すべきです。」


その提案に、会議室が大きくざわついた。


確かに理屈は通っている‥‥だが、それが現実的かどうかは別問題であった。


やがて、一人の年配の責任者が静かに口を開く。


「‥‥結論から言おう。それは許可できない。」


場が静まる。


「あの穴の深度は未測定だが、現時点で確認されている限りでも機械による探査は不可能だ。となれば人員投入になるが、環境情報が一切ない状態での降下は、実質的に“死亡前提の任務”になる。」


低く、しかし断定的な口調で続ける。


「さらに今回の件で、その下に未知の高位存在がいる可能性が浮上した以上、なおさら許可は出せない。リスクが釣り合っていない。」


反論は出なかった。全員が同じ結論に至っていたからである。


未知な場所に規格外のモンスターが存在している。そんな地獄の領域に踏み込むには、情報が圧倒的に不足していた。


こうして会議は結論を出せないまま停滞し、問題は“保留”という最も危険な形で先送りされることになる。



――その頃。


そんな緊急事態が世界の裏側で進行しているなど知る由もなく、ディアブロはベガを連れて、何事もなかったかのように既に自宅へと帰り着いていた。

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